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魔女の森任務4


◆任務初日

  ラテラルタウンの病院


……あなたは……

……!
ガラル軍です。(この状況だと人攫いに見えるか)

……あ、あぁ、ガラル軍の……
と、ということは、抱えているその子は……

あ、いいえこの子は単純に迷子です。
森でナゲツケサルに襲われていたところ、逃げている間に擦りむいたようで。
傷薬は塗ったんですが、念の為病院で診てもらおうと。

そうなんですね……
こんにちは、ちょっと怪我を見せてくれる?

……。

……?
どこか痛い?
……お名前教えてもらえるかなー?

……。

ミリアと言います。

あ、ミリアちゃんね。
ミリアちゃん、ちょっとだけ、怪我してるとこ見せてもらいたいの。
お願い。

……にには、やさしいんだよ?(離れない)

……?

にに、やさしいから……(むすっ)

……ににって、このお兄さんのこと?

……あー……

お兄さん、随分と気にいられてますね?
会ったばかりなんですよね。

……こう言ってはなんですが、この子は感情が読み取れるんです。(適当)
あなたの私に対する負の感情が、この子に伝わってしまったのかも……

……え!!(図星)
あ、えと……

ミリア、この人はきっと俺よりずっと優しい人だ、怪我を見せてごらん。
ちょっとだけ見せて、また戻ってくればいい。
俺はここで待ってるから。
一緒にお前の帰る家を探しに行こう。

……。
うん。
にに、ここにいてね?

ああ、いるよ。

……ふふっ、ミリアちゃん、お兄ちゃんのこと大好きなんだ。


うん、ににすきー!

よーし、じゃあ早く診て、お兄ちゃんのとこに帰ってこようね。

うんっ

……。(……2人とも大丈夫だろうか……)





ああ聞こえたよ。
なんか死に苦しむとか恐ろしげな言葉が急にさ。
耳塞いでもハッキリ聞こえるもんだから寒気が止まんなくなって。

あーそうそう、俺も聞こえた。
魔女が襲ってくる予告じゃないかって解釈してる人もいてさ、怖いよなぁ。
あんまり外出ないようにしないと。

……なるほど。
詳細は調査中ですから、あなた方も、くれぐれもお気をつけてお過ごしください。
ご協力ありがとうございました。

ああ、兄ちゃんも気を付けてな!
魔女はおっかない化け物だ、怒りを買わんように!

ご忠告感謝します。
それでは。
……。
……元々恐れる対象として魔女が存在するせいか、断定できていないのに警告が魔女によるものだと解しているな。
……まあ実際そうなんだろうが……
さて、イーリスの仕事ぶりもこの目で見ておきたいし、早く合流したいところだ。
……2人とはぐれた場所から、俺は移動していなかった。
2人がどこかに転送されたんだろうが、それがどこかは分からない……
俺は俺で魔女の森区画を探し当てるしかないか。
何度も迷わされるのはもう勘弁してもらいたいな。

ににー!(ダッシュからの抱きつき)

おお、元気だな、他に悪い所はなかったか?(抱き上げる)

んー!
ににたかいたかいしてー!

ああするよ、うちに帰ろうな。

軍人さん、おまたせしました。
足を擦りむいたところ以外は大丈夫です。
念の為骨も見ましたが、小さなヒビなどもなく、何の心配もいりません。

そうですか、ありがとうございます。
診療代は軍に請求してください。

いえそんな!
施術もしてませんし、偶然この子を助けてくださって、連れてきてくださっただけでも十分なのに、お代まで頂くわけには!
それに、これからこの子のおうちも探しに行かれるんですよね……?

……。
お気持ちはありがたい。
ですが、迷子の対応も仕事のうち、ガラル軍だから贔屓したとあなた方が見られてもよくありませんし、今後同様のことが何度起きても同じ対応をとらせてしまうこととならないようにしたいので。
任務が終わり次第必ずお支払いします。

ほ、本当にいいんですよ!
上司からも了解を得ていますから!

