Tin ice in the sun

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東京モダンアパート(rank)
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文豪たちの妙な旅

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第一弾がすごい好きな訳じゃないのに第二弾を買いました。徳田秋声の文庫本は……ほしいよね……(は??) でも今回初めてまともに林芙美子の作品を読んでいたのですが 彼女の作品が……うまい……! をしていました。今回の作品の中でいちばんミステリー仕立てとして面白かったのでは。 あと自然主義ふたり(徳田と田山)が短く鋭い切れ味の短編で良かったです。オチも含めてキレッキレですね。 堀辰雄の江戸っ子のような自尊心崩れのつよい男と 中島敦の親友と思っていた人間と虎狩りのエピソード 宇野浩二の自他境界曖昧人間のウソかホントか分からない話 室生犀星と石川啄木はそんなに好きじゃなかったごめん! って感じでした 萩原朔太郎の猫町とかは有名なので割愛。 ミステリー要素というかやっぱりなんかこう「変な話!!」ってなる(第一弾の時も同じようなこと思った気がする)

  • 29th.Sep
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開墾地

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ケズナジャットです。U-NEXTで短編小説読んだからこれも読むぞって思ってたんだけどようやく買えましたね。 ケズナジャット ルーツの物語と、言語の物語と、自分を自分が認める物語 の交錯がうますぎる……! すごい世界の作品だ。推し作家になるかもしれない。 わたしは日本人という自覚が強いから 海外いってもどこまでも「日本人」の感覚なわけですが…… ケズナジャットの作品では何年も外国で生きていたらそこが故郷に似た感覚を持つけれどそれは故郷ではないし(ケズナジャットにとって日本はあくまでも第二の故郷になりうるかもしれないが故郷としてホームとして考えているのはアメリカでしょう。)日本に暮らしているときだって自分のルーツである外国語を忘れたことは無いし、そもそも育ての親と生みの親との違いがあるから「名前」でさえも自分のルーツを証明するものではない。 父親がイランから飛び出てアメリカへ来ていることも、自分が知らないペルシャ語を話すことも それは父の物語であって息子の物語じゃない。息子に知らせるかどうかは父が決めること。家族でも他者の関係性。 むずかしい話だ。でも好きだな。うん

  • 29th.Sep
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いずれすべては海の中に

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「いずれすべては海の中に」は本当に音楽が好きなんだなーという書き手の感覚が伝わってくる物語がいっぱいでしたね。 ディストピアでもなく利便性が向上しているわけでもなく、ただひたすらに「科学的な世界で現実と同じような息苦しさを感じる人々」のお話で面白かったです。ほんのちょっぴり「奇怪」な感じの日常作品。 ものすごくふつうに女女のお話が入るのもいい。 ラストのお話の作家を含めたメタフィクションがうますぎる。あれをトリとして持ってくるのはずるいでしょう。何人もいる「サラ・ピンスカー」の物語。 「彼女の低いハム音」がいちばん好きでしたね 自分の体験もあるだろうけど、新しいバビーは今までいたバビーとは全く違う生きものなんだけど バビーを見出してしまうよね……

  • 28th.Sep
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ピュウ

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性別年齢名前人種過去が分からない語り手「ピュウ」による不思議な村の観察記録。本文的には町。感覚的には村のはなし。 因習村ではないが、中々に「わけわからない」村のお話でした。そんでもって子どもたちがまだそこに染まっていない感じがいい。 会話が多いのにフォントの変更だけでそれを示すので見ていると地の文と会話文が混ぜ込まれた描きかたになっていて面白い。 村の心臓部に放り込まれてしまったピュウと、異物すぎて逆に扱い方が分からない村の人間たち。 お互いに分かり合えないから余計に「見る/見られる」の関係性が進んでいく感じ。観察する側の一種の「上から目線」の感じが全くない面白い話でした。 そしてその異物感に困っているおじいさんの語りがいちばん好きです。あそこだけ短編映画なんだよな……。 後半での「異様な村の正体」が垣間見えていく感じがとてもよかったのでものすごい勢いで読んでしまった。 エドワード・ホッパーの絵にある世界だ。

  • 28th.Sep
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ミルク・ブラッド・ヒート

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帯や紹介文からは想像ついてなかったんですけど、意外にもいろんな妻と母親たちのお話だった。「母親」って意外と失敗するし自分の人生やってられない、になるがそれでもその人生を生きていくのである。 ある人の感想で「親も子も人生1回目」と書かれていたけどまさにそんな感じ。手探りでの生き方のお話たちだ……。 それと同時に、黒人女性というだけで起きている「いろんなこと」が植物のトゲのようにふとした時に突き刺してくる。面白い作品でした。 あと作者さん意外と若くない!? それでこれだけの「親」を描けるのか、となりました。「母親」の物語好き。優しいけれど別の生き物としてどこか距離のうまれていく親子関係好き。

