揺れる予定と計画

人間の尊厳
3日目の深夜
黒色の主人と金色の奴隷
曖昧な境界線の延長
怠惰な1日
洋ナシタルトの日々
歪んだ笑顔
シーツ越しの体温
良薬口に苦し
主人は気まぐれ
Present for 星葉san



全裸で外に出て、車へ乗り込む。
運転用と護衛用に黒服を連れ、住み慣れてしまった家を後にした。

「そろそろ服を着てもいい?」
「もう着なくていいんじゃないか?」
「着るよ!」

馬鹿なことを言う黒髪に構うことなく、トランクを開く。

「せっかく見られても良いようにアナル真っ赤にしてやったんだぜ?」
「ひっ!」
「あ、まだ簡単に拡がる」
「ちょっ、やめろ!」

昨晩散々犯され、朝方まで黒髪のペニスが挿入されていたアナルはまだ柔らかかった。
もし黒髪の父親に見つかり、使われてないと思われないために念入りなアリバイ工作。
全裸で外に出たのもそのため。
少し考えればそこまではされないのぐらいわかったのに、馬鹿みたいにいろいろ考えたのだ。
それもこれも、今日だけは何事もなく外出したいがため。

「旅行ぐらいで坊ちゃんがはしゃぐのもいつぶりでしょうね」
「黙って運転しろ!」

黒髪は前方の座席を蹴り、カーテンで見えない黒服を怒った。
そう、旅行なのだ。
何日か前に突然黒髪が言い出したのだ。
なんでも島に小さな別荘を買ったらしい。
自然しかないが良いところなのだと、何となく緊張して俺に話をしてきた。
その話を聞いて、俺の心は踊った。
旅行なんてものは家族旅行ですら、もう随分前のことで。
綺麗なところだったらと、想像しただけで楽しかった。
だがすぐに外への恐怖と、旦那様の顔が浮かんで少し気落ちした。
黒髪の父親、旦那様も旅行ぐらいでとやかく言う人ではない。
でもメイドも黒服もいるのに、奴隷はいらないだろうと言われるのがオチだった。
それでも行くのだと黒髪は言い、旅行に行くと伝えてせっせと準備をしていた。
奴隷と旅行だなんて馬鹿だなとか、旦那様に見つかったら俺は居残りだなとか、いろいろ考えた。
でも自分用のカバンへ荷物をせっせと詰める俺も馬鹿だと思った。

「港についたら飯にしよう。ペスカトーレが食べたい」
「わかりました」

着替え終わると足を拭いてブーツへ履き替える。
この日のために黒髪が買ってきたブーツは俺のサイズにぴったりだった。
目立った装飾はない、黒のシンプルなブーツ。
外に出ない俺は靴だけは持っていなかったのだ。
室内履きとは違う硬めの生地。
ほんの少し嬉しかったのは気のせいだ。

***

ペスカトーレを食べながら、無事家を出れたことにようやく安堵する。
見送りも何もされないとは思っていたのに、無事に出発できるまではずっと手に汗を握っていた。
費用の無駄だと、奴隷は置いていけとそう言われるとぐるぐる悩んだ。
でも金髪がいなければ意味はないのだ。
予定ではこの後船に乗り換えて目的の島へ行く。
事前にメイドを数名、別荘へ送っておいたから掃除や夕飯の心配はない。
金髪は目の前のペスカトーレを丁寧に食べていた。
金髪の品の良さも手伝ってか、誰一人金髪が奴隷だと気付くものはいない。
奴隷と飯を食ってるなんて言うと飯さえ出してくれない店もある。
奴隷に食わせる飯はないってね。

「美味しいね、このペスカトーレ」
「だろ?ロブスターが豪快でまたいいんだ」
「うん」

高級店ではない、普通の店。
多分金髪は入ったことがないだろう。
飾りなのかなんなのか、豪快にロブスターが乗ってくるもんだから金髪はびっくりしていた。
普段からいいもんばっかり食わせているがお気に召したらしい。
・・・そもそも金髪は他の奴隷みたいに残飯なんてものを食ったことがあるんだろうか。

「ムール貝、美味しい・・・」
「なんだ。お前ムール貝好きなのか?」
「うん。美味しいのは肉厚で、どんな料理法でもパサパサにならないんだ」
「そうなのか。ってか、お前グルメだなー」

