ジャックジャンヌComplete Collection
ボーカル集と小説も買いました
ネタバレ感想
・まず驚いたのが石田さんが当時描いていた漫画と並行してジャックジャンヌの制作を進められていたこと、そして実姉である十和田さんとタッグを組んで制作に挑まれたこと、更にフミさんルートと主人公ルートを書かれ作詞まで手がけられていたこと、でしょうか
私、フミさんルートが一番乙女ゲーっぽいなと思ったんですよね…石田さんの乙女魂がここぞばかりに発揮されたんでしょう多分
年表見ると一つの作品作るのに相当な手間と時間と(あとお金が)かかるんだなとしみじみ
衣装案も細かい
・希佐役の方の途中コロナで収録が中断したとあって、やっぱどこも影響あったんだなと
・コンプリートコレクションの方はゲームのスチルが全て収録されているので、まだ全員のエンディング見てなかった私はネタバレを喰らいました。自業自得。なのでまだプレイされてない方は各キャラのエンディングを見てから読まれることをおすすめします
・振り付け役の方のコメントが面白かったです
タイトルに懺悔とあるから激しく懺悔させたとか
・カイさんゲーム中だと決めるところはしっかり決めるけど基本ぽややん天然さんだと思ってたので、足開いて立っている全身の立ち絵を見てなにこれかっけえ…!と思いました
確かにこれは白田先輩の言い分も分かる
・ボーカル集はそれぞれエンディングでの各キャラとのデュエットもあり、歌詞カードでそれぞれの割り振り確認できるのがありがたい
・気になったのが、夏公演の英語の歌詞のあの歌、あれガチで白田先輩の声優さんが歌われているんです?
声が違うように聞こえて、作詞が根地先輩の名前になってるのと同じ体裁かなと思ったんですがどうなんだろう
・小説は十和田さんが書かれているのでまるでゲームの彼らを見ているような満足の一冊でした
こういう書き方はあれかもしれませんが大枠はあってるけどなんかなということもなく、変にはっちゃっけてギャグに走ることもなく、作中に入り切らなかった一コマ、これぞ読みたかったノベライズという感じ
・ゲームは希佐視点で進んでいきますが、小説は各キャラ視点の夏の時期を書いたもので、群像劇。メインキャラだけでなくサブキャラ達もしっかり出てくる
周囲の目から見た希佐はこんなこんな感じなのかと新鮮でもありました
・スズくんもスズくんで世長くんのことでこんな風に気弱に悩んでたんだなあとか、カイさんはスズくんと世長くん、希佐のことを見て自分とフミさんとのこと見つめ直したり、この頃の世長くんの苦悩と、フミさんなりの瀧姫、白田先輩あのあと泣いたのかとか、根地先輩の観察眼に無茶振り…まだまだ彼らの話が読みたいと、そう思わせてくれる一冊でした
あと小説読んで思ったんですけど、もしかして継希さんって限りなく死亡扱いに近い消息不明だったりします?何らかの事故で生存は限りなくゼロに近くて、でも遺体が見つからないから死亡確定ではないみたいな。作中での希佐が聞いた継希にぃの声もそうあってほしい希佐の願望、とか
でもそれなら主人公ルートで継希の消息に触れられていないのも納得だし、魔法も奇跡もない実力と努力で掴み取っていく方がこの作品にはあっている気もする
ジャックジャンヌ
面白かったです。乙女ゲーというより演劇を舞台にした青春群像劇という感じで、終盤になるとそれまでに親密度上げたキャラルートに分岐できるので恋愛色も濃くなっていくのですが、何より主人公たちが真摯にひたむきに演じること、舞台を作ることに懸命になっているのでそこまで恋愛恋愛してなくても違和感ない
気づけば攻略対象ほっぽってステータス上げに集中してるのは金色のコルダを思い出しました
以下ネタバレ感想
・本当に面白くてやりだすと止まらなかったのですが、結局お兄さんはどうなったの????
