S1-50 | ナノ


20
望んで、おねがいよ
黒いめ 黒いつめ 黒いはね、あなた
やくそく破ったらおこってくれる?
あなたにみつめられたいからあさは眠ったふりをする
うんめいみたいに笑っていてほしいなあ
悪意 とてもおおきなにもじ
やくそくの果たせないくすりゆびはもらうね
きみがしんだらくすりゆび頂戴
このひかりに眼をならさなければ
墓石にくちづけ あなたがねむる
原典におちよう
やさしいきもちのまま、手からすべりおちていく
さみしさがわたしの、邪魔をする でもわすれたくはない
くちべにの色はおぼえているんだけどなあ
わたしに肩があったらあなたはあいしてくれましたか
いつかわたしは真水になるさ すてきなはなしさ、きっと
きみのあいがわたしを縫いとめる
それがきみならわたしは哀する
むかしだったらため息もつけた
きみに触れられるまえに


19
あたしの少女のとこだけ見てて。他にはなんにもいらないの
わたしの掠れた歯茎のぶぶんだけを舌でなぞるお相手のひと
一人さみ、しく巨峰を啄む夜に
海とジムノペディ
果ての楽園まで駆けてもいい

ああ、声帯をゆるめたいのに
夏生まれのあの人の体温はじつは夏よりも冷たい
サメならばよかった。何をしてものろい私は、きっと兄弟に食われていたでしょう
もうすぐ閉園の時間よ。檻のところまで来て
オフィーリアみたいに絶命させて

私の部屋で一番先に目覚めるのは、観葉植物である
営巣に閉じ込められたい
好きな人にはフルネームで呼ばれたい
もう二度と会えないから最後にくだらない約束しない?
足首の影

あの人を追えない季節ばかり
嵐の前の静けさみたい。わたし達もう終わるのね
汗みどろになってもいいよ
妹みたいに愛でてよ
あたしが嘔吐して丸まった背中を愛する女

実の詰まった瞼
肉付きのいい唇
卵の薄皮と罅
睫毛舐めさせて
闇の中でなら無防備でいてあげる


18
発情愛
あなたのために涙が流れるなんて、勝手よね
初恋の熱に浮かされているだけ
甲羅みたいな目蓋を撫でる
ゼラチンの指、手首、爪、踝

おそろし魂の砕き方
ぬるい暮らし
愛は崩れ易い足場
電気のない場所でなら会えるのに
そのまばたきの一瞬になりたいのに

いつだって真新しいわたしを見ていてよ
体温よりもつめたいなみだ
葡萄の実みたいに弾ける
微弱で脆弱な性
愛を牛乳でかさ増し

胡瓜を頬張ると口の中があおくさい
私の母である聖母マリアの生写真をいれたロケットペンダント
下着の味を吸った体液
私はお前を求めないけど、お前から求められるのは気持ちいい
移りゆく哲学

白木蓮の終わる季節
貝殻から海の音がすればようやくわたしは故郷に帰れる
私のためにその柳眉を歪めてくれ
女には愛撫が必要。男には射精が必要。それを無視するような男だった。
思わず/反射的に


17
口内の夜中
ひとくちの地獄
ひとさじの愛撫
月。もしも、手のひらで受け止められるとしたら、くちづけを落としてみたいですか
あなたになら許されなくていい

眩う
今日もきみの薄い膜越しから世界が見れて完璧だった
難解なものはうつくしい
愛で消滅した
爪痕を守って

あたしの思想が好きだと云って
生を咀嚼しろ
きみの爪のパールが光っている
私の多分、獣くさいかおり
胸の内で温めてておいた卵を割ってしまった

優しくて甘い手をしている
あともう少しで砂丘にわたし達がいるのよ。信じられないね。夢みたいね
君の心臓が砕けるとき、きっと世界で一番美しい音がしたんだろう
個性を黙殺される制服の下の十人十色の肉体、知りたくなあい?見せてあげるよ…
純真無垢のままでいたかったからアダムとイヴのままでよかった

部屋はいつも生乾きのにおいがしてる
便器の味を覚えた
恋も愛も駆使して盲目にさせて
分からない言語の歌がすき。何も知らないから
帰したくもないし愛したくもない


16
愛してるのよ恍惚さえも
あなたの魂をわたしの胎内に隠してあげる
少女ロボットに断末魔はない
全部失くしちゃいたい。深夜だから
冷たい血を覚えられない

魔物がわたしに口付けをする
覚えたての色香
あなたを愛してるよ心中を
深海の瞳は彷徨う
傘にひとひら

感情であなたを見つめてる
生まれ変わったら人間だよって言ったあなたは芋虫だった。そして今は蛹
苛烈な瞳。だけど薄く、強度の氷のような脆さの残る瞳。この人の前では死にたくないなと思った
「今日も君はうつくしかったね」人を殺めなかった日に言われる言葉
皮肉の春

そう、猫。猫ならば身篭っても妊婦とは呼ばれまい
ブラックチェリーのケーキ、かつてあの人からもらったリップクリームと同じ味がする
心が二つ三つあるなら食べちゃいたいのに
炎宿すあなたはわたしの体温を熱いという
エアーポッズを分け与えて頭と頭で寄り添いたい

私はどこに行けるの。どこに行けないの
私の唇に触れる相手が欲しい
骨髄まで考えてあげる
肉欲生まれの愛
内緒生まれの恋


15
アリス、わたしを知って
心が二人を分かつまで
お互いの肉を分かち合った秘密よ
全ての機能を奪ったあなたに片方の靴は履かせてあげない
欲しい、と思ったものはその欲しい相手にしか受け取れないと満たされない発動しない魔法

