いつか
、
きっと
一
明けぬれば 暮るるものとは知りながら なほうらめしき 朝ぼらけかな
(夜が明ければ、また暮れて貴方に会える夜になるのは分かっているのです。 それでも、貴方と別れなければならない夜明けは、どうしても恨めしく思ってしまうのです)
二
思へども 験(しるし)もなしと知るものを なにかここだく 吾が恋ひ渡る
(いくらあなたを思っても甲斐がないと知っているのに、どうしてこのようにあなたが恋しいのでしょう)
三
恋ひわび しばしも寝ばや 夢のうちに 見ゆれば逢ひぬ 見ねば忘れぬ
(恋しく想うことに疲れたから、少し眠りたいの。もしかしたら夢であの方に出会えるかもしれないし、夢に見れなくても、その間は、この疲れ果てるほどの恋しさを忘れていられるもの)
四
思いつつ 寝ればや人の見えつらむ 夢と知りせば さめざらましを
(恋しい方を思いながら寝たので、夢にあの方が現れたのであろうか。夢だとわかっていたらそのまま目覚めなかっただろうに)
五
玉の緒よ 絶えなば絶えねながらへば 忍ぶることの よわりもぞする
(我が命よ、絶えてしまうのなら絶えてしまえ。このまま生き長らえていると、堪え忍ぶ心が弱ってしまうと困るから)
六
あふことの 絶えてしなくは なかなかに 人をも身をも うらみざらまし
(もし会うことがなければ、こんなにあなたのことを思うこともないのに。こんなに自分の運命というのを、恨んだことはありません)
七
今はただ 思ひ絶えなむ とばかりを 人づてならで いふよしもがな
(あなたのことを諦める、とただ一言。直接目を見て、伝えたいだけなのに)
八
つれづれと 空ぞ見らるる 思ふ人 あまくだり来む ものならなくに
(愛しい人が天から降りてきてくれるんじゃないか。そんな事を思わせる空を、あるわけがないと思っていてもつい期待して見続けてしまう)
九
君がため 惜しからざりし命さへ 長くもがなと 思ひけるかな
貴方に逢う為ならば
惜しくないと思っていたこの命までもが、
お逢いできた今となっては
長くあって欲しいと
思うようになりました
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