いまさら翼といわれても
古典部シリーズの新作。まさか続きが出るとは
今回は遠回りする雛と同じく短編集でした。遠回りする雛は入学から一年を通しての古典部四人それぞれの関係性の変化と謎解きが書かれ、何より最後の「春が来た」でうおおおお…!となった身としては読後感は明るく感じたものでしたが、今回はなんだか不穏。
いや千反田の進路としてはこうなった方が明るいのかもしれませんが、折木のモノローグや千反田本人の述懐にもある通りなんだかタイトルのような気持ちになってしまったのです。まだ告げられてから間もないということもあるのでしょうが
遠回りするする雛と比べるとより個人個人の関係性に踏み入ったお話で、謎解き感はそんなにないかも。千反田のあの台詞がないためかもしれませんが選挙の話は締め方も含めて相談、摩耶花のは謎解きというより調査という感じだった。
それでも里志の折木への対応の変化や今回折木評にあったような正義感を知れたり(だから摩耶花は里志のことを好きになって価値観もあうのかなと思った)、摩耶花の方も中学の頃にあった折木に対する誤解を清算して(ああまではっきり自分の非と思ったことを認められて謝れるのはすごいと思う)漫研の退部の経緯も知れてよかった。特に退部の経緯は色々あっても最後ポジティブな理由で辞めらたようで安心しました
折木の長い休日にあるように折木自身の変化もあったり。結構照れ屋なんですかね折木は。雷の話の最後も含めて折木×千反田をこっそり応援している身としては来るのか来ちゃうのかとそわそわしたりもしました
後はやはり最後のお話。責任を果たせ甘えるななんて言わないと折木本人を含め、摩耶花や里志も言わないだろうと言い切られて(モノローグだから思いきられて?)いるのがこれまで四人が過ごした日々の証のようで嬉しかったです。千反田からも他の三人に対してきっとそんなことは言わないし思わないんでしょう
蔵のシーンでは折木と話している千反田は折木がいる方向に向けて掌とおでこくっつけてくれてるといいなと。ああでも背中合わせも捨てがたい。
また続きがあるかは分かりませんが千反田の進路含めいい方向にいってくれるといいなと思います。あとこのまま誰も入らないと古典部廃部になるので新入部員の件もどうなるか
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