意地の張り合いと金髪

人間の尊厳
3日目の深夜
黒色の主人と金色の奴隷
曖昧な境界線の延長
怠惰な1日
洋ナシタルトの日々
歪んだ笑顔
シーツ越しの体温
良薬口に苦し
主人は気まぐれ
揺れる予定と計画
黒髪の威厳
Congratulations!!! TO.NOBELsan.



昨晩、突然訪れてきたのは小さい黒髪だった。
学校が休みだからと暇を持て余して突然来たのだ。
ベッドを小さい黒髪に取られ、久しぶりの犬用ベッドで過ごした夜。
朝になるとそれはもう騒がしくて寝てられる状況ではなかった。
そしてその小さい黒髪は金髪の奴隷というものに大変興味があったらしい。
黒髪が席を外すと俺をジロジロと見ていた。
声をかけるのもどうかと思ったので、とりあえずにっこりと笑っておいたのだ。
だがそれがいけなかった。

「ねーねー、お兄ちゃんは、お兄ちゃんの奴隷なの?」
「そ・・・そうですね」
「じゃあなんで綺麗な服を着ているの?」
「お、お兄ちゃんの意向で?」
「へんなのー」

そう言って小さい黒髪は部屋を出て行った。
これで良かったと胸を撫で下ろしたのも束の間、しばらくすると小さい黒髪はおもちゃ箱を手に戻ってきた。

「あのね、僕も奴隷がいるの」
「そうなんですか」

こんなに小さいのに、自分の奴隷がいるのか。
俺は自分の奴隷なんていなかったのに、さすが、成金は違う。

「可愛い子なの。お兄ちゃんぐらいの大きさで、髪の毛は黒いよ。僕と遊ぶのが楽しいんだって」
「何をして遊ぶのですか?」
「これ!持ってきたの!お兄ちゃんの奴隷とも遊びたいなって思って!」
「う゛っ」

ぱかりと開かれたおもちゃ箱は、およそ子供が遊ぶものなんて入ってはいなかった。
バイブにローター、パール、その他諸々、たくさんの卑猥なもの。

「お兄ちゃんに一緒に遊びたいなって言ったら、また今度なって言ってたから」
「へ、へぇ・・・」
「一緒に遊ぼ?」

小首を傾げて俺を見る小さい黒髪。
でもここで頷くわけにはいかないのだ。

「こら、何してんだ」
「お兄ちゃん!」

ワゴンにお菓子を乗せて黒髪が戻ってきた。
良かった、助かった。

「なんだソレ。そんなもんどこで買ったんだ」
「パパに買ってもらったの!」

お兄ちゃんにも貸してあげると言って、そのおもちゃ箱からバイブを取り出す。
一際大きいそれに顔が引きつる。

「お兄ちゃんの奴隷と遊ぼうと思って持ってきたの。ねぇねぇ、遊んでいいでしょー?」
「あー・・・」

そう言って黒髪は俺を見た。
俺は嫌だと目で返す。

「いいぞ」
「ちょっ」
「やったー!」
「ちょっと待って下さ」
「金髪、遊んでやれ」
「そ、そんな・・・」

ニヤニヤ笑う黒髪はこの状況を完全に楽しんでいた。

「じゃあね、きんぱつは裸になって」

小さい黒髪は笑顔で俺に裸になることを強要する。
早くと騒がれ、黒髪に急かされてシャツのボタンに手をかける。
シャツを脱ぎ、ベルトを外し、下着ごとパンツを脱ぐ。

「えっとね、椅子に座ってほしいの」
「椅子?」
「うん。椅子の手を置くところにね、足をのせるの」
「えっ?!」
「へぇー。じゃあこの椅子でいいか?」
「うん!」

黒髪は俺を立たせると引きずるようにして俺を移動させる。
それから無理矢理椅子に座らせ、足を開かせる。

「まずはー、お尻の穴をぬるぬるさせてー」
「ひっ」
「お尻の穴を拡げる!」
「ひ、いっひぃ!」

小さい黒髪の指がアナルへ入る。
小さい指が乱暴に俺のアナルを開き、手でこじ開けるようにして引っ張る。
その行為に足が揺れ、ニヤニヤした黒髪に腹が立つ。
小さい黒髪は真剣な顔で俺のアナルを拡げ、時折中を覗いているのか、顔を近づけてくる。

