黒髪の威厳
続
人間の尊厳 ※
続
3日目の深夜 ※
続
黒色の主人と金色の奴隷 ※
続
曖昧な境界線の延長 ※
続
怠惰な1日
続
洋ナシタルトの日々 ※
続
歪んだ笑顔 ※
続
シーツ越しの体温 ※
続
良薬口に苦し
続
主人は気まぐれ
続
揺れる予定と計画 ※
Present for 星葉san.
ふと、思い立って金髪を連れて外に出た。
金髪は嫌がったが服を着せてそれなりの格好をすれば誰も奴隷だなんて思いもしないと慰める。
そうすればここ最近甘やかしていたこともあり、しぶしぶ了承した。
金色に輝く髪をすっぽりと帽子に収め、親父に見つかる前にと車に乗り込む。
目指す先は少し治安が悪い繁華街だ。
***
狭い場所に店がひしめき、窮屈そうな街並みが俺は割と好きだった。
店に立つ奴らはあまり上等な服は着ていないし、子供達は裸足で走り回る。
上等な服を着ているのは俺みたいに買い付けに来た奴らか、もしくはマフィアとかそっちの世界の奴らだ。
「女の人なのにあんなに重そうな袋持ってる」
「ここらの連中は奴隷なんて買う金はないし、ましてや奴隷に飯を食わせることもできないからな。自分でやるしかないんだ」
「そうなんだ」
「お前、本当に世間知らずだな」
純正の貴族なんてもんはこんなにも無知なのかと思い、少し苛立ちを覚える。
「手伝ってこようか」
「やめとけ。泥棒だって騒がれたら面倒だ」
没落貴族で、今は奴隷のくせに、底辺を知らない金髪は物珍しそうに辺りを見ている。
今度親父の奴隷部屋を見せてやろうか。
そしたら自分がどれだけ大切にされているのかを知ることができるんじゃないのか。
そして俺に対しての態度を改めて、もう少ししおらしくなればいい。
「物が溢れて、露店に見える」
「でもここで手に入るもんは全部上等だ」
「それはわかるよ。あのシルクなんて、シャツにしたらたまらない着心地だと思う」
「あのシルクはすぐ売れてしまうぞ。安いのに、値段以上の価値がある」
ぼんやりと辺りを眺める金髪は子供のスリにでも簡単に引っかかりそうなほど。
人の熱気に押されて不用意に帽子を取り、じわりとにじんだ汗を拭う。
没落した時に身体まで売ったくせに、この世間の知らなさはよっぽどだ。
どれだけの金で買われていたのか聞いてみたいもんだ。
どうせ白髪みたいな大金持ちの純貴族にしか買えないような金だったに違いない。
そういえば俺が買ったときにもとんでもない値段で売られていたのを思い出した。
俺が買わなかったら、どこでどうなっていただろう。
今だって黒い服を着た、おそらく真っ当な世界で生きてはいない奴らが金髪を品定めしている。
攫われてたまるものかと金髪のシャツを引く。
「ふん」
「何。突然不機嫌なの?」
「なんでもねぇよ」
やっぱり全裸で連れ出すべきだったか。
服なんて着せたもんだから、あんな奴らの目に止まる。
奴隷だと知らしめて歩けば、珍しい髪色の奴隷だと冷やかす目だけですんだのに。
「さっさと歩け!」
「何だよっ」
「お前が鈍間で頭にくる」
「そんなっ」
「言われたことができないなら、次から裸で外に出すぞ」
ジロリと睨み付けると金髪は泣きそうな顔をする。
それから口を開くこともなく、足早に俺に付いて来た。
目当ての店はさほど遠くなく、赤い提灯がぶら下がる店が見えた。
蓮とそれを持つ蛙が目印の、薄暗い店。
花が咲く、あの不思議な茶葉を売る店。
元は母親の馴染みの店だったところだ。
「お邪魔します」
「おや、また来たのかい」
「アンタがウチまで運んでくれないからな」
「こんな年寄りを歩かせるのかい」
「少し歩いて痩せた方が良いぜ、婆さん」
「ふん。母親に似て口が悪いね」
「そらどーも」
カウンター越しにどこが年寄りだってぐらい生き生きと話す婆さん。
客相手にこの話し方をする婆さんにびっくりしたのか、俺の態度にびっくりしたのか、金髪は目を見開いたまま俺の後ろに立っていた。
「おや、ついに嫁でももらったのかい」
見せろと身を乗り出す婆さんから隠すように金髪を背に寄せる。
金髪はびくりと跳ね、おとなしく俺の後ろに回る。
