刄cイログ @airi_15ore
ついったでやった140字練習(追記におまけ有)や短文練習です

閻魔
不安になるほど真っ白な肌に息を飲んだ。雪に溶けてしまいそうな、血の気を感じないような、人間離れしているような。それでも彼の笑顔は暖かく、ふにゃりと人間らしい表情でわたしを安堵させてくれる。
「こんにちは。道案内をお願いしてもいいかな、このへん解らなくて」
どこか懐かしい声のトーン。more

カミュ
ボタンを留めてもらうのをぼんやりと眺め、幸福感に浸る。大好きで大きな掌が私の肌に触れ、優しく慈しむように介抱してくれるのだ。体調は悪くても精神はどんどん満たされていく。
「まったく…世話が焼ける奴だ」
「う…ごめんなさい…」
本当は自分で着替えられるのだが、弱っているときくらい甘えたいのだ。しゅんと下を向くと彼は困ったように頭を撫で、着替えが終わった私の体をゆっくり倒す。
「真に受けるな。好いた女の面倒を見るのも恋人の役目だ」
「えへへ」
「…わざと言ったな」
勿論甘い言葉を貰うための形だけの謝罪だ。誤魔化すようににこにこと笑うと、彼は眉間に皺を寄せたまま私の鼻を摘まむ。
「俺を欺くとはいい度胸だ」
「病人には優しくしてください」
「ほう…ならば完治が楽しみだな」
なんと恐ろしいことを言い出すのか、彼をからかうと代償が怖いのだが、今回も例外ではないらしい。それすら笑って誤魔化そうとすると、今度は優しくキスを落とされた。

高校生愁平くん
高校生になって周りにモテモテになってしまってイライラしている愁平くん、というリクエストでした。長いので追記に全て載せてあります。more

清光
ただの出来心だった。エイプリルフールという行事に乗っかって、ほんの少し驚かせるだけ。そのつもりだったのに、彼の血の気の引いた顔を見て言葉を失う。
「……主、今、何て言ったの」
「え……あ、いや……」
「何」
どんな感情を向けられているのか解らなかった。怒りとも、悲しみとも取れる表情。more

幼馴染
「俺ら、付き合お」
雑誌を読みながら視線を合わさず言われた一言に、にやっと口が緩む。長年ただの幼馴染として接してきたわたし達に恋愛感情など皆無だ。エイプリルフールに何ともベタな、なんて思って「いいよ」と答えると、彼はこちらに視線を移してわたしをじっと見つめた。more

鶴丸
「君、寝てないだろう」
せっせと書類を仕分けるわたしをじっと見つめ、鶴丸が不機嫌そうにそう言った。確かにここ数日は不規則な生活を送っているために睡眠時間の確保が危うい。よく分かるなあ、と感心しながら鶴丸に視線を遣ると、鶴丸がわたしの手を取って自分の掌の上に置いてしまった。書類の仕分けは一旦中止させられてしまう。more

藍ちゃん
「…有難う」
照れ臭そうに呟いた彼が目の前のケーキをじっと眺める。何だか初めて御祝いした日のことを思い出して嬉しくなった。外見は何一つ変わらないままなのに彼は確かに歳を重ねたのだ。その証拠に、初めは訳が解らないといったように眉を寄せていた彼が、今ではほんの少しだけ笑っている。
「これ君が作ったの?」
「うん、一応…不恰好だけど食べられるよ…」
「そう」
まじまじと見られると恥ずかしいけれど、彼が嬉しそうにしているのが伝わってくるから止めはしない。彼は穏やかな笑顔を私に向けた。
「ありがと。事務所でも祝われたけど、悪くないね」
彼は確かに、歳を重ねたのだ。

おそ松
「そんなに声出してると、また見つかっちゃうよぉ?」
必死に指を噛んで耐えていても喉の奥からどうしても出てしまう声が鼻から抜けていく。私が逆らわないと知っていてこんなところを選ぶ松野くんだって意地が悪い。ホテルに連れていってくれればこんなに苦しい思いもしないのに。
「それとも、また誰かに気付いてほしい?」
耳許で穏やかに囁かれる声。反して内容は何と意地悪なんだろう。違うと言おうと口を開けても、ぐっと腰を押し付けられてしまうので慌てて手で塞ぐ。逆らえないようにしているのは、松野くんだ。
「あ、締まった。やっぱり見られるのが気持ちいいんでしょ」
松野くんは嬉しそうに笑い、私だけを責めるのだ。

高橋浩汰
「こうたぁ…」
今日はまた一段と可愛いなあ、と眺めていたら甘えた声を出され、高橋さんはピンと背筋を伸ばします。可愛い可愛い甘い声。この声は何かをおねだりするときの声です。最近欲しがってたもの何だっけ、時計だったかな、なんて即座に頭の中で考える高橋さん。しかし要求はそうではないようです。more

赤葦
「なかったことにしよう」
何度読み返してもそう書いてある。アルコールの勢いとはいえ事実は覆らない。記憶がないなら未だしも、覚えてて、なかったことにするというのだ。溜息も吐きたくなる。
「わかりました、なかったことにします」
返事は一択しかない。まだ俺を後輩で居させ続けるなんて。more

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -