[物語詩]護国の杜
19th.Dec.2015
舞い散る桜吹雪と 鎮魂の社の木々のざわめきの中
「この国を嵐から護る石垣の 一つの石になりたい」と呟く姿
精悍な面立ちと もののふの凛々しさを宿した鋭い瞳
それがあなたとの出会いだった
やがてあなたは営に入り 乱れ草の模様の隊服に身を包み 銃を帯びて
暴力と死が吹き荒れる遥かな地へ 薬と食糧を運ぶ同朋の護衛に赴き
力なき人々の盾となって 異国の大地に散った
あれから幾星霜が過ぎた
私の育てた新しい苗は この国の土に根付き
秋が来るごとに 黄金色の波をなし
町々の倉を満たし 人々を潤す
愛しい人よ 遠い地で斃れたあなたよ
あなたが愛し 護ろうとした この国を 人を
形は違えども 私も護り 養い
子らの世代へと繋げよう
この国に幸いあれ
護国の社に眠るあなたに安らぎあれ
[
あとがき]