身を乗り出した婆さんが魔女みたいな面をしているから、面食らったに違いない。
「可愛い子だね。でも女の子にしては大きいね」
「じろじろ見るな」
「は、初めまして」
「あらあら、声も低いね」
勝手に金髪を俺の嫁だと思っている耄碌婆。
ずいずい近寄って金髪の品定めを始める。
「手足は綺麗だね。でも女の子がこんな黒いズボンだなんて、流行らないよ。女の子なら可愛いスカートを履かなきゃ」
「いや、あのお婆さん。私は」
「ふふっ、でもやっぱり綺麗な髪ね。女の子は髪だよ、髪。あの子は昔っから金色の髪をした子が好きで」
「婆ぁ!余計なこと喋るんじゃねぇよ!」
婆さんに捕まっている金髪を店の外に放り出す。
そこで大人しくして待っていろと言付け、目当てのものを買うために店に戻る。
「隠さなくてもいいじゃないか」
「うるせぇ。早くあの茶を売れ。帰る」
「全く。母親に似てせっかちだよ」
少しぐらいいいじゃないかと言う婆さんを急かすと、さらにゆっくり作業をし始める。
この俺相手にこんなにも雑な商売をするのは世界中どこを探してもこの婆さんぐらいのもんだ。
「そんなんじゃアンタの父親みたいに嫁に逃げられちまうよ」
「ふん。アイツは嫁じゃなくて奴隷だ。だいたい女でもない」
「小さい男だね。じゃあ何が違うのか言ってみな」
顎をしゃくる婆さんに、とうとう呆けたかと溜息をつく。
婆さんはそれにため息をつき返し、茶葉を差し出してくる。
その手と一緒に金を受け取るために反対側の手を差し出すのも忘れない。
その手に茶葉の代金に色を付けた金額を乗せて返す。
婆さんは茶葉の入った袋にさらに何かを詰め、こちらへ寄越した。
「いつもより少なめにしといたから、またあの子連れて顔出しな」
「そういうの、ぼったくりって言うんだぞ」
「その分いいもん入れてやったから。餞別だよ。ほら、さっさと行かないか。あの綺麗な子が隣の悪ガキに連れてかれちまうよ」
その言葉に振り返ると俺よりもいくらか年下の男が金髪の手を握り、小さな子供達が金髪の周りに群がっていた。
あっちに面白いのがあると引っ張られ、力で敵わないらしい金髪は拒否しながらもずるずる引っ張られていく。
物珍しいものに目が行くのはどうやら金髪だけではないらしかった。
「チッ」
背後から小さい男だと呟く声がする。
俺は婆さんの無駄口に付き合うのをやめ、視界から消えゆく金髪を追う。
シャツの襟を引っ掴み、無理矢理後ろに引けば金髪が仰け反りながら帰ってきた。
「人様のもんを盗むなと親に教えられなかったか、お前等」
「アンタこそ、名前書いてないと無くなっても文句言えないんだって知らないの?」
「そら知らなかったぜ。お前等と違って育ちがいいもんでな」
一歩も引かない悪ガキに、年甲斐もなく対抗する。
この辺の連中は気が強くて、本当に遠慮がない。
「お、おい。そんなに怒るなって」
「黙れ」
金髪を睨みつけ、人のもんを平気で盗む悪ガキに一瞥をくれて歩き出す。
軽く走りながら俺に付いてくる金髪は何かを言っていた気がするが、騒音に紛れて何も聞こえない。
どんどん奥へ歩き、人気が少ない路地へ入る。
それからさらに奥へ進み、昼間だというのに薄暗い人気のない路地へ。
「こんな奥来て、迷ったりしたらっ」
「黙れ」
びくりと跳ねる金髪。
俺の不機嫌にようやく気付いたらしい金髪は歯を食いしばって目を伏せる。
「お前は駄目だな。少し甘やかすと自分の立場を忘れる」
「わ、忘れてない」
「なんだ、その上主人に向かって文句か?」
金髪は完全に俯き、小さな声で申し訳ありませんと謝罪をする。
その嫌そうな声ったらない。
足を振り上げ金髪の腹を蹴る。
「ぐっ、え゛ぇ」
「下を脱げ」
「ひっ」
「早くしろ。できねぇなら裸にして、あの賑わってる道の真ん中で犬の真似事をさせるぞ」
がばりと頭を上げた金髪と目が合う。
俺が本気だと察したらしく、顔を真っ青にしてベルトを緩めた。
「壁に手を付け」
金髪が歯をガチガチ鳴らし、壁に手を付く。
腕には汚れないようにと服を抱えて、言われてもないのに尻を突き出す。
金髪の晒された下半身を撫で、無遠慮にアナルへ指を押し込む。
「ひぃっ!」
