[リヴェイル編・ハロウィンSS]sweet treating (NL ver.)
31st.Oct.2016
無理やり書き上げたハロウィンネタ、一応。今朝公開した分が前半、これが後半。
ただし仮装なし、脅かしなし。
これ冬至じゃね?冒頭が会話SS状態で文章としての完成度は30%ぐらいだけどともかく公開。
今公開しなかったら日付が変わりそうだから。
ブリゼールほどじゃないけど私も忙しいです(殴)
*
すでに日はすっかり傾いている。
ブリゼール「さすがに腹が空いたな。しかし、あと少しで一段落つくのだが……うーむ」
ユニカ「あの、ブリゼール様」
ブリゼール「ユニカか。どうした」
ユニカ「よろしければこれを……。お食事代わりといっては何ですが」
近侍の少女が手にしている盆の上には湯気を立てる汁物の碗が乗っている。
「それは?」
「甘く煮込んだ豆のスープに、今朝畑で穫れたカボチャで作った団子を入れたものです。
料理番にお願いして作ってもらいました。何かお腹に入れた方がお仕事も捗るかと」
「ふむ……」
ブリゼールは手にしていたペンを置くと、
ユニカから器を受け取って、湯気を立てる汁物を一匙口に運んでみた。
煮込んだ豆の甘さとカボチャを練り込んだ団子の優しい口当たりが、
今朝から休みなしで働かせいる脳の疲れを癒してくれるようだ。
ふと目を上げると、従者の少女が空になった盆を抱えてブリゼールの反応を心配そうに窺っている。
自分にも他人にも厳しいことで知られる側近は、少女に向かって軽く微笑んでみせた。
「美味いぞ。悪くない」
「よかった……!」
彼の言葉を聞いて、ユニカは心底嬉しそうな笑顔になった。
「下がっていいぞ。私はこの提案書を仕上げてしまう。夕食は予定通りに頼む」
「かしこまりました!」
近侍の少女は弾んだ声で返事をして出ていく。
「さて……」
ブリゼールは机に向き直り、甘い汁物を口に運びながら、
机の一角に広げたおびただしい数の資料に再び目を落とした。
近侍の少女の差し入れによって彼の空腹は癒されつつあった。
弾力のある団子を咀嚼しながらブリゼールは思った。
この団子を作るのに使ったというカボチャも、この国の土から穫れたものなのだ。
主君のため、この国土に生きる大勢の民のため、そして身近な者のために、
私は自分の力を惜しむことなく振るわなくてはならない。
空の碗を机の一隅に置き、側近は再び仕事に戻る。
強国として名を轟かせるリヴェイル王国の国力の一端は、この人物の手で生み出されていた。