「えいっ」
「んぐっ!」

突然の圧迫感に、腹筋に力が入る。
恐る恐る下を見ると、小さい黒髪の腕が俺のアナルを犯していた。

「ひ、やっやだっ嫌っ」
「えいっえいっ!」
「ぎっ!い゛っあっあ゛!やめ、や、だぁっ」
「ここが、1番奥かなぁ?」
「あ゛あ゛あ゛!!!」

アナルの奥を小さい黒髪の指が撫でる。
騒げば中をボコボコと殴られ、中も拡げると腕を回すように動かされて腰が揺れる。
奥歯がガチガチとなり、目には生理的な涙が浮かぶ。
小さい黒髪は容赦なく腕を動かし、俺の跳ねる様を見て楽しそうに笑っていた。

「たのしい?」
「い゛だっ、ひ!い゛ぃ!」
「あんまり動いたら、だめ!」
「あ゛あ゛あ゛!!」

小さな手が俺の奥を殴る。
腹が引きつり、手足が痙攣し、それから失禁した。

「おしっこしたー。わるい子」
「あ゛・・・あ゛・・・ご、めんなさい、ごめんなさい・・・」
「反省しなさい!」
「ぎゃあ゛あ゛ぁ!」

小さな腕がまた乱暴に中を掻き回す。
口端からよだれが溢れ、身体を痙攣させて、必死に謝る。

「こら、そんなに乱暴にするなよ。泣いてるだろー?」
「でもおしっこ漏らしたよ?」
「でもそんなにしたらまた漏らすだろ」
「うーん」
「も、もう、漏らひゃな、いからっひない、からっだからっ」

許してほしい、と黒髪を見る。

「金髪は嘘吐きだからな」
「そんな」
「嘘吐きはだめ!」
「違っ嘘なんか」
「だから、おしっこの穴を塞いだらいいんだよ」

ほら、と黒髪は小さな黒髪に銀色の棒を手渡した。
小さな黒髪はその用途を知っているらしく、黒髪に頭がいいなどと言っていた。
付き合っていられない。
こんなことしたくない。
でも俺に選択肢がないことは明らかで、もしも逃げられたとして、そのときのことを考えたら足がすくむ。
この掴めば折れそうな小さな腕を、自分のアナルから引き抜くことすら怖くてできない。

「ぼっ坊ちゃん、嫌です。嫌、やりたく、あっありません」
「動かないでね」
「坊ちゃん!」
「えいっ」
「あ゛あ゛あ゛ぁ!!!」

萎えたペニスに銀色の棒が捻じ込まれる。
うまく挿入できないでいる小さな黒髪を助けるように黒髪の手が伸びる。
長かったはずの棒が先っぽについていたリングを残して全て中におさまった。
その頃には俺の身体は冷や汗でベタベタになり、息をするのも辛かった。

「やだっ・・・いだいっ痛いっ・・・」
「次はおもちゃで遊びましょうねー」
「うぎぃ!」

乱暴に引き抜かれた腕、汚い音がなる。

「も、もう、もうっ」
「お前の奴隷はどれがお気に入りなんだ?」
「えっとね、これ!」

丸い玉のついた棒。
その丸い玉がとても大きくて、俺の奥歯ががだがたと音を鳴らす。

「これでね、お腹の中叩くの」
「はは、すごいな」
「でもそうするとね、ありがとうございますって言うんだよ。白いおしっこ出すの。気持ちいいからたくさんでるんだって」
「でも金髪の穴は塞いだから、白いおしっこ出ないな」

楽しそうにおもちゃ箱を漁る小さな黒髪と黒髪に恐怖を覚える。
人を人形のように、あくまで物と捉えるその様に腹の底が冷える。

「じゃあこれ!」

そう言って小さな黒髪は太いディルドを手にこちらを向いた。
ぶつぶつとした突起が固そうで、痛そうで、見ているのも嫌で顔を塞いだ。
どうして、今更、こんな目に合うんだ。
俺は迷惑をかけないようにちゃんとゲージの中にいたじゃないか。
小さな黒髪に嫉妬だってせずに、ちゃんとご飯も食べた。
寝るときだって犬用のベッドで、毛布をかぶって静かに寝たじゃないか。
何も、何もしていないのに。
ちゃんと捨てられないようにしていたのに。