  • 27th.Sep
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メキシカンゴシック

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わーい少女漫画×クトゥルフ神話だ!! が感想なのですがクトゥルフ神話ではないです(手のひら返しがはやい) ガラスの仮面とかの時代の花とゆめにいそうなちょっとお転婆ではしゃいでいる冒険家ヒロインと、謎のお屋敷のはなし。ガラスの仮面でマヤが演じた白いジャングルのヒロインのあの子なんですよねイメージが(とても細かい) 話がわかるまでは「横溝正史が作りそうなお家だ…… 八つ墓村的な」をしていたのですが、読み終わると「クトゥルフ神話TRPGだ……」になりました。別にクトゥルフ神話ではないよ(2回目)(まじなはなしネタバレではないのでここでしゃべっています。) お転婆少女漫画冒険家ヒロインに対して容赦ない家父長制と人種差別的な優生思想とクトゥルフ神話的なあれそれが降りかかる。ネタバレになるので色々伏せているけれど苦手な人はたぶん苦手な要素があるからちょっとくらいネタバレは見た方がいいかも!! でもわたしはおもしろかったです。 ドラマ化になるの楽しみ〜〜。ただHuluなので日本Huluに期待できるかどうかが微妙すぎ!!

  • 27th.Sep
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夜が明けたら、いちばんに君に会いに行く

所々「あ、映画だな……」とツッコミを入れてしまうところとかあったけど(片付けは自分でやれ……!)静止物の絵画と映像と人間の感情の機微とが噛み合わさった良作だった。 実写であそこまでやれるのはすごい……! アニメ的演出やなんか「エモい感じになる演出」に頼らずに念入りに考えられていてよかった。 なんかもっとフワフワ恋愛キラキラ映画だと思ったけど意外と悩んで苦しんで自分の道を不安に思う人たちの救いあいの物語だった。(いや邦画はこの手のお話好きだねえ、の要素はあったけど) 追記はネタバレ

  • 27th.Sep
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グランツーリスモ

最初は「なんだこのノリで続くのか……?」とパワハラ上司のことを思い出してしんどくなっていたけれど最初の1時間を乗り越えると劇的に面白い。 主人公の自信を損なわせてしまったという自覚のある親 主人公に対して「自分の叶えられなかった夢」を願うようになってしまったメンター 自分のことを信じきれなかった主人公が自分を信じ抜いて戦うまでの物語 正直、そんな話をするぐらいならもっと掘り下げられるところあったのでは!? がなくはないのだが、総合的に見て「ほんとうに面白かった」と思う作品だった。 いろんな要素が絡んだお話だったがこれがほぼ実話であることと、営業職としてお金の問題や実績の問題やマーケティングとして表に出ているオーランド・ブルームがとてもいい。 フォードvsフェラーリでのバーンサルに匹敵するほどの「メインに関わるほどでもない裏方のサポートの良さ」をみてしまった。

  • 27th.Sep
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春に散る

感想を書いてなかったらしいので……。 予想を裏切らない展開だったけどよかったなあ。キング・アーサーじゃないけれど「負け犬から成り上がれ!」の映画でよかった。たった一瞬を後悔しないよう生き延びていく物語。 後悔するかどうかは未来の自分が決めることだから、今を信じるように生きていくしかないのである……! でもまあ、その駆け抜けていく姿に対して絶対迷惑かかってる人間もいるだろうに、と思っているのだが映画らしくふんわりしていた。のだけれど、その疾走感のおかげでわりと楽しくみられた。 原作小説もちょこちょこ読んでいるのだけれど、映画は前半ほぼカットして後半に力を注いでいる感じだった。横浜流星のへなへなした姿からキレキレのボクサーに変わっていく様子がとてもうまいし、綺麗だった。おみごと。 追記はネタバレ

  • 27th.Sep
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ミュータント・タートルズ ミュータントパニック

ティーンエイジャーたちの成長物語! 真っ当におもしろい!! スパイダーバースでも思ったけど、あの厚塗り感のあるデザインでがくがくとした歪な線を重ねるようなCGアニメ本当にすごすぎる。 最初からルッキズム差別全開のお話だったけど途中ではさまるカンフー映画に「???」と思ったらジャッキー・チェンのせいじゃないか。笑った。(キャストで参加している) 赤ちゃんカメちゃんのみんなが本当に可愛いと同時に、ティーンエイジャーとして恋愛要素はさまったり親離れしていいのかどうか悩んでしまう育ちの環境とか、ジョジョ風のお洋服とか(これはキャストの子がジョジョ好きだからアニメスタッフがあえてデザインしてあげたらしい。)なんか細かいところがいっぱいいっぱいのお話でしたね。 タートルズも、敵役のスーパーフライも「家族のため」に動いているのがよかった。掘り下げが……うまい!!

  • 27th.Sep
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