私の世界を美化してくれた人
知能と愛
約束よ、と囁いた声が忘れられない
模倣のユーフォリア
残りの夢を見るかのような人生

血は一人でに泳ぐ
最初はわたしが支配したから、今度はあなたがわたしを支配する番
お前を殺して寂しい夜を過ごすのも悪くない
あなたと煮崩れたい
もしも会えなくなったら、あなたの夢を毎晩見たい
私は彼女の乳房を耳で感じる

音楽と咀嚼
女王蜂の腰
いつかあなたって私の唇を噛み、歯を歯で抜いた後に、舌を齧り取りそう
脈の通っているくるぶしに唇を寄せる
その炎で髪を撫でられてみたいと思うのだ。私は

冬のひとでしたあなたは 何を望んでも
臍の上に抱いて眠る
死因はきみの子宮がいいね
賢しらに笑っていてくれ
どうして季節って四つしかないんだろうね


14
すき、だいすき、あいしてる。どんどん文字数が増えていくね
蛹のまま飛びたつ、あの山は超えられるはず
兎のように皮を剥がれてぐつぐつ煮込まれて食べられたい
死は平等であるくせして天国も地獄も存在する
「美しい」その言葉を言えないから唇を舐める

毒入りスープだって分かっても銀の食器で食べないから安心して
泣いたよ、熱かったの
美しいな。幻かな
祈りは一人でするもの
そう、根源的な愛がほしいの

房総半島でなら私を銃弾で撃ち抜いてもいいよ
愛の究極は飼い殺しだよ
歯列に残ったさんまの味噌漬けを舐め取りながらあなたを見送る
私の自慰は電気代がかかる
随分と不毛なことをしてきた。いつか姉は男のものになるというのに

昭和五十五年に発行された小説の、意思、というかすれた文字をなぞる
誑し込む、誑かす、嗾す、娶る、拐かす
失戀が、わたくしに自我を与えた
金ぴかの朝の浴室
自らの恋慕に焼き焦がされていく

あなたと恋人になってからというもの、わたしという人間はこのように人を愛するのだと知った
例えお前が白痴であろうと私はお前をぶったりしないよ
どうして偉人の名前にはあんなにも特別な響きがあるのだろう
水槽のあおさで
モルヒネの愛撫


13
肋骨は優しくわたしを抱きとめる
裸子のからだ
いつかスーパーで買った野菜や果物の種を庭に植えてみたい。愛情深く育ててみたい。
爪に潜む逕庭
君の髪に舌を挿れる

禁煙で浮いた金を入浴剤に充てる
貝みたいな自我を引き剥がしてみたい
わたくしの出生届を出したとき、この男はどんな気持ちだったのだろう。今はわたくしの夫
分厚いグレープフルーツの皮にくるまれていたい
牡蠣を噛まずに呑み込んでみたい

塩素剤をくちうつしで飲ませあう貯水槽
植物園はいつもバナナのにおいの気がしてる、熱帯雨林に迷い込んだような
桃の皮を包丁の背で撫でる真夜中二時半
性愛をするときはあなたが兄であることを忘れる
メトロで地底湖に行ってしまおう

さみしい皮膚の乾いた垢
生乾きのシャツと花火とタバコ
シーツにくるまれば独裁国家、ディストピア
飼っている植物に水をやるときはすべての時間が止まっている
ルージュも引いたことない処女くさい唇
いつか死体になる体温

性行為と油
彼が愛したわたしの背中のにきび
きみの生殖機能に恋してる
心臓から遠い器官でときめかせて
彼の言葉に真実はあったのだろうか。桜が水面に落ち続けている


12
あなたからは腐った桃のにおいがする
処女は鋼鉄のにおいがする
瞼の筋肉痛
桜は耳朶のように柔らかい
エラがいやらしい動きをしながら

あなたとわたし、見た景色は同じでも感じ方は違う。寂しい。一体化してしまいたい
嵐に夢中なの
麝香が唱えてる
耳を食んだから知っている。彼女の柔さを
胸の内で感じさせて

あなたの甘言ばかりを信じているのです
爪ほどもない脳みそで惑って逃げて叫んでみせて
きみはうつくしい牙を向ける。懐柔されたようなふりがお上手。食べてもいいよ
植物の匂ひ 植物の体臭
本当のくちづけは額だけに

食道で液化するあなたと買ったおそろいのソフトクリーム
足の裏が覚えているよ
名前の一過性のこと
彼岸花の生のなさ
哲学が欲しそうなあの子

夜行性のいのち
脚を広げて見せてあげるわ。あたしの一番か弱いところ
わたしのモンテスキュー
出会いは鹵獲
生化学のエデン


11
吐息から嘯いている
自我の薄さを表す小さな口
奪っても奪っても取り尽くした気がしない
口元だけの微笑み
優れたものには必ず陰の時間が存在する

あなたはおそろしい あなたはいとしい
永遠を欲すれば始まるよ
ふたりでみれるゆめ
聖女としては死にたくないのです
唇の瘡蓋に噛みついて

いっそあなたから千本の針を与えらたい
私の晒した首に牙を立てる覚悟はあるか
瞳の中で面影が揺れている
私とこの人には同じ数だけの首の骨が埋め込まれている
引火する心

死化粧をなぞる
魚雷のような足
少女は白くてうつくしいなにか
心中通りに
肩の骨のような海

永い骨
優しい隔たり
夢の中で天使になった私はあなたがコンフレークをぼんやりと食べてるのを眺めてた
顔とからだ
背徳の背中


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