あれだけ冒頭から存在感あって途中もちょくちょく回想やらで出てきて、てっきり主人公ルートで明かされるかとおもったのに何もなかったので(オナカ関係か?と思われる示唆はありましたが)、まず主人公ルートを終えての一番の感想が「つきにぃは?」でした
話自体は良かった。良かっただけにそこが本当に…入り切らなかったのかどうなのか
もし考えてあるなら完全版として出してほしい
私が見逃してるだけでしょうか
主人公が事故にあってもけろっとしてたりスズくんの怪我の回復具合もつきにぃ=オナカの不思議パワーなのかなって勝手に納得してたので、そのへんも気になるところ
あと性別偽ってる以外はそのままなので、ユニヴェール入る前の(あお以外の)知り合いがあれ立花さんちの希佐ちゃんじゃない?って気付いたり、このまま有名になったらユニヴェール出たあとも男として過ごしていくのか?とかそういうのも全部不思議パワーで誤魔化しきいてるのかなあとか色々
・上でも書きましたがどのキャラもどのルートでも演じることにみんな真剣に体当たりで挑んでるので、ぶつかってた壁を乗り越えられると「良かったねえ嬉しいねえ良かったねえ」とキャラたちと一緒に喜びながらプレイしてました
・新人公演から冬公演までは共通ルート、最後の最終公演でルートが分かれるのですが、要所要所でキャラが変わるくらいだろうなと思ってたら各ルート毎に話が違ってて驚き
同学年相手だと主に悩むのは相手の方で、先輩キャラだと主人公が思い悩むとか、主人公と相手役だけでなくライバル関係であるアンバーの配役も変わったり、他のクラスの展開も違ったりして色んなパターンが見られる
・一番王道なのはスズくんルートでしょうか
一年生をメインに据えて次の世代へ受け継がれるものと、二人は幸せなキスをして終了というめでたしめでたしな展開
・世長くんルートのあのアンバーの後の空気を一人で変えたあの手腕は序盤からの成長が感じられてとても熱くなった。途中の荒波が一番激しかったのもこのルートだと思うので、その結果がジャックエースにはこだわらないというのも含めて成長したなあと
世長くんルートで出てきた課題がスズくんルートになかったのも、確かにスズくんはそういうの言われずとも出来てるよなと思ったり(逆に作中でも指摘されてる通りスズくんは何を演じても織巻スズになってしまうという弊害?がありますが)
世長くんは主人公にもだけどスズくんに会えて良かった。あんなに真正面からぶつかってくれるなんてそうそうないよ
・一番乙女ゲーっぽいなと思ったのはフミさんルート。思えば主人公を一番女の子扱いしてくれたのもこのルートかもしれない。根地先輩ルートは男と女の概念みたいな感じだったし。新人公演からの配役を考えると最後のパートナーがフミさんなのは収まりがいいかなと
あとアズールの顛末を思うとフミさんルートが他にない展開なんですよね
・でも最終公演の作中劇の展開と一番親和性高いルートなのは根地先輩ルートだとも思う。途中あわやという展開も被るというか、そのままを書いたんだからそりゃそうなんですけど、どっちかというとあれは才能が枯れたというよりスランプなんでしょうが、そういう枷を作ることで爆発力高めてたのかなあとか
何気に合宿でシャツの柄が変わるの面白かった。根地先輩のなかではカイとスズくんはイジっていい対象なんだな
代わりに主人公がジャンヌ組に言いつけるって言ったら怯むのが力関係垣間見える
劇の衣装も何気に凝ってますよね根地先輩
しかし欲を言えば演者として個人賞で金賞取る説得力を観客の反応含めもうちょっと出してほしかった。どっちかというと演出家としての面が強調されているなと感じたので
・カイさんルートはこれぞジャックエースというかカイさん自身の問題あらかた片付いた後の安定感半端ない。クォーツをガンガン引っ張ってくれてた。三年の先輩ルートだと鳳くんも主人公三人組と同じように先輩に気にかけてもらえている描写があって良かったねえと
ただ性別バレが強引過ぎてちょっと笑ってしまった。いやきっかけになった子供にはきつい展開で、そこまでしないとカイさん気付かないんだろうけども
・白田先輩ルートは一番パートナー感強かった。冬公演との親和性高いですよねこのルートは。ダブルアルジャンヌとして二人で歌う歌があるのも強み。田中右先輩にも気付かないっていうのが印象的だった
それにこのルートだと77期の奮闘がみられる。もうちょっと詳細あっても良かったんじゃないかと思うくらい
