字を書くように字を消す鉛筆型消しゴム。出荷時すでに削られており、その切削角度は34°くらい。
鉛筆キャップつき、ベルマークつき。2017年11月発売、日本製。
軸色四色および無色、六角軸。
ふつうの鉛筆とだいたい同径で長さが半分。消しゴムはたぶん非塩ビ。
φ7.9mm×88六角軸、消しゴム芯径3.8mm、封蝋あり
銘は一面のみ、銀字:
PENCIL ERASER Hi [白抜き囲み文字] LiNE
†紙はコクヨキャンパス
一マス3mm×3.5mmを縦に並べ、上1行めは、書いて消す行為を1回、下5行めはそれを5回繰り返したもの。
左から
1)
ぺんてるAinシュタイン0.3HB2)
パイロット ネオックスG 0.9HB3)
三菱ナノダイヤえんぴつB4)
三菱ナノダイヤ0.9HB◆消字力:良、軽く消すのが合う
消しかす:細かくまとまらない
消耗:早い
消し心地:やわらかい
折れにくさ:折れやすい
鉛筆消しゴムは伝統的な形式で、20世紀前半には存在していました。欧州には今もありますし、この形式の消しゴムつき鉛筆もあります。
左から
トンボ モノゼロトンボ モノワン本品
ファーバーカステル パーフェクション7057/185712双頭式消しゴム
ステッドラー マルスレイザー526 61
Koh-I-Noor SUDOKU1350鉛筆
本品の消し心地は右側の欧州製三本よりやわらかく、左側のモノワンと同程度か、あれよりやわらかい感触です。
トンボ モノゼロに代表されるように、細い消しゴムは硬く調整されるため、消し心地も堅いのですが、これは木軸で覆われているためか、3Bでも消せるやわらかさ。
そのぶん折れやすく削りにくく、削り直す際には尖らせない(円錐頂点を削り出さない)ように注意します。
●本品とトガール
消しゴム芯は黒鉛芯よりずっとやわらかく、鉛筆と同じように尖らせようとしても尖らず、ちぎれてしまいます。
ちぎれた先端が鉛筆削り内を詰まらせるから、電動式等では削れません。
同社が勧める削り付きキャップRB023/RB005で削り、途中で終えました。
消しゴム芯先が右隣の鉛筆に比べるとものすごく鈍いですが、モノゼロが2.5mm厚と2.3mm径ですから、細部を消すには十分です。
しかし、消しゴム鉛筆としてはそれでも鋭角であり、また新品時は∠34°で出荷されていることから、同じくらい鈍く削れる同社の五段階調節鉛筆削りトガールも薦めます。
トガールは切削角度を変え、40°〜20°まで5°刻みで調節できます。
それでもなお消しゴム芯を尖らせることは難しい。
左から
本品をトガール1∠40°で削った芯先
Koh-I-Noor1350をトガール1で削った芯先、これは比較的尖る
ファーバーカステル7057をトガール2∠35°で削った芯先、これも尖らせられず、芯先がちぎれる
Koh-I-Noor1350をKUM 4 in 1で削った芯先
Koh-I-Noor 1350の消しゴム芯は硬めで尖るんですけど、かえって消しづらくなります。
トガールのほか、KUM 4 in 1や
ステッドラー512 128でも消しゴム鉛筆を削れます。その場合もやはり尖らせずに途中で削り終えます。
∠30°くらいの切削角度で、芯先を尖らせないように削るのがちょうどいいように感じました。
試みに鋭く削ってみました。
このように削ると、消しゴム芯がたわみやすくなり扱いづらくなります。
鋭く削ったといっても、同じように削った鉛筆と比べるとわかるように、黒鉛芯としては鈍い芯先です。
上から
本品と三菱9800/HBをクツワ ケズール五段階調節鉛筆削りで最も鈍く削った芯先
ファーバーカステル7057を
ナカバヤシ楽らっち6 DPS-T201で最も鈍く削った芯先。
ステッドラー マルスレイザー526 61とトンボ モノ鉛筆を
ソニック ラチェッタ調節機能付きや
ラチェッタカプセルで鈍く削った芯先。
●本品とモノワン
φ6.7mm繰出し式消しゴム、
トンボ モノワンを鉛筆と同時に握り、片手で筆記と消字をこなす使用法があります。
