21st.Nov.2015
久し振りに「マグナリア戦記」本編関連。
こんなシーンが入ります。
記憶をなくす前の元気なフィアン。
微BLなので閲覧注意。
ちなみに自分の名前の記憶もなくしたフィアンの今の名は本名じゃなくて、
このフィアナンサスという架空の花から付けたもの。
*
記憶を失う前のフィアン
「誰か」と一緒にいる
誰か「お前はフィアナンサスの花に似ている」
フィアン「僕が?」
誰か「ああ。春の陽射しをいっぱいに浴びて暖かな風に揺れる、この花だ」
辺りにはフィアナンサスの花が咲き乱れて、フィアンの髪に似た紫色の花弁を風に震わせている
相手が優しい眼差しでフィアンの顔を覗き込む
誰か「戦のない世になったら一緒に暮らそう。
そして家の庭にはフィアナンサスの花をたくさん植えるんだ」
いくさは長年続いていて、そんな日がすぐに来るとは考えられなかった。
だけどこの人とならそれも夢じゃない、と考えるフィアン
この人となら。そして、仲間たちとなら。
フィアン「うん!」
目を覚ますフィアン
室内は暗く静まり返っている
フィアン(今のは、夢……?)
10th.Oct.2015
アスキルは爽やかな笑みを浮かべた。
「これでよかったのさ。
圧倒的な力の差を見せつければ、すっぱり諦められるだろう?
僕は無益な争いが嫌いなんだよ」
王が笑うと、翡翠色の瞳に金色の長い睫毛がかかり、形のよい薔薇色の唇から白い歯がこぼれる。
まるで天使のような微笑だ。実際、その美しい容貌に惹かれて彼に懸想する者も少なくない。
しかし、その眩しい笑顔の裏にある王の本性をウォードは知っていた。
(寒さの厳しい晩秋に敵の退路を完全に絶ったうえで水攻めを仕掛ける男が、「争いが嫌い」とは……よく言う)
そんな部下の胸中などつゆ知らず、アスキルはウォードに言う。
「今回の戦いでは君もいい働きをしてくれたね。明日にでも晩餐の席に招いてあげようか?」
ウォードはかぶりを振った。
「いや、遠慮しておくよ」
「つれないねえ」
部下の拒絶を気にした風もなく、美貌の王は笑みを絶やさずに言う。
ウォードは主君に気取られないようにそっと息を吐いた。
――呑み込まれたくない。
アスキルに気を許して、人の大切なものを何のためらいもなく奪うその男に身も心も支配されることが、彼は恐ろしかった。
7th.Oct.2015
こういった小芝居は寒々しくなりがちなので基本的に書かない主義なんだけど、アスキルの口調(一人称)が
今後変わる可能性があるので、このキャラの今の姿を書いておくためとアスキルの軽いキャラ紹介のために公開します。
*
アスキル「ねえ、フィアンも自分のことを『僕』と言うんだろう?
僕の国の登場人物の一人称が全員『僕』なのはどうかと思うけど」
作者「私だって好きでそうしたわけじゃない。書きたいように書いてたらこうなったんだ」
アスキル「ウォードとフィアンが口調を変えるのは難しいだろうから、『僕』は彼らに譲って口調を変えてあげようか?
一人称が『私』なんて、大人っぽくてちょっといいよね」
作者「お、おう…。ありがとう、考えておく」
アスキル「ところで、僕の国は天下を統一できるんだよね」
作者「さあ、それはどうかな。この話は戦乱の世界を描くものだから」
アスキル「……。リル(※)、今夜僕の閨に来ないかい?」 ※作者の現在の名前
作者「待て、体を使って作者を懐柔しようとするんじゃない。
そんな方法で自分に都合のいい展開を書かせようとしてもだめだぞ」
アスキル「ふーん。君はケチだなー」
作者「そういう問題じゃない」
2nd.Oct.2015
先々週から書いてるフラニエ王国の話がまだ途中だけど、別勢力の話もできてきたのでちらっと公開。
*
城に戻ったウォードは、敵軍との戦闘の様子を王に報告した。
「……で、バーシの軍は接敵後すぐに降伏してきたよ」
「らしいね」
この国を治める王、アスキルが頷く。
「大していくさ上手でもない相手の三千の兵を、
僕の四千の兵と『氷鬼』の異名を取るフィアンの二千の兵、
合計六千で挟撃するとは……。
まったく容赦がないね」
遠征からの帰途でアスキルの指示を伝令から受け取ってそのまま敵軍を挟撃しに向かい、
帰還後初めて王と顔を合わせたウォードは肩をすくめる。
アスキルは爽やかな笑みを浮かべた。
「圧倒的な力の差を見せつければ、すっぱり諦められるだろ?
僕は無益な争いが嫌いなのさ」
しかし、ウォードは眩しい笑顔の裏にあるその男の本性を知っていた。
2nd.Oct.2015
こんな感じで執筆中。
ケータイ小説風の改行で先行公開します。
元の文章がBLなので、ウィステルの描写が微妙に色っぽいです(^^;
*
倒れ込んでくるウィステルをクロウは抱き止めた。
かすかな呻き声を漏らした王の頭ががくりと垂れる。
意識を失ったらしい。
クロウはウィステルの細身の体に腕を回して支えると、
彼の胸に頭をもたせかけてまぶたを下ろしたその端正な顔立ちに目をやった。
彼よりも細い、戦場に立つ者としてはいささか華奢な体躯から温もりが伝わってくる。
国を治めるために奮闘している青年が、今は彼の腕の中で力なく眠っている。
*prev □ホームへ #next
T:15 Y:9 TOTAL:21803