ただせっかく主人公かジャックエースという他にない役どころなのに作中のボイスがほぼアルジャンヌのものなのは残念だった。このルートだけ変えるのは難しいのは分かるんですけどジャックエースとしてのシシアも音として聞いてみたかったなあ
・田中右先輩エンド?は全ステータスマックスになるのが気持ちよかった
あれは希佐自身というより希佐の才能が必要とされているという感じでしょうか
根地先輩ルートだと意外に普通に先輩後輩なんですよねあの二人
紙屋か百無それぞれ考えるならスズくんか世長くんルートだしなあ
・クラス超えてお互い教えあってるの良かった
・個人的に御法川先輩の優しくされるとすげードキドキするがクリティカルヒット
あれは希佐が女だと気付いているのかいないのか
・それぞれのルートもなんですけどサブキャラも最終公演で結果発表のときにコメントくれるし、攻略キャラたちも主人公ルートで多分親密度一番高いキャラが要所要所で反応してくれるし全部見ようと思ったら相当時間かかかると思います
・あと曲とダンスで一番かっこいいと思うのはなかつくにのキルツェ
一番一番言い過ぎですね
いいゲームでした
リングフィットアドベンチャー
一周目クリアしました。最後はレベル200、スキルツリーも全部は取れなかったけどいけました
運動したいとは思ってるけどなかなか始められない、もしくは長続きしない、ゲーム感覚でならいけそうという人に合ってると思います。つまり私には合いました。逆に自分でガンガン筋トレや運動できる人は筋トレ目的でやると物足りないかもなと思ったり
最中は励まして褒めて伸ばしてくれる。敵にやられても責められることはなくあっさり次も頑張ろうねで終わるのでストレスは感じにくい仕様
ボス戦で負けたらステージの始めからかボス戦からか選べました
ステージは23あって進み方はマリオ形式
プレイヤーキャラは男女で選べて相棒となるリングコンの子も男女で選べる
負荷も適宜変えられますし、最悪センサーが反応してくれればいいのでどうしてもストーリー上必要だけどきついときにはちょっとズルしたりもしました。ごめんねドラゴ
ステージクリアしたあとは脈拍測ったりもできます。それによって軽い運動~強い運動の判定が出る
回数が多くなるとお手本役のミブリさんが紙吹雪ばら撒きながら小躍りで祝福してくれます。初めてみたときはちょっと笑ってしまった。ありがとうミブリさん
内腿にリングコン挟んで腰を持ち上げるやつ、どうやったらリングコンが反応してくれるか試行錯誤しながらやってました
腿に挟んで内腿プッシュするやつも服の生地や挟み方によってはリングコンがあらぬ方向にすっ飛んでいくので注意が必要
アームツイストはあの動きで攻撃700超えは美味しい
やってて辛かったのはスクワット、プランク、マウンテンクライマー。片足で立つバランス系。舟のポーズはあれ反動なしでどうやって起き上がればいいの?腹筋?
水場や階段の腿上げ必須のところもずっと続くときつかったし、追加攻撃のペダルやモモアゲなんかも体力消費しました
お金や経験値くれる金と銀の敵は数増えてくると半分は逃げられるんですけど火力が足りないだけかなあ
よくあるラスボスの第○形態が自分が動いての体力勝負となるとこんなにきつく感じるのかと思いながらやってました
あと次々に投げてくる的を当てにいくのがどうにも苦手。腕が追いつかない
なんだかんだで楽しくやれたゲームでした
ゲーム感覚だからこそ続けられた運動だとも思います。これから続けられたらいいなあ
ドラクエ3プレイ中2
ゆうしゃ(おんな)セクシーギャル
せんし(おとこ)ちからじまん
とうぞく(おとこ)みえっぱり
まほうつかい(おんな)きれもの
でやってます小ネタ2
これみえっぱりじゃなくて人見知りでは?と思いながら書いてました
みえっぱりってどんなんだっけ
***
一日王女
宿屋にて、盗賊は割り当てられた部屋で魔法使いと二人で微妙な沈黙に包まれていた。先程まで勇者と戦士もこの部屋にいたのだが揃って出掛けた後で、そのまま魔法使いも出ていくのかと思いきや彼女はこの部屋に留まった。盗賊は魔法使いがこの場に残った理由――話したい用件について心当たりがあったので彼女が切り出すまで待っていたのだが、一向に口を開く様子がない。扉近くに寄りかかったままじっとベッドに腰掛けた盗賊を観察してくる。いい加減気詰りなので盗賊は魔法使いに助け船を出してやることにした。
「話があるんだろ。さっさと言ったらどうだ」
むっつりと、いかにも不機嫌ですといった対応だったが魔法使いに堪えた様子はない。これは他のパーティーメンバーにも言えることで、お前らなんでそんなに色々気にしないんだと常々盗賊は不満に思っている。
