家庭で使われるクランクハンドル式卓上型鉛筆削りや電動鉛筆削りは鉛筆をおおむね鋭角に削ります。
それらと同じくらい18°に削れるのが今回のWミニシャープナー。18°のほか24°にも削れる二穴式だからダブル。
トンボの学童向けブランドippo!シリーズの二穴式鉛筆削り。
二穴はほぼ同口径、切削角度が異なります。
削れ味は良く、なかには軽い力でするする削れて、うっかり削り過ぎてしまうものもあります。
発売年不詳、日本製。ippo!シリーズの一ツですが、同シリーズが始まる2010年以前から存在し、昔の品番はSM-200WNだったようです。
- えんぴつ用刃渡り30.3mm
- 口径8.0mm、切削角度17.5°〜18°/とんがり係数約1.02〜1.08、削りくず約0.25〜0.3mm厚
- ねじ二本で留められているため刃が長くても反りません。トンボ モノ鉛筆φ7.8mmに最適化されているように思います。
- いろえんぴつ用刃渡り23mm
- 口径8.2mm、切削角度22°〜24°/とんがり係数約0.78、削りくず約0.15〜0.25mm厚
- 色鉛筆用としてはやや鋭角。墨芯鉛筆(黒鉛芯鉛筆、ふつうの鉛筆)用懐中鉛筆削りと同じくらいの角度。またトンボ1500色鉛筆や木物語色鉛筆などφ7.5丸軸では22°に削れることがあります。
どちらも三角軸を削れます。
トンボippo!三角軸やリラ グルーヴスリムはもちろん、わずかに太いステッドラー エルゴソフト150もどうにか削れます。
三角軸でも
リラ グルーヴ(スリムでない太軸)や
ステッドラー ノリスエルゴソフトジャンボ153のような太軸は削れません。
削りくずを捨てるには透明蓋を外します。
使うにつれ蓋を外しやすくなりますが、七年以上経っても自然に外れたことは今もってありません。
鉛筆挿入口には蓋が無く開きっ放し、なので削り粉が漏れます。
使うたびに、または鞄に入れるまえに削りくずを捨てるように教えたらいいでしょう。
同社つまんでポイシャープナーでも漏れるんですけど、本品よりずっと少なく、そのうえ容量に余裕があります。
◆
長所は鋭角に削れるえんぴつ用。
冒頭で記した通り、家庭で使われる卓上型や電動鉛筆削りと同じくらい鋭角に削れます。
小学生が学校に卓上型鉛筆削りを持ち込むことはありませんから、鋭角な芯先を授業で書き減らして削り直すとき、使われる鉛筆削りは主に懐中型24°です。
ですが、18°芯先を24°鉛筆削りで削り直すのはなかなか難しい作業です。
その作業を、(学校側が卓上型鉛筆削りを教室に用意している場合を除き)本品の主客層である小学生は日常的に校内で行い、鉛筆削りの刃に芯を深く食いこませ、ペキペキ芯先を砕きながら削って鉛筆を消耗しているんじゃないでしょうか。
そこで鋭角に削れる本品を薦めます。
ところがこの鋭角なえんぴつ用が曲者でして、芯先がきれいに仕上がらないんです。
とくに新品時、鉛筆ではなくて鉛筆削りが新品時、削れ味が良すぎて、割れたような芯先になり、削っている際に芯先が欠けることもあります。
割れたような芯先が新品KSA121 (透明青)で、きれいに研がれた芯先が使い古しピンク(色褪せて黄色味がかっている)で削った芯先。
削られた鉛筆は
トンボ モノ芯硬度Hと2B、各同一ロット、いずれも日本製。
慎重に削ったり数十回使って刃が鈍り始めると、もう少しうまく尖るんですが、鈍るまで割れた芯先で書かねばならないのが困る。
なお
ステッドラーWOPEXを削ると一回で刃が鈍るので注意。
そこで
アイゼン10と同じく
Spitzer spitzen (6) : Lexikalikerを参考に、刃の裏側にアルミテープを二枚貼って0.1mm弱厚くします。
アルミテープが刃先に干渉しないよう幅を狭く切り出して貼ります。
刃が鉛筆を浅く削るようになり、芯先が欠けなくなりました。
削りくず厚も薄くなります。そのぶん削り上げるのに時間がかかりますが、大した差ではありません。
この改造の問題は、芯先がφ0.2mm程度までしか尖らず円錐頂点を削り出せないことですが、筆記に使うぶんには十分尖ります。
どうしても円錐頂点を削り出すならば、KUMオートマティックロングポイントAS2Mや、M+R0207と
ステッドラー502芯研器(芯ホルダ用)を組み合わせて削ります。
KSA121改) 対向した
オレンズPP502 / 0.2mmと同じくらい。
AS2M) KUM AS2M鉛筆削りでは、改造しなくても円錐頂点を削り出せます。
MR207+St502) 鉛筆の芯のみをM+R 0207鉛筆削りやKUMマスターピースで剥き出せば、
ステッドラー502で円錐頂点を削り出せるようになります。
左下の2.0mm芯は502芯研器で削った芯先。
2mm芯ホルダが製図用として使われ続けた理由がこの鋭さでした。
製造時期によって刃の仕上げに違いがあるように感じます。いずれにせよ及第する品質。
替え刃無く使い捨て品。私は数回買い替えて5コ、予備を含めると7コ持ってますが、2013年に買ったものでもまだ削れます。
もっとも小学生とでは使用頻度が異なるので、六年間1コで済むことはないでしょう。
2020年3月は学童用二穴式携帯鉛筆削り三種を取り上げます。
次回は
デビカ 2×2、次々回は
クツワRS006 / 023です。
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