俺の言わんとしている事をわかったのか睨んで来た。
最近ますます態度がでかい。

「いいもの、食べてるから」

ちょっと照れ臭そうに、それだけ言った金髪はまたペスカトーレを食べはじめた。
金髪の言わんとすることがわかって、俺の顔がにやける。

「よくわかってるじゃねぇか」

何も言わない金髪。
少し不貞腐れたようにペスカトーレを食べる姿はただの拗ねた坊っちゃんだった。
機嫌を直せと金髪のペスカトーレの皿にムール貝を乗せる。

「行儀悪い」
「高級レストランじゃあるまい。かまわないだろ」
「みんな見てる」
「金髪頭がこの町にいるからだろ」

綺麗な天然金髪。
海が目の前のこの町には赤髪はいても金髪は見当たらなかった。
そうでなくともここまでムラがない金髪は珍しいのだ。
まぁ、そもそも俺達の格好がこのレストランからは浮いている。
隣には黒服までいるのだから、尚更だと思う。

「ほら、早く食え。船を待たせてるんだから」

金髪は慌ててペスカトーレを食べた。

***

別荘についたのはもう暗くなってからだった。
少し小さめで、それでも一つ一つの部屋が広い家屋だった。
メイドが出迎えてくれ、俺の格好を見て誰だかわからなかったと笑った。
夕飯の用意ができていると連れてかれた食堂でご飯を食べる。
この島の特産品は魚介類とチーズらしく、それらを使った料理が並んだ。
旦那様も、旦那様に雇われてる黒服もメイドもいない。
誰の目も気にならない。
涙が出るほどに自由を感じた。
夕飯を終え、黒髪について部屋へ行く。
部屋はメイドによって綺麗に整えられていた。

「さすが、景色がいいね」
「だろ?夕焼けが綺麗なんだ」
「ふーん」

遠くには海が見え、窓を開けると冷たい風が心地よかった。
黒髪の部屋よりいささか狭い部屋で、黒髪と2人でたわいもない話をする。
もし俺が黒髪のことを成金だと批判せず、家も没落しなかったら・・・こうやって普通に話ができていたのだろうか。
ビジネスの話に社会情勢、チェスの話。
・・・あまり想像できないな。

「今日は疲れた。さっさと風呂入って寝るぞ」
「うん」

黒髪はそう宣言したのにそこから動かない。

「風呂、入らないの?」
「ん」

顎でこっちにこいと釈られる。
なるほど・・・一緒に入れってことなのか。

「はい、坊ちゃん」

嫌味な言い方をしたら、少し嫌そうな顔をした。
機嫌を損ねる前に黒髪の手を引いて、バスルームで黒髪の服を脱がせる。
自分の服も脱ぎ、温かいシャワーを出して一緒に浴びた。
そのまま黒髪の萎えたペニスを口に含み、転がすようにして勃たせる。
それだけで自分のペニスが緩く勃ち上がるのだから、俺はどこかおかしくなっているのかもしれない。

「は、お前すげぇな。フェラしたら勃つのか」
「んんっ!」
「昨日枯れるまで出したくせになぁ?」
「んぐっんっんんぅ!」
黒髪の足が俺のペニスを撫でる。
無意識のうちに腰が揺れ、黒髪の足にペニスを擦り付けていた。

「手付いて、アナルを見せろ」
「んはぁ・・・」

黒髪のペニスを離し、黒髪に尻を向ける。
きっとまだ赤いアナルを黒髪は眺め、濡れた手で拡げた。

「すげぇな。まだ簡単に拡がる」
「あっあぁ!」
「ほら、指2本ぐらいなら余裕がある」
「ん゛っうぅ!」

遠慮なんて言葉を知らないらしい黒髪は無遠慮に人のアナルを拡げた。
その刺激に足が震え、腰が抜けそうになるがしゃがんでしまえば不機嫌になるかもしれない。
なんだかんだ言いながら、旅行を楽しみにしていたのは黒髪だけではないのだ。
俺だってしばらくの自由を楽しみたい。
旅先で喧嘩ほど、つまらない思い出はないし。

「はっ、すげぇな。もうだらだらじゃねぇか」
「んっあっんっ!あ゛あっ!」
「そんなに、ヨがるなって、の!」
「んひいいぃぃぃ!!!」

まだ拡がりきらないアナルへ黒髪のペニスが押し込まれた。
俺はガクガクと震え、薄い精液を吐き出す。

「は、あっ、あぁぁ・・・」
「ふっ、挿れただけでイきやがった」
「あぁん!あっまっ待ってえぇ!」
「知らねぇよ。勝手にイったのはお前だろ?」

黒髪はガツガツと腰を振る。
イったばかりで敏感な俺には辛く、身体を支えていた腕は床についていた。
黒髪のペニスが抜ければ、俺は床に崩れ落ちるに違いない。
奥を抉られ、前立腺を潰され、もうわけがわからなくなってきた。