魔法使いはしばらく落ち着かなげにしていたが、ようやく決心がついたらしく顎を引いて盗賊をみすえる。武器を握る手にぎゅっと力が籠もった。
「じゃあ言うけど。私達、勇者にもっと慣れた方がいいと思う。いつまでもこのままじゃいられないんだし」
「………」
「おい無視すんな、何だその顔」
魔法使いの憤然とした意見が聞こえたが、盗賊は盗賊で苦いものを噛み潰した顔をしている。
今現在、勇者はパーティーメンバーの誰かしらにくっついて離れようとしない症状が出ている。以前なら気力体力尽きるまで宿に泊まろうとせずあれはあれで辛かったが、ここ数日は日のあるうちから宿に入りパーティーメンバーとなんとか交流を図ろうと涙ぐましい努力を続けている。
原因はちゃんとあった。とある国の王が気軽に王様をやってみないかと持ちかけたのをこれも勇者が軽率に「はい」と答えてしまったからである。絶対にあの勇者は竜王に世界の半分をやろうと言われたら「はい」と答えるタイプだ。
後に聞いたところによるとその王様はそんな風にして頻繁に王位をポイポイ投げているらしく、大臣などは既に五回も王様をやったことがあるという。のみならず兵士や国民、王の関係者までもがまたかという反応だったので、あの国ではよくあることだったのだ。
だが勇者を始めとした我がパーティーメンバーはその段階ではそこまでその国の内情に詳しくなく、あれよあれよという間に引き離され身ぐるみを剥がされたと思ったら、王様仕様に飾り立てられた勇者が王女として呆然と玉座に座っていたのである。勇者からしてみればいくら探しても共に旅してきた仲間は見つからず、道具も装備も取り上げられた。出会う人は旅人の勇者ではなく王女としてのみ扱ってくる。国の外にも出られないしで、やっと本来の王様を見つけて女王を返上し仲間達がぞろぞろと勇者の前に出てきたとき、勇者は膝から崩れ落ちた。それから勇者のべったりが発動して戻らないのである。
実は勇者が王女様をしている最中仲間たちはずっとその後ろを隠れて尾行しており、それを知った勇者が私抜きでそんな楽しそうなことをと本気で悔しがって、あの時間を新たな忍びの技の習得の時間として楽しんでいた戦士に是非その技を極めたいと勇者が志願すれば裏表のない戦士は一も二もなく受け入れて、つまりはそういう理由で二人して町に出かけていったのである。
これも後から聞いた話によると、勇者がなぜ王座に座ることを承諾したのかといえば、王様になったらあの城の開かない扉や宝箱を取れるかもしれないと思ったからだそうだ。そんなわけあるかと他の三人は力の限り突っ込んだ。勇者はちょっと嬉しそうにしていた。
普段あれだけ堂々と民家やときには王城、井戸に至るまで物色しまくり、盗賊が本職の己ですら内心戦かせている人物の強欲さに引けばいいのか脱帽すればいいのか。
「……あの勇者と?」
色々混ぜ込んだ苦味のある返答はばっさり小気味よく切られる。
「どの勇者でも、よ」
今のちょっとめんどくさい勇者でも、そうでないときの勇者でも。
真っ直ぐに相対する魔法使いと、どこか後ろめたい思いを抱えている盗賊とでは睨み合いは分が悪い。
あのとき、真紅の王の衣装に身を包んだ勇者を前に咄嗟に隠れたのは盗賊だった。戦士と魔法使いはそんな盗賊の行動につられて、後はめったにない体験にどちらも面白がって止め時が分からなかった――というのが尾行側の真相である。
あのときの心情を思い返すにつけ盗賊は何とも言えない気持ちになる。
国お抱えの戦士もとい兵士、魔法使いはいても盗賊はいない。勇者が王族から出たこともあるし、逆に勇者が国を開いて王となった例もある。盗賊だけが違うのだった。
必要以上に己自身を卑下するつもりはないし選んだ職業を後悔もしていないが、咄嗟に表れた行動に盗賊のなかで決着をつけなくてはならない何かがあるのは確かだった。
「今のままじゃ旅が進まないのは分かってる」
「ええ、そうよね。それで?」
どうやら魔法使いは「はい」以外認めないつもりのようだ。
勇者が王女として過ごした期間はごく短い間で、元の旅人としての勇者の方がしっくりくると納得の声もありつつ、それでも惜しむ声も多かった。本人は話を聞いたり伝言を伝えただけだと言っていたが、稽古をつけて欲しかったと言う城の兵士もいたのだ。
魔法使いの外れない視線はここが変わり時だと盗賊に突きつけてくる。