「朝から弄ってやったから、緩いな」
「あっんっんぅっうう゛ぅー」
ぐちぐちと音を立てて金髪のアナルを掻き回す。
前立腺を押し潰し、釣り針でも引っ掛けるかのように指を引き上げる。
金髪はつま先立ちになり、ぶるぶる震えながらペニスを勃起させる。
前立腺を潰すたびにパタリパタリと先走りを零す。
「ひ、はぁっあ゛ぁ!」
「はぁ、熱っ」
「あっあぁっ中、入って、あん!奥があぁっ」
「ははっ気持ちよさそうだな」
俺は金髪の腰に手を回し、自身のペニスを根元まで押し込む。
金髪は爪先立ちになり、ぶるぶる震えながら衝撃に耐えている。
「はぁ・・・零すなよ」
「んっ」
金髪が逃げないように押さえつけ、身体をぶるりと震わせて排尿した。
「へ、あ?えっ中、熱っあっああ!」
「ははっ、久しぶりにすると妙な高揚感があるな」
「あ゛っやだ、なんで」
「名前を書こうにもペンがなかったんでな。お前みたいに犬猫の真似でもして匂いをつけてやろうと思ったんだよ」
「そんな、俺はっ」
金髪はガタガタ震え、ギリギリと歯を食いしばる。
「俺は、どこにも行かないのにっ」
「行けないの間違いだろ」
「あ゛ぁ・・・!」
ガツガツと腰を揺らし、俺の小便で膨らむ金髪の腹を揉む。
痛いと言いながらペニスを勃起させ、先走りをだらだら零す。
漏らしたら怒られると思っているのか、俺のペニスを締め付けて耐えている。
グルグル鳴る腹を押さえつけて腰を打ちつけ、早々に射精する。
金髪はぼろぼろ涙をこぼし、その感覚に耐える。
「漏らしながらイけるだろ」
反論しようと振り返る金髪からペニスを抜く。
金髪は腰が抜けたらしく、汚物をぶちまけながらその場にしゃがみこむ。
でも俺が言ったことができないなんて許しはしない。
冷たく睨み付けると必死になって自身のペニスを扱いた。
「ひっいい゛いっあっあ゛あ・・・!」
「あーあ、やっぱり道のど真ん中でやらせるんだったな」
「あ゛!あっイくっ出るぅ・・・!」
「ははっ、変態め」
「んひぃぃっ!」
パタパタと精液を飛ばし、金髪は俺の足にしがみつく。
ガタガタ震えながら大便を漏らしている。
金髪が抱えている服を取り上げ、金髪の下着で自身のペニスを拭く。
それから金髪のペニスと、何も出ないのに開きっぱなしのアナルを拭いた。
汚れた下着はその辺に投げ捨て、まだ綺麗なパンツを渡してやる。
「その格好で連れ回されたくなきゃさっさと着ろ」
「あ・・・」
金髪は自分が漏らした汚物から目を背け、壁に背を預けながら服を着る。
下着がないことが落ち着かないらしいが知ったことではない。
金髪を待つ間、婆さんが餞別だと何かを詰めたことを思い出して袋を開ける。
花が咲く茶葉とは別に包まれた袋。
中身は茉莉花茶。
「・・・婆さんの時代じゃねぇだろ」
「え?」
「なんでもねぇよ。早くしろ」
ふらふらと立ち、金髪はベルトを締める。
歩き出せば付いては来るが、先ほどよりも歩くのが遅い。
落ち着かなそうにベルトを持ち、たまに声を出しては顔を真っ赤にする。
その金髪の腕を引き、慣れた道に向けて歩き出す。
俺の足の速さにどうしても少し走らないと付いていけないらしい金髪。
さっきよりも頻回に声を出しては口を塞ぎ、パンツの前を抑えている。
「お前・・・その顔であの大通りに出るつもりか」
「えっ?か、顔?」
「そうだな。あの悪ガキ共に襲われても文句は言えないな」
「そんな、そんな顔してなっ」
「してんだよ」
金髪が抱えたままの帽子を深くかぶせ、さっきよりも足早に歩く。
「まっ待って。待って。あんまり早く歩かないでっあっ」
「その、あんあんうるさい口を塞いでろ!」
「っひ!」
「帰ったら覚えてろ」
「んぐっ」
服に擦れて勃起させているペニスを鷲掴み、金髪を睨みつける。
帰ったら手脚を鎖に繋いで、ペニスにだけ媚薬をしこたま塗り込んで、アナルだけ虐め抜いてやる。
三日三晩、泣いて謝っても許してやるものか。
誰が主人なのか、この我が儘な金髪に身をもって分からせてやる。
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