それではこちらも上司と相談させてください。
すみません、急ぎますので、これで失礼します。
ありがとうございました。(一礼して歩き出す)

あっ、ど、どうも……あっ!
さっきは疑ってすみませんでした!
ミリアちゃん、本当にあなたのことを好きみたいですし……ミリアちゃんのこと、よろしくお願いします!

(会釈)






  ルミナスメイズの森の中


……。(空を見る)
……あれは、第一部隊のカラス……子供を抱えてる?
……。
羽を引きちぎる……のは無理でも、軍に居られなくさせれば……






ん?
何だこれ……(足元を見る)
道に鉄が一定間隔で打ち付けられてる。
鉄……と言っても、見たことな……いや、あるな、トウヤの金属によく似てる。
……第一部隊が先行して魔女の森を捜索してたか。
……。
……ん?
途中で無くなってるな。
……飛んだか?
……ラテラル側入口から西北西から約2.5kmってところか。
ったく測量士じゃねぇんだから、うちでこんな地図作る必要なくねぇか……?
ま、仕事だってんならやるけど。
……トウヤはどうしてそこまで目をつけられやすいのか……
ナンバーに突っかかられてんのは今までの対応から分からんでもないが、隊長さんが来てからナンバーに加えてあの女狐にまで目の敵にされちゃって可哀想に。(空を仰ぐ)
……あ、噂をすればトウヤ……1人か。
……んっ?
なんだあのガキ。






  ルミナスメイズの森のまた別の場所


……とまぁ、こんな方針で交渉を進めていく。

……あなた本当に代表と対等に話ができるの?

うーん、どうかな。
代表殿がどれほどかは分からないが、一応他地方との外交交渉に携わってはいたんだ。

……。
あなたガラル軍の偉い人なの?

え?
いやいや、私なんて全然偉くも何ともないよ。
交渉は私一人でするものじゃないからな。
上司というか……今も外交部の隊長だが、その人がとても優秀で、私はその元でよく勉強させてもらっただけだよ。

ふうん。
……私は、交渉に来たあなたたちを森へ連れていくだけ……それでいいの?

ああ、それでいい。
君が外に出たいというのは、まだ誰にも言ってないんだろう?
それなら、外の人間に不信感を持ち続けていた方が、森の住人としては自然なはずだ。
森に連れて行ってくれた後は、むしろ私たちとはあまり関わらない方がいい。

……。
代表はほぼ心が読めると言った方がいいわ。

ほぼ?

具体的な考えが分かる訳ではなくて、相手がどのような心理状態かを感じ取り、会話や視線、話の流れから相手のしたがる行動を察することに秀でてるの。
経験に基づく、とてつもなくハイセンスな第六感ってところね。

交渉で出方を読まれるのは少し痛いなぁ。
マイナスな感情を持っているわけではないから、読まれても、相手を不快に思わせることはないとは思うんだが……
不意を突いた方が誘導はしやすい。

個人的には、あの代表を誘導しようとしてる時点で驚きなんだけれどね。

誘導と言っても、私の提示する選択肢が現状をより良いものにするという理解を示してもらうためだ。
いわばプレゼンだ。
今回のケースで言えば、相手方の気づかぬうちに折衝を重ねて、こちらが欲しい条件を最低限盛り込んだ妥協案が通れば万々歳だ。
この交渉に乗り気な人はいないだろうからな。

……。
……私にはどうにもできないから……、あなたを信じるわ。
きっとあなたがみんなの心を動かしてくれると。

尽力する。

……私が手助けできるのは少しだけ……おまじないを掛けてあげる。
これはいつも自分自身にかけてるものと同じ。(人差し指をイーリスの額に当てる)

……これは?

掛けられた者の感情を読み取りにくくするものよ。
私たち魔女と呼ばれる者はみんな、強弱に関わらず、相手の感情などを読み取る力があるの。
私は他人に読まれたくないから、常に自分にこのおまじないをかけてるのよ。

へ〜!
読まれにくいのはありがたい!