・本品を中指と薬指ではさみ、芯先を内側(手掌側)に向けて握った場合。鉛筆は
トンボ モノ鉛筆。
消すときには親指・中指でペンケシをつまみます。
この変則的な持ち方は、板書書き取りはもちろん、数式を書き連ねたりマークシート試験にも適します。
モノワンより細長いから、指ではさみやすく、また消しゴム先端を内側(手掌側)に向けて握れます。
反面、モノワン用φ6.7mm消しゴムより細いφ3.8mmだから一行消しには不向き。そして削られて短くなります。
この使い方で消し続けると、浅い角度で芯先が接紙するため自然に、画像のように鈍角に尖ります。
この場合、切削角度を∠23°くらいで、削り付きキャップRB023/RB005の角度で削ってもいいようです。
・モノワンを人差し指と中指ではさみ、消しゴム先端を外側(手甲側)に向けて握った場合。シャーペンは
ステッドラー925 35N。
この持ち方で(ペンケシを握る場合)は、トガールなどで芯先をなるたけ鈍角に削るのがよいでしょう。
●付属キャップ
削ると短くなって二本持ちしづらくなるため、付属キャップで延長します。
別売り鉛筆削り付きキャップRB023もあります。
先述通り、おんなじような製品が過去にもありました。田口ゴム工業FR-2200、ラビット500、アイボール鉛筆A654、サクラクレパス クーピー色鉛筆消しゴムなど。いずれも製造中止品。
ペンケシの製造元はアイボール鉛筆かその関連に思います。
個人的には好きな形式で復活を喜ばしく思うんですけど、本品は消耗が早いのに短くて割高、買い換え続ければキャップが余ってゆくのが問題です。178mm長にキャップ別売りでもよかったんじゃないかな。
モノワンの競合品として同じ価格にされたと考えられるのですが、あれと同じ使い方をするにしても、詰め替え消しゴムが二本百円のモノワンと、まるごと消費される本品を比べればやはり割高です。
そして競合品が多数あります。前掲のファーバーカステル7057やKoh-I-Noor 1350、形式が異なるものの同じく細長い消しゴムとして、モノワンを始め、モノゼロや
モノゼロメタル、モノノック3.8、
三菱Eノック、またモノワンと同径消しゴムを用いる
モノスティック、
ファーバーカステル プロントイレーサー1990、平たい
ぺんてるZE31、十字型
SEEDレーダーポイント等多数が存在します。
とくにトンボ モノノック3.8と三菱Eノックは細めの消しゴムを用いるノック式で、消耗品費も低く強力な競合品。
そんななか、どうして割高な価格設定をしたのかと考えれば、
・割高な価格なら、売上個数が低くても売上額をそこそこ確保できると考えられること、
・同社「鉛筆の蛍光マーカー」がそうであるように、同形式製品が他に無く、もしくは無いように見えてクツワに寡占されているように見えること、
・人口減少に伴い需要減少している現状に応じたこと、
の三点が考えられます。
知ってのとおり、政府がインフレ政策を行いながら遅々として進みません。インフレしないのは、
・人口減少に伴って需要減少しているため、
・新自由主義経済体制により構造的にトリクルダウン効果が阻害されて多数の購買力が上昇しにくいため、
・不用意に値上げすると悪性インフレ化するため、
と考えられます。
2012年比で、通貨供給量を四倍にして平均株価が三倍弱になっても名目賃金上昇が著しく鈍く1.02倍(平成29年賃金構造基本統計調査による)、最低賃金がいまだ1,000円を超えないという状況下、需要が増えないまま物価があがるのは不況の深刻化ですから、ペンケシには他製品では成しがたい便益があることを示して需要を喚起あるいは創出しなければなりません。
ですので二本持ちを試してみたらよろしいと思います。その場合なら削り付きキャップで削っても使いにくくならないでしょう。
※2020年4月5日追記:白木仕上げには封蝋が無かった。
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