戦士はあの感じだから心配はいらないとして、残るは後衛組の盗賊と魔法使いだ。魔法使いがこうしてわざわざ言ってきたところからするに、魔法使い自身も何らかの躊躇いがありしかし今はそれにこだわっている場合ではないと盗賊と自分自身に発破をかけにきたのかもしれない。
この先激しくなるだろう戦いのなかで、命を預け合う相手だ。何が切っ掛けで全滅に繋がるか分からない。同じことを繰り返すわけにはいかなかった。
盗賊はこれみよがしに笑顔を作る。にっこりと、擬音がつきそうな笑顔である。
「どうやらお互い、無理やりにでも勇者に慣れなきゃいけないみたいだな」
なにせ盗賊である自分を引き入れたのは勇者なのだから。盗賊だからできることもあるだろう。
提案通り勇者だけでなく魔法使いの心情にもなんとなく気付いていると匂わせたのにも関わらず、当の魔法使いは分かればいいとそっけなく対応して体を起こした。背を向ける。
「――私も、このメンバーで旅が続けられて、良かったと思ってるから」
きれものの魔法使いにはそぐわない、どこか弱々しい口調だった。
盗賊は俯いて、顔が感情に歪むのに任せる。
――私“も”、ときたか。本当にどこまで分かっているのか。
そのまま出ていこうとするのを盗賊は立ち上がり、身形をざっと整えて追いかける。
「待て、俺も行く」
勇者と戦士を迎えに行くんだろ、と声をかけて先に部屋を出て扉を抑えて待っていると、ようやく魔法使いから――旅を共にする仲間から、微笑みらしきものが返ってきた。
ドラクエ3プレイ中
ゆうしゃ(おんな)セクシーギャル
せんし(おとこ)ちからじまん
とうぞく(おとこ)みえっぱり
まほうつかい(おんな)きれもの
でやってますという小ネタ。それぞれ名前を付けてますがそれで書くのは恥ずかしいので職業名で。
戦い方や旅の仕方は慣れてきたけどまだ当人同士の交流はぎこちない感じ
セクシーギャル難しい
***
うさぎのしっぽ
「これを……?」
封印されていた旅の扉を抜け、新しい大陸に進んだ一行はまず土地勘の把握と現状必要な装備及び金策のため、ただひたすらあちこちを歩き回り数多くのモンスターと対峙した。そうして今回パーティーメンバーに配られたのはふわふわとした可愛らしいものだった。
戦士は掌の上に乗せられた物体を当惑気味に撫でる。途端に顔つきが変わった。手触りが抜群によかったのだ。誘惑に逆らえずにそのまま撫で続けて他の三人の様子を窺う。パーティー随一の賢さを誇る魔法使いは早々とリーダーからの贈り物を道具袋にしまいこみ、当人は何かしらの思案をしているようだった。彼女はこの手の勇者からの贈り物をあっさり支給品と言う。そのための資金は四人全員で体を張って稼いだものだから感覚的には間違ってはいないのだが、それにしても興味がなさすぎる。戦士は未だに撫でる手が止まらないというのに。
一方で渋っていたはずの盗賊は勇者から、戦闘中に色々盗んでくれるおかげで助かっているそのお礼だと自尊心を刺激されてあっという間に手のひらを返していた。そっちの意味でも素早いのか。普段のみえっぱりはどうした。いやみえっぱりだからこそ煽てに弱いのか。
盗賊の彼と戦士の男二人はどうにも揃って女性陣に手玉に取られている気がする。しかし戦士はそれが嫌ではなかった。盗賊がどう思っているかは知らないが、少なくとも戦士はこのやり方とバランスが自分達に合っていると思う。
お金の管理を始め、次へ向かう目的地の選定などパーティーの最終的な判断は勇者に一任されている。それが勇者と呼ばれる者の気質なのか、気付けば自然とそうなっていた。或いは彼らの旅路の行く先々にまるで導くようにかつてアリアハンの勇者と言われたオルテガの――自分達がリーダー役を任せている勇者の父親の痕跡が、星屑を散らすように残されているからか。
勿論戦士含め他の三人も意見を言うが、それでも最終決定権は勇者にある。その勇者の意思になんとなくでも付き合ってやろうという空気が三人の間に芽生えつつあるのは確かだった。勇者とは説得力の代名詞なのか、と戦士は考えることがある。
とにもかくにもそうして今回渡された装飾品は、絶対に身につけろと言われたものではない。無駄遣いになっちゃうけど、と差し出されたそれを戦士は相変わらずふわふわと撫で回している。盗賊もその目利きで検分している。魔法使いは勇者に近寄って残金の確認を始めた。今夜の宿代でも気にしているのだろうか。
戦士は指の間から見える毛の固まりに目を落とす。この世にはどういうわけか性格が一変してしまうアイテムや本があって、その一つがこれだった。運があがるが、性格はこれまでのものとは違ってしまう。今までこうした効果のものは渡されることなくすぐに共有の道具袋にしまいこまれていた。勇者からも使う必要を感じないときっぱり明言されていた。その後に、そのままの皆でいいから、と付け加えられて胸の内がくすぐったくなったのを覚えている。
