ノック式φ6.7mm消しゴムの新製品。
替えゴムER-KM。同社モノワン用や他社製φ6.7mmも入ります。
2018年2月発売、日本製。
ノック負荷約800g、残芯20〜23mm、繰出し量2mm弱〜3mm強/ノック
緑軸が従来のチャック露出型ノック式φ6.7mm
ファーバーカステル プロントイレーサー1990とその替えゴム芯7099R。
基本的には先行品と同じですが、ポケットクリップが無く、替えゴム芯が短く、そしてノック機構が異なり、チャックが露出しない方式。
同社モノノックF /φ5mm×100や三菱EノックEH-200 /φ7.2mm×110に採用されていた機構で、φ6.7mmでは初採用ではないでしょうか。
†紙はコクヨキャンパス
画像の1行め(上段)は、書いて消す行為を1回、5行め(最下段)はそれを5回繰り返したもの。
左から
ぺんてるAinシュタイン0.3HB、
パイロット ネオックスG 0.9HB、
三菱ナノダイヤえんぴつB、
三菱ナノダイヤ0.9HB◆消字力:良好
・消しかす;多少まとまる
・消耗;並
・消し心地(消し味);モノワン用替えゴムER-SSMより抵抗が少なく、なめらかにさえ感じる
・折れにくさ;折れる
モノワン用ゴム芯より軟らかいから出し過ぎないよう注意。と言いたいところですが、従来と違うノック機構のおかげか案外折れにくい。
チャック露出型では、消す際にゴム芯が彎曲してチャックに食い込み、折れることがあります。
こちらはチャックが奥まったことによりゴム芯食い込みを抑え、折れにくくなりました。
といっても、出過ぎるとどちらにせよ折れますが、ちょっと工夫すれば10mmくらい出しても折れにくくなります。
●ペン軸を立てずに消す
ペン軸を横倒しにしたままつまみ上げ、少し傾けて接紙角度浅く消してみましょう。
ペン軸中心軸線と同方向へ動かして消すと、かなり折れにくくなります。
折れにくい機構については回転繰出し式
モノワンが最も秀でており、三角柱消しゴムを用いる
ぺんてるAinクリックに至ってはゴム芯を10mm出しても不安がありません。
この使い方をする場合、ゴム芯を出し過ぎるくらいでないとペン軸先端部が紙面に触れて消しにくい。
チャックが露出しない機構は先端部が紙面に触れにくい機構でもあったのです。
本品ペン軸はどの長さのゴム芯も装填可能。短いモノワン用も、少し長い他社製も収められます。はみ出ていますがノックすれば収まります。
当然のように聞こえますけど、チャック露出型は122mm以上でなければ、後方から入れても繰り出せません。短いゴム芯なら前方から入れる必要があります。
いっぽう欠点は、チャックが奥に位置するため、消す際にゴム芯が少したわむこと、残芯(残ゴム)が長くなること。
緑矢印がチャックの位置。残芯20〜23mm。チャック露出型では5mmほど。
残芯は他社製品かモノワンに入れて再利用するといいでしょう。
※2022年9月13日追記
左が後続するゴム芯が無い場合の残ゴム
右が後続するゴム芯がある場合の残ゴム シャーペンと異なり、短いゴム芯を新しく長いゴム芯で押し出せず、短くなった前方ゴム芯を手で取り出す必要があります。この点はチャック露出型も同じ。
ゴムグリップのような滑り止めが無い点についてはなんの不安もありませんでした。
ペン軸表面の印刷が口金まで延びていないのがふしぎ。製造上の都合なのかデザイン上なのか。
尾栓(ノックボタンキャップ)には転がり止めがあります。
それを外して替えゴム芯装填。
替えゴム残量がわずかになったとき、予備を入れても漏れ出ないのも長所。
◆替えゴム芯ER-KM
φ6.7mm×100、塩ビ、日本製。一本入り。
今世紀、可塑剤を避けて非塩ビ消しゴムが増え、φ6.7mm消しゴム芯も例外ではありませんでしたが、本品は塩ビ。
先行品は122mm二本組ですから、短くて一本になった本品は実質値上げ。
もしかしたらこのためにノック機構を変えたのかもしれません。
同社プレスリリースによれば、モノ四角塊消しゴムと同じ生地とのこと。モノワン用ER-SSMより研磨剤が少なく軟らかく感じられ、
モノワンエアタッチ用ER-SATほどではないけれど、なめらかに感じることさえあります。
競合品多数。
同社製品だけでもモノワン、薄いモノスマート、φ6.7消しゴムをシャーペンに組みこんだモノグラフワンがあり、品数増やしすぎじゃないかとも思います。
しかし消費者にとっては楽しい。
本品は良品ですが、少しふしぎな製品です。
過去、同社もノック式φ6.7mm消しゴム、モノノックイレーザーEH-200KAを1989年に発売していました。その後製造中止にされたのですが、それから登場したのが
モノワンEH-SSMでした。
最大の競合品でもあるモノワンは、長いノック式消しゴムと単純な四角塊消しゴム双方に取って代わる製品でもありました。
長いノック式は一字消しできるけれど使うたびに机上で立てたり倒したりしなければならず、四角塊消しゴムは取り上げやすいけれど一字消ししにくく、双方の欠点を短いφ6.7mm消しゴムで解消したのです。
その新しい用法は他社も真似ました。
だからあらためて長いノック式φ6.7mmを出すのが退行しているように見えて少しふしぎなのです。クリップがあったら携帯用とも言えるのですが、モノワンを紛失してしまうひと向けなのでしょうか。
ただ、替えゴムの消し心地はモノスティック用のほうが少しだけいいです。
そこで持ち方をちょっと変えてみました。
立てて消すのではなく、接紙角度を浅く寝かせて消すなら長いノック式消しゴムも取り上げやすくなります。
→●ペン軸を立てずに消す この種のノック式は一字消しには最適だけれど広い範囲を消すには荷が重く、折れにくくなったといっても四角塊消しゴムほどじゃありません。
ですので、前回の
モノライト等と併用することを勧めます。