「ふあっあっあああ゛!あうっあっうそ、嘘っ!」
「んははは!漏らしてやがる!気持ち良過ぎたか?なぁ!」
「ひん!あっとまっ、止まってええぇ」

こともあろうに、俺は漏らしていた。
黒髪に揺すられる度に顔に小便がかかり、それなのに気持ち良くて震えが止まらない。

「顔面に自分の小便かかって、アナル締めてる変態もなかなかいないよなぁ!」
「んひっあっあぁっ!らめっ、だっあっ!イく、やっ、イくぅ!んう゛ぅっああん!」
「ははっ!漏らしながら、アナルでイくとかっどんだけだよっ!」
「駄目!も、あっひん!う゛あっああ!!!」
「出すから、零すなよ。 っ!」

根元までペニスを押し込まれ、届かないような奥に出される。
黒髪のペニスが抜けて、俺はその場に崩れ落ちた。
自分の尿と精液が跳ね、身体中が汚れる。
最悪だと思っているのに熱は引いてくれず、未だに良いんから抜けられないでいる。
自分の身体に重なるようにして熱が触れた。

「気持ち良かったんだろ」

ビクリと身体が揺れた。

「そんな、ことない・・・」
「嘘つけ」
「あぁっ!」
「お前の中、やべーよ」
「んっ、うっ・・・んんぅ」

ぐちゃぐちゃと中を掻き回され、乱暴に指が抜ける。

「よだれまで垂らしてさ。なんの説得力もねぇよ」
「う、うぅ・・・」
「正直に言えたら、甘やかしてやるよ。せっかくの旅行だしな」

その言葉も、笑い方も、狡いと思う。

「・・・良かった、です」
「聞こえない」
「なっ、も・・・!」
「聞こえない」
「きっ気持ち良かっ、た・・・です・・・」

消えてしまいたいと思ったのに。
黒髪は優しく俺の唇に触れたのだ。

***

どうやら優しくされるのは恥ずかしいらしい。
金髪を綺麗に洗って、髪を乾かしてやって、ベッドに座らせたのだが・・・小さくなったままだ。
俺が機嫌を損ねないようにと必死になるがわがままだし、なんでもするくせにあとから文句を言う。
そのくせ捨てられるのはやだとか、俺が好きだと言うのだからよくわからない。
まぁ、貴族の坊ちゃんなんてこんなものか。

「照れてんの?」
「だっ誰がっ」
「ふーん?」
「もう知らない!」

あ、扱いにくいなぁ・・・。
前はもう少し聞き分けが良かった気がするんだけども。

「お前、何が食べたい?メイドが用意してくれてたんだけど」

テーブルに並べられたサンドイッチとチーズ、パンに果物。
そして俺は嫌いなのに金髪が好きな甘いものが数種類。
金髪はそれらをちらりと見て、テーブルへ寄ってきた。

「明日は街に行こう」
「街?」
「小さいんだけどな。この辺は別荘ばかりだが、反対側には街もあれば学校もある」
「そうなんだ」

金髪は少しだけ嬉しそうにチェリーパイを食べた。
相変わらず丁寧に食べるものだ。
俺はサンドイッチを咀嚼しながら明日のことを考える。
屋敷に残してきたメイドと黒服にも何か買っていってやろう。
そんなに遠くはないが、荷物のことを考えると車がいいか。
黒服は1人いればいいから、1人はメイドの買い出しに付いていかせよう。
そういえば土産ものを売っている店なんてあっただろうか。

「あの、さ」
「ん?」
「明日さ、その、」
「なんだよ。早く言え」
「ふっふたっ、2人で、出掛けられない?」
「・・・は?」
「街、遠いんだったら、いいんだけど」

金髪は少し乱雑に残りのチェリーパイを口へ押し込んだ。
俺はため息をついて、残りのサンドイッチを口へ押しこむ。
全く、俺の立てた予定を尽く潰してくる奴だ。
メイドも買い出しは大変だろう。
仕方が無いから車と黒服2人はメイド達の買い出しへくれてやろうと思う。
たまには歩くのも悪くない、と言うことにして。




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