だから戦士は今回一人一人に手渡されたモノにかなり動揺していたのだ。ただ持っていて欲しいだけだと言われ、使わなくていいことにほっとした。戦士たるもの何を軟弱なと言われるかもしれないが、自分の意思とは関係なく強制的に人格を変えられるというのは――少し、こわい。
頭のいい魔法使いや盗賊はそんなこととっくに分かっていたのだろう。全く平然としたものだ。戦士は手の中の幸せな感触から離れ難く、無心に毛の塊と戯れている。しあわせものになるというその装飾品は確かに持っているだけでも、触れているだけでも心和む存在だった。
ふと魔法使いと話し込んでいた勇者がうさぎのしっぽをまだ手に持ったままの盗賊と戦士をそれぞれ等分に見て、
「可愛かったからね」
とほのかに笑って言う。確かに、とすぐさま全力で賛同しようとした戦士はしかし、気持ちいいでしょ、と小さく首を傾げられての後追い発言に開けようとした口を閉じた。なんせセクシーギャル。夜更けに訪れた民家で寝ぼけた人妻にまるで不貞を働こうとしたかのような言動を取られた人物である。そもそもそんな時間に民家に突撃するなという話なのだか、どうも戦士は勇者のこういった手合の言動が慣れなくて気まずい思いをすることがあった。
その容姿も体格も所作も、男とも女ともつかぬ曖昧さを持った人である。女と知って驚かれることもあれば、無邪気な子供が疑うことなく性別を見抜きかっこいいと褒めそやかしたりもする。勇者自身の性別ははっきり決まっているのに、どちらにも見えるし、どちらにも取れる。戦士達が戴く勇者はそうした一癖がある人物であり、同性だから軽く受け流したり、逆に異性だから照れたりと言ったような決まった態度に出れないことがある。今がそうだ。要するに、この勇者の独特の雰囲気にまだ慣れていないのだろう。
助けを求めて戦士は同じ状況に置かれた盗賊にそっと目配せで救難信号を送った。送られた方はそっと目をそらす。お前もか。こういうのには慣れていそうなのに。
勇者だけが気付かない何とも言えない空気を救ったのは魔法使いだった。手持ちの武器をこつんと勇者の後頭部に当てる。淡々と判定を下した。
「はい、アウト」
「ええっ、今ので?厳しくない?」
「コンプライアンス班として今のは見過ごせません」
「ううん、そっかぁ。気を付けます」
頭を抱え、これじゃ何も言えないいっそ無口キャラでいくかと思い悩みながら無造作に髪をかき回す勇者の隣で魔法使いが戦士と盗賊に向けて頷き、手招きされる。これからの方針を話すのだろう。戦士は盗賊と顔を見合わせて、とりあえずまだうさぎのしっぽは撫でながら我らが勇者の元に集合する。まだ旅は始まったばかりなのだ。
「――いやもういいだろ、どんだけ気に入ったんだよ」
盗賊の戦闘中の如く素早い無慈悲な切込みが戦士の耳に突き刺さったが、そこは素知らぬふりをした。戦士は力も体力もあるので打たれ強いのである。
十三機兵防衛圏
面白かったです。ネタバレしかない
・相変わらず食べ物がおいしそうで眼福
・戦闘は一番簡単なのでやったので大破することはなかった。それでさえ危なかったときあるけどターミナルの回復使ってなんとか
ターミナルをあげとけばなんとかなる。あとはアーマー貫通と対空と対地とEMP関連とガーディアンとセントリーガンとインターセプターと…大体全部だなこれ
・よくある好きな人のためなら、を可視化してスキルで表すとこうなるのかなと
・当然と言えば当然なんだけどエンディングで2188の緒方の父親が全くのノータッチでちょっと笑った
・しかし生き残れてよかった
何万年かそれ以上経ってるなら耐用年数も越えてしまう
・起動マーカーかっこいい。中二心がそわそわしました
・変わらず相手と結ばれた人もいれば違う人もいたりでそれぞれ違うパターンが書かれているのが面白い
考え出すときりがないやつだけど、そもそも同じ遺伝子でも生育環境も時代も関わる人も違えばそれは全くの同じ人格でかつ同じ趣味嗜好を持っているのか?という
・東雲先輩は報われないというかなんというか
でもあの二回に渡る東雲先輩のあれがなければ今周のセクター越えのカプ成立はなかったわけで
そのままいってたら一周目で確定してたわけで
井田といい郷登といいああいうのが好みなんだろうなとは思った
最後の郷登と一緒に森村先生に教えをこう師弟な感じはほのぼのした
