あかいりんごとあまいはちみつ
□ 2014/02/03 19:43 無題
じゃんけんぽい。
「だぁあーっ負けた!」
「ルーク?」
「あ、わりぃ。今アッシュとじゃんけんしてたんだ」
「アッシュと?なんのために…というかよくアッシュが付き合ってくれたな」
「今夜どっちが上になるか!勝ち続きだったのに…」
開いた口が塞がらないガイを見てアニスはああやっぱりやってたんだ、と一人解決する。ルークの開いた襟元から主張が激しい跡が見えたりしていたからだ。お互いにやりあっているのは予想外だったが。
「おやおや、逢瀬宣言ですか。では今日はルークを一人部屋にしましょうか」
「まじ?ありがとなジェイド」
「いえいえ。私はガイと…」
「旦那、変なこと言わないでくれよ?ルークが勘違いする」
「冗談です。夜は静かにお願いしますね、ルーク」
「ん…?おう!」
首を傾げながらも元気よく返事したルークが御機嫌なのも束の間、急に顔をしかめて頭を抑える。そして一人でに喋り出し、それを見た皆はまた元通りに散った。騒がしくなる可能性が非常に高かったからだ。
「ってぇな、なんだよアッシュ!!え?今日は逢わない?なんで!」
たった今の会話を回線越しに聞いていたらしいアッシュから今日の逢瀬予定は無かったことにされたらしい。前からだがやかましいルークのアッシュ好きな台詞は女々しかったり雄々しかったりとよくわからなかった。
「アッシュだって会いたいくせに!え、あれ?ちょ、ちょっとアッシュ!切らないでやめてごめんなさい俺が会いたいんですアッシュー!!」
□ 2013/12/30 03:26 はじめまして新しい未来
ハローハロー
「あ、あぅーう」
「目が覚めたか、ルーク」
「あ、しゅー」
「無理に喋らなくていい」
「んーん」
「今回はどんな道が待っているんだろうな」
体を起こして首を傾げる幼いレプリカルークは澄んだ目をしてルークを見上げる。音機関にかけられて衰弱したルークは細い手でレプリカルークの髪を撫でた。
「近いうちに会いに行くから待っていろ。もう、限界…だ…」
「うー、うあ、やあっ」
「わか、…る、戻る…」
ルークはふらふらと音機関に戻ってすっかり意識を失う。レプリカルークはしばらくぱたぱたと手足を動かした後、もう一度横になって目を閉じる。喋れなくとも思いはルークと変わらなかった。
今週はどんな未来が待っているのだろうか。どういった幸せで終われるのだろうか。
目を開けると大きな大きな屋敷のベッドだった。新しい未来の始まりだ。
ハローハロー。真っ白な未来にこんにちは
□ 2013/06/25 16:44 日常
「明日は晴れ、明後日も…晴れか、そっか」
「…何をしている」
「ローレライと通信中。やっぱり外出る時は晴れててほしいだろ?」
「ろくでもない事にあいつ使ってんじゃねえよ、第一に痛みが付き物だろ、やめろ」
「アッシュ心配してるれてるんだ」
へらとルークが笑う。
それを見てそっぽを向くアッシュ。
「テメェが使い物にならなくなれば俺に量増しが来るだろうが」
「あ…うんはい、その通りです…」
「…解ればいい」
「ごめん、アッシュ。それと心配してくれてありがとう」
「……フン」
□ 2013/01/30 11:51 子供心
「雪…」
はらはらと視認出来ないくらいの粉雪が降りつもり、町を白く染めている途中であった。木々は所々に緑を白にかえて、とても目に楽しい。
「なんだっけ…見たことある」
茶色の路に落ちている雪は、記憶の中のなにかを思い出させた。端に立つ小ぶりな木がさらにそれを押す。
「うーん……あれ、あれなんだよ」
「…ルーク」
「あっはい!今行く!」
思い出せぬままに夕飯に呼ばれ考えを中断する。小さなテーブルにつくと、食事にまぎれて男2人には量が多い立派なケーキがあった。茶が見え隠れし、白い粉が振り撒かれたケーキは外とまるで同じ状態のものと言えた。
「あっ…これ」
「さっさと食え」
「ね、これ外だよな」
「……」
「あーそっかぁー……」
これかと引っかかっていたものが解決し、肩の力が抜ける。ケーキを作ったアッシュが声をひそめて笑った。
□ 2012/12/13 10:35 アンハッピーディ
「寒いな」
「……」
「ふは、耳真っ赤…。……いでっ」
とぼとぼと外を歩く午前2時。まだ高校も出てない俺達には背徳感がくすぐったい時間だ。小腹が空いてこの寒い中コンビニへ向かう途中だ。
「もうすぐクリスマスだな」
「…年明けだな」
「じじくさっ」
「………」
ずかずかと先に行ってしまって少し向こうのコンビニの明かりが眩しい。静まった深い闇の中でもあの紅い髪は嫌な程目立った。でも、嫌いじゃあない。寧ろ好きだ。いつもあの紅のお陰でアッシュが、弟が弟だと思える綺麗な色だ。髪染めなんか使おうものならいつもは強く言えない分目一杯叱ってやるつもりだ。
やる気の無い大学生が「らっしゃいませー」なんて棒読みしてて入ってそうそう表情を保つのが辛くなる。アッシュは先に弁当と即席スープを持って雑誌を捲っていた。女の顔が写った広告ページだった。
適当に自分もハンバーグ弁当と"具沢山!これひとつで一日の半分の野菜が取れる!"と書かれたスープ、新発売のエクレアを抱えてアッシュの横へ。読んでいる雑誌を覗き見。
「……」
「…おい」
「うん?」
「鼻赤いぞ」
「えっ」
仕返しか鼻で笑われて先に会計を終えてしまうアッシュ。後を追って俺も金を払い小走りで追い付く。
「はぁ……っ」
「……ざまぁみろ」
「うん…」
「………」
「ごめんな」
「知るか」
「今年も、初詣行こうな」
「………」
「あ、でも、クリスマスも一緒にケーキ食おうな。それまでは…、そうだな、どっかおっきいツリー飾ってあるとこ行こう」
「……フン」
手袋をつけてこなかったから、とても冷えていた手と手を繋いで家まで帰った。
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