キーウェン、あなたも交渉のことを知っているんだから、あなたにもおまじないを掛けておくわ。

あ、うん、ありがとう。(しゃがむ)

代表がおまじないに気付いたら、解除しようと魔法で打ち消そうとするかもしれないけど……
このおまじないは私がもう一度触れることで解除されるものだから、他人が手も触れずに解除するのは難しいわ。
代表でも……時間はかかると思う。

そうか。
すごく心強いよ。
……君もとても優秀な魔法使いなんだろうな。

……そうでもないわよ。
ただの世間知らず。
まあ、うちの子みーんなそうだけど。

世間にも色々ある。
良いこともあれば、当然悪いこともたくさんある。
それを君たちにどう活かすか、君たち次第だ。
外に出れば、世界の広さを実感できる。
必ず知識の幅が広がるよ。
その1歩を、私も支えよう。

……。
ありがとう。
……あなたに私の夢を手伝ってもらうわ。

ああ、任せろ。

……じゃあ、2人とも、私についてきて。
魔女の森へ案内するわ。

ありがたい。

……そういえば、普通についてっていいのかな……?
目隠しとか、したほうがいい……?

あなたたちに見られても、場所を言いふらさないことを約束してくれるでしょうけど……
まあ、見た目は必要かもね。
それじゃあ、目隠ししてるように見せかけてあげるわ。
これもちょっとした魔法だけど。
……ほら、お互いを見てみなさい。

お、キーウェン目隠ししてる。

え?
イーリスもだけど……

え?
でもキーウェンが見えてる……

俺もイーリスの姿が見えるよ……?

ぷっ、ふふふふっ、あんたたちの反応面白いわね……っ
それは目隠しの魔法、と見せかけて見えてる魔法よ。
第三者からは目隠ししてるようにしか見えない。
目で追うくらいならいいけど、あんまりキョロキョロしないでね、不自然だから。

へぇ〜こんな魔法もあるんだ!

このくらいなら、はっきりイメージできれば割と何でもできるわよ。

そうなのか!?
魔法すげぇ!

……無邪気な子供みたいね。

え、だって魔法使えるって凄いだろ。

感想が小学生ね。
ほら行くわよお嬢さん。

はいはいお姉さん。

(2人とも楽しそう〜)

ちなみにここは森のどの辺なんだ?
迷子になってたのは本当なんだ、途中、濃い霧に包まれた後、別の場所に移動させられたみたいでさ。

ここは魔女の森からそう離れてないわ。
迷子になってから歩いた方向がそうあらぬ方向ではなかったってことね。
10分くらい歩けば、魔女の森の端に着くくらい。

そうなのか。

あなたたちが移動させられたってのは、うちの森に近づいた者を追い払うための技よ。
一定距離近づくと、魔法で転送させてるの。
森の人間がついてなきゃ何度近づいてもたどり着けないわよ。

し、知らなかった……知らなくて当たり前だけど……

そりゃ、外の人間にからくりを教えるわけないでしょ。

良かった、フレデリシアと逢えて……

私がいなきゃ永遠歩き続けてたかもしれないんだから、感謝してちょうだいね。

うんうん、ありがとう女神様……(拝む)

なんで森の外まで転送しないんだろう。

……そんなの、迷子にさせたいからよ。
散々迷えばいいってこと。

そ、そこは意地が悪いんだな……

二度とうちの森に近付きたくないって、思われた方が楽でしょ。

た、確かにそっち側の気持ちになれば……
じゃあ、トウヤもどこかに飛ばされたのかな……

まあアイツは空飛べるから、どこ行ったって森の外に出るのも簡単だろ。

確かに……

そろそろ近づくから、あんまり私から離れないで。
あと、会話は控えましょ。

了解。

よろしくお願いします。




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