・比治山と沖野ががっつりBLでヒエーとなった
どうせなら百合もあったら全方位できたのにと思ったけど、あれ以上人数増やすと収拾つなくなりそうだしなあ
最後のもしかしてなっちゃんとの子供では?で百合感じなくもなかったけども
あの感じでは比治山と沖野が一番進展遅そう
・2188のみんな大人でかっこいい。恵と郷登は別だが
・Bjとしっぽ好き
・因幡深雪の歌好き。気付いたら覚えてて口ずさんでる系
・恵は途中までこのまま一人報われずにいくのかと思ってたので無事結ばれたのはよかったが、えっ君はむしろ五百里の方を気にしてなかった?えっ?いつのまに?っておめでとうと思う前に混乱と困惑が先に来て、でもあの真っ直ぐで熱量のある告白が怒濤できたので、あっうんそこまで言うならまあ…よかった、ね?となりました
恵視点だからそこまで歓迎されてないように見えたのかな
その告白のあとからエンディングまでをみると見事に二人の世界というか、恋人すっ飛ばして万年新婚夫婦で恵の方は特に変わってなくて十郎もあれが素の言動なんだろうと思うので、確かにあれが炸裂すると歯止めがきかなくなるというかラブラブになるしかない
いわゆる好き避けというやつ?ツンデレとは違うよね
じゃああのときの言動の影で実は?じゃああのときは?ってしばらく混乱したよね
三浦視点の二人を見てみたいと思うけど、彼は彼で菜津乃やちひろや自分のことやハンバァグでいっぱいいっぱいだと思うので無理かなあ
あと告白のときの十郎の記憶の好きな人のために限界を越えて戦うところがとても好き
恵のどこが好きって結局は相手のためじゃなくて自分のためだったんだと自覚して、最後には戦うため守るために身を投じるところ
戦い方が死ぬつもりはないんだろうけど危なっかしいのでこれは十郎も目を離せないだろうなと
・最初ロック条件と2188見て郷登が黒幕になるのかと思ったけどそんなことなかった
千尋が好きで欲望まみれ云々で、おっこれはと思ったけどやっぱり全然そんなことはなかった
ちゃんと前を見てみんなとの未来をつかみとれる子だった
・井田と深雪、426と森村先生とフォローが手厚い
最後の緒方のずっと待ってたのかには気持ちがシンクロした
ミワコとも再会できてよかったなあ
星界の戦旗Y
十二国記に続きまさか続きが出るとは思ってなかった第二弾
おかげで六巻が出てるのに気付いたのは今月に入ってからでした
・ラクファカール陥落から十年、ついに帝国が反撃を開始。思い起こせば紋章から始まった戦争は前巻の帝都陥落を経て今回やっと反撃が始まった、という感じです
帝都を落とした四カ国連合はあのあと勢いに任せて帝国に攻勢をしかけていたと思っていたのですが、どうもそういうわけでもないらしく
アーヴもアーヴで青息吐息。ですが四カ国の方も帝都を落としさえすればアーヴは滅ぶという目算のもとしかけた戦争のようで、実際はそうはならず話が違うと足並みも意見もあわないのだと
読者目線からするとあのアーヴがラクファカール失陥というこれ以上のない憂き目と屈辱にあってしおらしく悲嘆に暮れる姿は想像しづらく、むしろ怒り狂って死に物狂いで反撃に出るという印象なのでそれはそうですよねと
アーヴというよりアブリアルの印象ですかねこれは
・戦争自体は今回四カ国のうち一つに勝利を収め、またもうひとつを崩せるか、帝都奪還かというところ
こんなことを言ってはラフィールに睨まれるかもしれませんが意外にも危なげのない勝利でした。戦時で緊急事態だからこその昇進で未熟で経験が足りないのは本人達が百も承知していますが、読んでいるこっちも大丈夫かとハラハラしながらページを捲っていました
突撃艦の頃と比べると責任が帝国の存続と直結するぶん命のやり取りをする緊張の度合いが大きく違いますね。軍に限らず責任が重くなる代わりに最前線からは遠ざかる
・読んでいてちょっと思ったのが、ないとは思いますがこの上アーヴ内で内紛とかはないですよね?なんだか不穏に感じた部分があったので。いつも通りの諧謔と取っていいんでしょうか。スポールさんのは逆にこれがないと落ち着かないんでむしろそうそうこれこれと思ったものですが
・落としさえすれば降伏するって考え方は四カ国が帝国に対してやって失敗してるんで、連邦に対してやって同じ轍を踏んでしまうんじゃないかと不安ではあります
・そしてジント。地上人であり空識覚がないのでこと戦闘になると全く出番がなくまたそれにも全く違和感がない、しかしふとしたときに現れる。そんな存在感はラフィールのなかのジントの印象と被ってるのかなと思ったりもしました
