幼馴染

「俺ら、付き合お」
雑誌を読みながら視線を合わさず言われた一言に、にやっと口が緩む。長年ただの幼馴染として接してきたわたし達に恋愛感情など皆無だ。エイプリルフールに何ともベタな、なんて思って「いいよ」と答えると、彼はこちらに視線を移してわたしをじっと見つめた。
「あ、そう、じゃ」
次の瞬間、顎を掴まれて唇に柔らかいものが当たった。えっ、と声を出したくても口は塞がれている。吸い付くように唇を挟まれて愛撫され、頭は状況に追い付かないのにふわふわとした心地好さに包まれていった。わたしは、何をされているのだろうか。
「っ、ん!?」
ぬるり。口の中に入ってくる熱がわたしの意識を戻させる。これは、まさか、キスをされているのではないだろうか。唾液を絡めるように深く口付けられて舌を舐められ、わたしは慌てて彼の胸板を押した。何するんだと文句を言ってやろうと、口を手の甲でガードしながら睨み付けると、彼はじっとわたしを見つめている。
「いいよって、言ったよな」
手を握られて指を絡め取られる。わたしは彼から目を逸らせなかった。彼の、こんなにも熱っぽい視線を、何年も一緒に居るのにたった今初めて見たからだ。あぁ、こんな顔もするんだな、と思いながら再び近付いてくる唇に目を閉じた。あれ、何で受け入れているのだろう。
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