原料の黒鉛を微細にして均質化、粒子密度を1mm
3あたり80億にすることで、筆記中の砂を噛むような感触を無くし、濃くなめらかな鉛筆芯を実現したトンボモノは、三菱ユニとともに戦後日本製鉛筆の双璧を成す製品です。
計算上黒鉛粒子が0.5μmですから、7〜10μmであるユニより細かいことになります。
1ダース税別1080円(1本90円)、樹脂箱入り、MONO消しゴムつき
大きさφ7.8×176mm 六角軸、封蝋あり
芯硬度 : 6H〜6B (F含む)
銘は金文字で二面に、芯硬度表示は三面に入っています。
"
highest quality [ロゴ] Tombow <HOMO-GRAPH> MONO [芯硬度]"
"MADE IN JAPAN・FOR
hi-precision DRAFTING [JISマーク、1998年4月以降なし] [芯硬度]"
現在はバーコードつき
※2018年4月30日追記:2012年ころ上向きトンボへロゴ変更。また2016年後半からモノ100及びモノRとともにモノはベトナム製になり、MADE IN JAPAN表記が消えました。モノJはまだ日本製のようです。
※2019年2月8日追記:ベトナム製モノJを発見しました。2015年後半のみベトナム製で、以後日本製へ回帰したと考えられます。
トンボは三菱に先駆けて黒鉛の微粒子化に成功、1952年にホモ鉛筆を発売、1963年にモノへ改め(当時60円)、1967年には粒子密度を100億にした上級品モノ100を発売します。
黒鉛粒子を均質化homogenizeした、ということで現在もモノにはHOMO-GRAPHと記されています。
私見では、モノとモノ100は最も色が濃く、同時に跡が残りやすい鉛筆芯でやっぱり私の好みではありません。
なので長い間放置して芯が湿気ってしまいました。
鉛筆の芯が湿気ると画像のように表面がカビたふうになって書き味が著しく落ち、回復させるには削り直さなければならないのですが、モノ100は劣化がほとんど感じられません。
しかしモノの普及品でありHOMO-GRAPH表記がないモノJは湿気ると石を磨り潰すような書き味になります。芯質が違うのかモノ100の放置期間が短かったのか……
軸の芯硬度表示のところだけ塗料が厚塗りされ、7.8mmの軸径に対して7.9mmあります。
モノとkoh-i-noor TOISON D'OR 1900(左)は軸の配色がよく似ています。
トワゾンドールも芯硬度表示部が厚塗りされています。
19世紀から20世紀前半にかけて鉛筆を洗練させたドイツ製やアメリカ製鉛筆に次いで、日本製鉛筆が新たな世代として戦後に登場しました。
しかし、世界に誇る日本製鉛筆も、1934年から1961年まで間断あるものの対米輸出制限品目に数えられ、鉛筆貿易自由化後も1991年まで検査対象品に数えられ(
*1)たため、日本経済にとって巨大市場であるアメリカでは流通していなかったといいます。
現在はアメリカのアニメータにモノ100信奉者がいるくらいだとか。
*1参考資料関連記事
三菱鉛筆ユニぺんてるブラックポリマー999