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東京モダンアパート(rank)
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モノノ怪

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仁木英之による小説版モノノ怪。アニメ版のような女の話ではなくて、普通の人間の邪悪さを描いていて面白かった。 モノノ怪のあの謎の世界観を言語化するのにあんな感じになるんだなあと思った。仁木英之はあんまり好きじゃなかったりするんだけど(キャラの趣味が合わない)今回のものは面白かった。 ただ文章で描くのってやっぱり限度があってモノノ怪のあの世界観を描き切るには映像とかの絵の力ってあるんだろうなあと思った。(キャラと背景とかの話です……)

  • 4th.May
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その昔、N市では

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カシュニッツ短編集の第2弾がじきに発売されると聞いて慌てて読了。ほぼすべておばけ(ゴースト)の物語だったのでニコニコしながら読んだ。全部面白かった。 ひとつ読んだことあるなーと思ったのは、河出文庫の『ドイツ怪談集』に収録されているものだった。あちらでは「怪談」こちらでは「幽霊」というタイトル。めちゃくちゃオーソドックスなお話で大好き。 何がこんなに好きなんだろうと思ったけど、ゴーストたちの交わりが主人公たちにとっては居心地が悪くてしょうがないものだという不安定さがつぶさに描かれているからかなと思った。 その不安定さも、社会からあぶれてしまうのではないか常識的規範から外れてしまうのではないかという正直そこまで気にするほどのものじゃないじゃんみたいなことからグラグラ揺れている。 人間にとって、目の前のおばけよりも社会から外れることの方が怖いという心理はすごく正しくてだからこそ面白いんだろうな。 あと単純に文章が読みやすい……。

  • 23rd.Apr
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あの人たちが本を焼いた日

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ポストコロニアリズムとフェミニズムの観点からよく論じられている作家だなーと思います、ジーン・リース。 最近思うのは、こういう文脈で語られるフェミニズムってある種の知識層による「それもまた女性の解放! フェミニズム!」と断じられているような感じもあります。 わたしはその「勝手に宣言される感じ」がすごい最近嫌いで映画の『哀れなるものたち』をフェミニズム映画として消費された時にちょっと嫌悪感があったのですが。 そんなおり、こちらの書評を読んでみたら自己責任論の視点が出てました。 https://koiw.info/?p=589 あー、これかぁ! と納得したんですけども。「フェミニズム」としてのお話が、社会的に悪い方向に向かった人間が人として何とかしようとしていると読んでいるわたしと、女性という性別の方でみている視点があるんだなと納得しました。 こんな仕事ついてる人達がここまで考えてるなんて! みたいな謎の感動により「フェミニズム」と言われてるのアホらしいなと思ってるから最近人の感想読めない。 余談おわり……!! この作品での主人公は大体社会的な弱者たち。そして不幸をかぶせてもいい相手だと思われている。 その不幸も難しいのだが、大体「自分がもっと楽できるならいいか」という安易さから主人公たちのスペースやプライベートが脅かされているのだが周りはそれを悪意なく行ってくる。 この原著が刊行されたのはもっと前のはずなのだが、今でも変わらない話に辟易する。 短編集なのでいつも通りハマらない作品もあったのだが、「あいつらにはジャズって呼ばせておけ」がいちばん面白かった。このタイトルに惹かれたというのもあって買ったのだが、自分を信じてよかった。 タイトルの意味を知る時のあの嫌な感じもいい。自分に残っているのはあの刑務所から聞こえてきた歌しかなかったのに。 まったく好転しない世界がつまっているのもいい。救われない、報われないフィクションのあり方だなと思う。

  • 22nd.Apr
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死んでから俺にはいろんなことがあった