「い゛ぎゃあ゛あ゛あ゛ぁ!」

太いディルドが無理矢理中に押し込められた。
今度は無理矢理引き抜かれて、また押し込められる。

「い゛だっひ、いぃっ」
「きんぱつすごいね!お尻の穴が、おもちゃ離さないよ」
「あ゛っあぁー」
「ほら、金髪。ちゃんとお礼言わなきゃだろ」
「痛いっひやぁっい゛やだああ゛」
「早く」

泣きじゃくって嫌だと訴える。
そうすると余計に小さな黒髪が攻め立てる。
黒髪に早くしろと言われる。
それでも言いたくなかった。

「捨てるぞ」

その一言に心臓を潰されるかと思うほどの圧迫感を感じた。
捨てないくせに、なんて言えなかった。
ふと、もしかしたら俺に愛想が尽きて、奴隷市場でいい奴隷がいたのかもしれないと思って、涙が止まらなくなった。

「あ゛っりが、とうございますっありがとうっございますっ」
「きんぱつ、いい子だね」
「あ゛っひぃ、い゛っりがど、うっあ゛あ゛ぁ!」
「いい子、いい子」

涙が止まらない顔を塞いで、失神するまで必死に礼を述べた。
それから、最後まで黒髪の顔は見なかった。

***

金髪のアナルは真っ赤にめくれ上がり、尿道も赤く腫れていた。
目元も真っ赤に腫れ、泣き疲れて犬用のベッドにしがみ付くようにして寝ている。

「・・・やり過ぎた」

そもそもの発端は、あの小さな従弟だ。
最近買ってもらったらしい成人の奴隷をたいそう気に入っているらしく、とてもいい子なのだと毎日毎日自慢していたのだ。
いつも学校から帰ったら遊んであげるのだと楽しそうに報告をする。
今度は連れてくると言って、いい子だから金髪に噛み付いたりしないと笑うのだ。
そう言われると妙に張り合ってしまって、俺の奴隷も頭が良くて可愛いのだと自慢したのだ。
そしてその自慢した手前、遊ぶ内容が性的なことであったにせよ、引くに引けなくなってしまった。

「金髪」

金髪はびくりと震えて目を開ける。
それから俺を視界に捉えると怯えたようにして毛布にくるまった。
あんなに懐いていたのにこの変貌っぷり。
やり過ぎてしまった行為を許す許さないの問題ではなくなってしまった。
犬用ベッドから毛布ごと金髪を引っ張り出し、丸ごと抱えてベッドに運ぶ。

「悪かったよ」

主人が奴隷に謝るなんて、本当はそんなことをしてはならないのだろうが、今はこの言葉しか浮かばないのだ。

「チビがな、奴隷買ってもらったらしくて、その・・・いい子だーって褒めるから、つい張り合っちまって・・・」

顔まで覆い隠す毛布を剥いで金髪の顔だけ外に出す。
とても疲れた顔をしていて、それでいて俺を蔑むような目をしていて、ぼろぼろに泣いていた。

「本当はチビにはわからない難しい話ができるとか、チェスがうまいとか、なんかそういう自慢をするつもりだったんだよ。頭が良いだろって」
「す、捨てるって・・・他の奴隷に変えるとか・・・」
「捨てない。他の奴隷もいらない」
「俺は、も、もうっあんなの、はっ怖いから、だから」
「もうしない」
「ほ、本当に?」
「しない」

金髪は先ほどよりもぼろぼろと涙をこぼし、それから俺にしがみついた。

「こっ怖かっ怖かったんだがらなあぁっ」
「悪かったって」
「ペ、ペニスもっアナルも、痛いっ!ものすごく痛いっ!」
「真っ赤だもんな」
「お前なんかっお前なんか嫌いだっ!嫌だ!もう、もう゛信じない!」
「なんだ。信じてたのか」

それから金髪は俺に気がすむまで文句を言い、嗚咽をこぼしながら泣いた。
それでもしがみついた手を離さなかったんだから、たまにやり過ぎるぐらいはいいのかもしれない。

「次っ、次、もしやっだら、俺っ、俺は黒服の部屋に住む!」

なるほど、逃げはしないらしい。




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