ドイツ削器の名でレモン株式会社が輸入しているアルミ合金製鉛筆削り、その正体はアイゼン社のMOD.10です。銀鳥産業が輸入しているドイツ削りもアイゼンじゃないかな。
中国製、刃のみドイツ製、刃はDUX 12N替え刃によく似ていますが、ねじ孔位置がわずかに違い共用不可。
切削角度約24°、
とんがり係数約0.81、削りくず厚0.2mm - 0.3mm
三角軸鉛筆のステッドラー マルスエルゴソフト150約φ8.1mm及びノリスエルゴソフト152やファーバーカステル グリップ2001も、また少し太いダーウェント スケッチング丸軸φ8.1mm(現行品φ8.0mm)も削れます。
口径は現行品1コめがφ8.2mm、2コめがφ8.3mmで、少々バラつきがあります。
ダーウェント スケッチングはどちらでも削れますけどもカランダッシュ グラフウッドφ8.3mmは削れたり削れなかったりします。
削れ味は良いほうですが、仕上がりがあんまりよくありません。といっても尖ります。幾何学的に理想的な円錐にはならない、というだけのことで、芯先を鋭く削れ、行間へも書き込めます。
じゃあなんであんまりよくない、などと書くのかといえば、ドイツ製時代の旧製品がきれいに尖るからなんです。
その旧品は刃が鈍っているとして頂いたものなんですが中島重久堂#516並みにうまく削れます。それとは別に入手した売れ残りドイツ製もやはりうまく削れます。
ここからしばらく先は細かい話なので読み飛ばしてもらって結構なんですけど、中国製の台座が悪いんじゃないかと思って刃を取り替えてみました。
するとどちらも同じような感じに。
刃を外した台座に鉛筆を挿して回すと、旧品は軽く回せるのに対し現行は引っかかります。
刃も以前のものがいいようだけれども、それ以上に中国製台座が悪いことが推測できるのですが、その中国製のどこが悪いのかまではわからない。
刃を据える凹部(リセス)が
旧型は一定して深さ1mm、
現行は芯先側で1.2mm、鉛筆挿入口側で1mmあり、刃が傾斜して据え付けられます。
なので現行品は芯先に刃が深く食い込むことになり、それが違いを生んでいると考えられるんですがしかし、台座に原因があるなら新旧の刃を替えて差が縮まることはないはず。
刃厚は新旧変わらず0.7mm。削りくず厚は旧品がやや薄く0.2〜0.25mm、新が0.2〜0.3mm。もしかすると刃幅がちょっと違うのかもしれない。
書きやすい芯先はどちらかというと尖りきっていない芯先、つまり中国製台座なのですけどね。
とはいえ現行品で削ると芯先が欠けたりねじれたりすることには違いなく、そこで
Spitzer spitzen (6) : Lexikalikerを参考に手直ししました。
0.05mm厚アルミテープにφ2.5mm孔を開け、5mm×20mmに切り出して凹部へ貼り、刃が深く食い込まないようにします。
二枚貼りましたが枚数は現物合わせで決めるのがいいと思います。
芯先が欠けなくなり、かたちもよくなりました。削りくずは少し薄くなって0.2mm前後。
初めは凹部の半分にだけアルミを貼りましたが、芯先が欠けたので、貼付面積を増やして成功。画像中の現行2は追加で買った2コめ。
削った鉛筆は
北星鉛筆9500/HB。
削る際にこころもち1)へ傾けながら削ると鋭く、2)へ傾けると鈍く削れます。
軸径が太いダーウェント スケッチング鉛筆やカランダッシュ グラフウッド775ではできません。
注意点が二ツ。
・傾けながら削る方法は、口径が少し大きいがためにできることで、鉛筆を削る際にブレることをも意味します。
・本品より鋭角に削られた鉛筆を、本品で削り直す場合、角度が合わないために芯が砕けやすく、刃も傷みやすくなります。
その場合は慎重に削るか、十分に書き減らしてから削ります。
また、この注意点は本品に限ったことではありません。
私は鋭角な鉛筆を書き減らすたびにカッターでせこせこ削って円錐を短くしています。
アイゼンが中国工場を稼働させてから数年だそうで、あと数年したら部材の据え付けをもうちょっと平行にできるんじゃないかと思いますが、中共政府が定常化とか言い出したのでそれが早まるかもしれません。
環境保護政策は副次効果として民衆のモラルを向上させるでしょうから、工業製品の質もだいたい向上します。誰を犠牲にするかを目的にする愛国ではなかなかモラル向上しないでしょう。
その実例が1970年代に開発独裁路線を修正した日本にあると思ってんですけど、当の日本人がそのことを忘れてアメリカ共和党めいたことを言い出しているんだからやっぱり日本の凋落は決定された未来だと思います。
本品のように、四隅に張り出しがある形状は寝台型とか呼ばれます。
軽合金を押出し成形する際、このような張り出し(リブ)でたわまないようにするんだそうですが、そのおかげで削る際に持ちやすいのでした。
※2015年4月22日画像二枚修正
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