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不法移民である主人公一家が、事故により全く知らない場所で迷子になる話。長編と言うよりは中編ぐらいの薄さでした。軽快な語り口調でどうしようもない方向に向かうさまは韓国映画みたいなユーモアがある。 ちょうど移民のお話をもっと読みたいなあと思っていて、書肆侃侃房での通販で海外文学ウスイホンがもらえると聞いて。 タイトルの『しんでから』はゴーストとかではなく、社会に居場所がない人間の話です。元々、居場所がなくてどうしようみたいな感じのお話を書いているところだったのでより高度な社会問題へユーモアと現実の辛苦を詰め込んだこの作品うまいなーとなりました。 (だがしかし原作自体は2009年なのでちょっと古めかしい内容もある) 不法移民なので主人公たちは警察には行きたくない、でも周りの人とコミュニケーションはとれない、自分の家に帰ることさえも分からない。 迷子になりやすい人間なので正直その心細さはとてもよく分かる。わたしも海外でひとりで迷子になったことあるよ……。疑ってかかっては正解も分からないのでどのぐらい悪化しているのかも分からなくて苦しんでた……。 (泣きながら歩いていたら、学校が休み? の子どもに助けてもらって駅まで連れて行ってもらいました。あの時は本当にありがとうね) エンディングも納得がいくというか、まあそういう風になるよなあのお話でした。不法移民が帰らなきゃいけなくなる話で言えば『息子の面影』というメキシコ映画の方が好きでしたね。 リカルド・アドルフォの脚本の映画あんまり日本に来ないので寂しい。MUBIで昔見られました。

  • 22nd.Apr
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鳥が人類を変えた

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ぬまがさワタリさんによるTwitterの紹介が面白かったので読んだ本。 鳥と人間の関わりというのは自分では全く意識してこなかったところなので、ものすごい勢いで読んでしまい途中で「読み終わりたくない……!」と駄々をこねていました。読み終わりました。めちゃくちゃ面白かったです。 捕獲される鳥、絶滅の危機に瀕している鳥、住処をおわれもうこの世にはいない鳥、生態そのものを勘違いされていた鳥など多種多様。表紙のリアルな鳥たちの姿もよかったです。ワタリガラスは神話から入ったのも面白かった。着眼点がちょっと人類学っぽい。 スズメのときの社会問題の話がいちばんしんどかった……。あれはスズメの話をしながら、結局はプロパガンダのお話をしているので。 途中のハトがいちばん面白かったです。(伝書鳩って郵送できるそうですね。なまものと、せいぶつ、で表記が同じだから間違えたら大変なことになるからと教訓にされているらしい。) コウテイペンギンの生きにくさを最後に持ってくるのは言わばこれを読んでいる人に向けての警告なのかなーと思いました。歴史を振り返り、人類が迷惑をかけたりした生き物たちと共存して過ごすことが可能かどうかの話だったと思います。 でも読み物としてふつうに面白いのでこれは子どもにあげてもいいかなと思いました。中高生なら読める。

  • 22nd.Apr
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〈怪奇的で不思議なもの〉の人類学

読了〜〜 の報告をしていなかったっぽいと本棚を見ていて思った。 人類学ということでホントに多岐にわたる世界をいろんなところから論じている訳だが、その中でも「お化け」の話をしていて面白かった。お化けが好きなので……。 第一部は日本の妖怪と神様の話。 第二部は民話メインの話。 第三部はネット都市伝説とかの話。 ただまあ、過去の論文あつめましたーみたいな形なので単体でおすすめ出来るかと言われると微妙なところではある。持論の展開はまた別の単著を出すらしいのでそちらに期待。 ゴリラ女房なるものは初めて聞いたのに第二部に収録されてて驚いた。まじで知らない……。 単純に言えば、研究のまとめが概論で読み進められるので大学生などで初心者向けなのかもという気持ちはある。 創作の参考になるかどうかで言えばならない!! けど、こういった本は買って損がないという気持ちがあるので欲しい人は早めに買おう!(これ電子書籍ちゃんと出るのかなあ)