これまた意外にもジントの方も行政官としての才能が開花。紋章の最後でどんな形であれラフィールのそばにいてみせると決意を固めていましたが、よく考えると次期皇帝争いの参加が義務になっているラフィールに釣り合うにはジントの方にもそれなりの立場が必要で、今更ながらジントもジントで相当の努力と才覚がないと務まらないのだと再確認したり
・作中とあとがきで言及されていましたが、地上人であるジントは長命で一定の年齢から見た目が老けないアーヴとは異なり、いま青年とは言い難い年齢となり、そしてこれからどんどん年を重ねていきます。余計なお世話なのは重々承知ですが二人の関係はどうなってしまうのだろうと、つい妄想が働いてしまいます。多分死ぬまで寄り添って生きていく二人ではあるのでしょうけれど、果たして二人の遺伝子を持った次世代を作る意思はあるのか。そんなこと言ってもあっさり二人が子供作ってたら諸手をあげて大歓迎なんですけど
でも今回ジントの非アーヴ的な部分を愛しくも思うが厭わしくも思うというラフィールの独白をみて、もうそういう段階になってるんだなあと。青くさい恋愛というより熟年夫婦の域
・戦争は百年で終わるといいなあという感じらしいので、うまくいけばジントが生きているうちに戦争終結となるのでしょうか
・それとディアーホがまた出てきてくれて嬉しい。もうかなりのおじいちゃん猫のはずなのに文章から受ける印象は全く変わっていない
いまさら翼といわれても
古典部シリーズの新作。まさか続きが出るとは
今回は遠回りする雛と同じく短編集でした。遠回りする雛は入学から一年を通しての古典部四人それぞれの関係性の変化と謎解きが書かれ、何より最後の「春が来た」でうおおおお…!となった身としては読後感は明るく感じたものでしたが、今回はなんだか不穏。
いや千反田の進路としてはこうなった方が明るいのかもしれませんが、折木のモノローグや千反田本人の述懐にもある通りなんだかタイトルのような気持ちになってしまったのです。まだ告げられてから間もないということもあるのでしょうが
遠回りするする雛と比べるとより個人個人の関係性に踏み入ったお話で、謎解き感はそんなにないかも。千反田のあの台詞がないためかもしれませんが選挙の話は締め方も含めて相談、摩耶花のは謎解きというより調査という感じだった。
それでも里志の折木への対応の変化や今回折木評にあったような正義感を知れたり(だから摩耶花は里志のことを好きになって価値観もあうのかなと思った)、摩耶花の方も中学の頃にあった折木に対する誤解を清算して(ああまではっきり自分の非と思ったことを認められて謝れるのはすごいと思う)漫研の退部の経緯も知れてよかった。特に退部の経緯は色々あっても最後ポジティブな理由で辞めらたようで安心しました
折木の長い休日にあるように折木自身の変化もあったり。結構照れ屋なんですかね折木は。雷の話の最後も含めて折木×千反田をこっそり応援している身としては来るのか来ちゃうのかとそわそわしたりもしました
後はやはり最後のお話。責任を果たせ甘えるななんて言わないと折木本人を含め、摩耶花や里志も言わないだろうと言い切られて(モノローグだから思いきられて?)いるのがこれまで四人が過ごした日々の証のようで嬉しかったです。千反田からも他の三人に対してきっとそんなことは言わないし思わないんでしょう
蔵のシーンでは折木と話している千反田は折木がいる方向に向けて掌とおでこくっつけてくれてるといいなと。ああでも背中合わせも捨てがたい。
また続きがあるかは分かりませんが千反田の進路含めいい方向にいってくれるといいなと思います。あとこのまま誰も入らないと古典部廃部になるので新入部員の件もどうなるか
どろろ 24話
・これで最終回でいいんですよね?しんみりした終わり方でした
・その大事な城が燃えています
・百丸鬼にとってはどっちもおっかちゃんになるわけだもんなあ
・多宝丸にも救いがあってよかった
・国がこれからどうなるのか気になるところではありますが、あくまで百鬼丸とどろろに絞った終わり方でした
とりあえず何年か後にでも成長した二人が出会ってくれればいいと思います
どろろ 23話
・血の表現かっこいいと思ったら痛い描写が続く
・アクション気合い入ってて見てて楽しかった
・戦に勝てても城が焼失してしまったら終わったも同然では
報いと言えば報いなのかな
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