  • 8th.Apr
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ひとりだから楽しい仕事

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前に読んでたんだけど感想書いてなかった。 日本文学を韓国語に翻訳されている方のエッセイ。 そもそも翻訳家のお話としても面白いのだが(タイトルの付け方が不本意だとか)韓国の翻訳事情のお話や日本文学ブームの話、作者のクォン・ナミの面白日常回などいろんなエピソードが入っていて気軽に読めてよかった。 (本来は『翻訳に生きて死んで』から発行されたみたいだけど、日本語は2冊目のこちらから刊行されたっぽい) 自分も英語とか読む時に、知ってると思ってる単語でも「あれ、これ使い方ちがうか!!?」みたいな後から誤訳に気づくことがあるのですごく共感してしまう。あと日本語は難しいよね……。勉強してください、をお金をまけてくださいが同じ意味であることを 恥ずかしながら薬屋のひとりごで知りましたからね。

  • 8th.Apr
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イギリス花粉学者の科学捜査ファイル

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読了。花粉学者が実際に起きた事件をいかに解決してきたかと自伝要素をまとめたノンフィクション本。 これは久々にめちゃくちゃ面白いノンフィクションを読んだ。はやくも今年ベストではないかという気さえしてくる。 トウモロコシの花粉でなにか判明するのではないか、と考えた最初の警部さんとその部下がとてもよかった。ドラマ化したら絶対トリオになってた。 花粉の話も面白いが、土壌とそこから見つけられる情報量、シャーロック・ホームズの科学捜査は意外と的をえているんだなあなんて思ったり。 残留花粉なんて言葉は初めて聞いたけど、それぐらい身近なもので尚且つ証拠として嘘をつけないものなのだなと思った。 レイプしたかどうかの判断を、花粉がどこにどれぐらいついているかから考えるというのも面白かった。土壌から調べるのでは時間がかかるが、花粉はとても早く簡単に的確に見つけられるというちょっとした自慢もよかった。 そうやって捜査方法も最適化されていくといいんだけど。 イギリスの移民のお話とか、ホントにあった話だからこそ辛いエンディングを迎えることもある。

  • 8th.Apr
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読者を没入させる世界観の作り方

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タイトル打ち込みながら思いました。そりゃあそんな世界観ならファンタジーほか「フィクションの奥」だよなあと思いました。 フィクションもSFも書かない人間は特には使わないかもしれないな…… みたいな内容と、ふつうに面白い内容とあって興味深かったです。 ただファンタジーものを書きたい人は結構勉強になる内容でした。帝国の誕生から消滅までのお話は面白すぎる。(世界史やったことない人間なので余計に) ファンタジーだけでなく、バットマンやアベンジャーズなどの話を見ていても「そういう描き方!」と納得できるしSHERLOCKの面白さや日本の漫画の話もしてくれてイメージがめっちゃわく。面白いです。 YouTubeのお話を書籍化ということで、かなり平易かつ話しかけるような語り口調でそれもよかったと思います。マジックシステムとかは初めて聞いた言葉なのでそれも面白かったです。

  • 4th.Apr
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アンソロジー 舞台!

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泣いた。というのも、この本はなんというか何らかの才能と努力とをしている人間たちのお話の集まりだったので。 と思ったら、ラストの観客たちに泣いてしまった。生きてる人間、ファンとして会って応援しているからこそのお話だなあと思った。 ざっくりまとめるとこう。 2.5次元舞台のキャス変 バレエの衣装作り アマチュア劇団 劇団四季みたいな職業ミュージカル俳優 2.5の観客 キャス変のところは王道の話だったし軽快な語り口でよかった。というか、自分も似たようなことがあったので嬉しい。 (文学座に所属していてSNSなどをやっていない亀田佳明が朝ドラ出演したことにより盛り上がりをみせて……) 職業ミュージカル俳優としてのお話も興味深かった。ミュージカルというと歌って演技して、の方が日本だと多い感じある。最近はちゃんと踊ってるの見てないなあ。(海外と比べるとね。)でもこの主人公は踊る方が得意なアンサンブルやっていた人という。これ、イメージ的には劇団四季だと思うんだけど違うのかな。 2.5の観客。原作のファンであり、舞台のファンでもある。そしてSNSの関係性の話でもあった。これ実際に起きたらあまりにも人間関係に疑いを持ちすぎじゃないですか………???!!?!? になりました。 全体的にはかなり面白かったですが、小規模劇団を推している身としては物足りない所もありました。

  • 25th.Mar
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