2020/12/19 - 30
あなたはわたしに近しいおおかみ
天使の銃口
メンソレータムのキャップを開くとその匂いで自動的に父を思い出す
私にとって文字には魔力があった
いつも意味のある文字を覚えるのは苦手だ
風呂のタイル一枚を塵を拾うように啄んで蟲の羽のように携えました
試験管の中の粘液の一滴となりたい
涙が私の内包から滴り落ちて離れる
その言葉を言われて、わたしその時初めて分かったのだけどそれがあなたから一番聞きたかった言葉だったみたい
凝固したいゼラチン
捕まえてよ、そのまま小麦畑で押し倒して
エロティックマーメイド、ゆらゆら揺れる
魂が傅くほどの
喉奥まで貫かないと気持ちよくなれないよ
好ましい体調不良
限りなく叫ぶこと
2020/11/18 - 29
きみに嘘をついてみたい
きみを見つけないように生きていくよ
多分この男の本名は別にあるのだろうけど、何故か◯◯◯と呼ばせたがる
あと6000文字の人生
慈しみは奪うもの
第四快楽に絞め殺される
喉仏吸いたいね
骨と自由
ジャンク・ヘル
何を思ってわたしはあなたに触れたのか
それは清潔なまぐわいであるらしい
それは私が至らない歳月であり、
きみはわたしに触れないだろう
わたし達は最もたる、夢
2020/11/16 - 28
雲の糸は垂らさなくていい
わたくしの骨格
腹で飼いたいくらいかわいい
右目に眼帯、私から見て左目の眼帯
美に窒息
救ってあげる掬ってあげる巣食ってあげる
ファミリイ・レストラン
あなたが甘くて、骨まで砂糖漬けになったような気がするのだ
私の愛は時間の腐食を受けない
煉獄の花:劣化:飼育
私の影は長く伸びて、頭は海へと浸っていた
また爪を立てられた。褒められているのかも知れない
刹那的なカップル
高潔と蔓
あなたの仕草、話し方、目を見ていると誰かを思い出しそうな気がした。でもコーヒーを飲んだら忘れてしまった。しばらくして会計を済ませたら手を振ってわたし達は別れた。駅に向かう途中、ああわたしの叔父だと思った
海の似合わないひと
藤の巡る季節
2020/11/15 - 27
秘めやかな雰囲気がある。その雰囲気に従っている、という見方もできる
妬ましいは愛撫
僕がほしいのは君の子宮だった、それだけだった筈だった
凍てついた春の日
落日ごっこ
箱庭で加虐を学びました
酩酊夜半
恋に恋して恋になる手前が食べ頃よ
わたしの秘密を奪ったひと、あなたの秘密をもらったわたし
春の轍は引かれない
口の中の金魚
お風呂上がりの清潔な体で本を読むのが日課です
2020/06/28 - 26 海について
海に入ってわたしの脂が溶けたのならわたしは海の一部よ
海に薬指を浸したら、わたくしは海と結婚できますか
フジツボがわたしの肩にあったら、その分だけわたしを満たしてくれますか
海の隅にはいつも人が投げ捨てたゴミが浮かんでる。でもそこの部分から一番磯の匂いがする
海の向こうからずっと嬌声が聞こえてくる
血を一滴捧げますからわたくしと契約してくださいませ
どんなに海が広大でも一口で食べれてしまいそう
海の声は風が代弁してくれる
夜の海はどんな光でも浴びられる
海を愛するって、宝石を舐め合うことと似てる
2020/06/28 - 25
禁断の果実って諸説あるらしい。私はさくらんぼなんじゃないかと睨んでいる
あどけない鬱
あなたを愛してみたい・嘘
いつかはやどしにきてください
煙草の燃料は近親相姦
もしも恋という言葉を知らなかったら、海には行かせないと言ってみたかった
あたしの心臓をもぎとって渡そうとしたのに、受け取られない寂しさときたら
一生ものの秘密にする場合は誓約が必要。したいね
初恋のひとの鼻、唇、髪の長さを覚えている
あなたはあたしの本性であるらしい
終盤には拍手喝采がいい
あなたのせいで死んでみたい
処女なのでまだユニコーンが見えます
あなたと精神崩壊してみたい
お前もあたしも死んでほしいね
あなたをバスルームに誘い込む。沈める準備は万端
私はオルタナティヴ・ロックでできている
まぶたに点在してたほくろだけ覚えてる
2020/06/28 - 24
恋に至るまでは長く、ようやく心を通わせたのなら前触れなくに終わりましょう
私たち、クリムトに描かれて眠るんですね……
あたしのこと、いい気味だって笑って欲しいんです。ほかにはなんにもいらないから
あたしは、この一冊の本を愛しているの。四つん這いになって、背表紙を股の間に押し当てるの
恋はストックホルム 愛はパンドラ
抱きしめれると、あなたの身体の形が分かるのが好き
瞳の中、よく覗けば細胞のかたちをしている
歌詞を編む
2020/06/28 - 23
睫毛の本数は清潔の証足るか?
ただの浮遊の雰囲気
それは無菌のまぐわいである
幼き頃からサーカスに居るゾウへの催眠術のように。ねえ、わたくしは子ライオンよ。所有してもらえないといつか逃げ出してしまうわ。愛すなら、催眠術をかけてね。
繭のざらめ
わたしの薬指には、わたしの結婚指輪と、夫の結婚指輪が嵌っています
人体、楽園、愛について
その欲望に内臓で肉体で応えている。応えたい、と思う
わたしも兄を愛撫したい。……ああ、してるか。この身体で
離れてくれない女について
覚えていません、愛していません
ねえ、あなたを愛す
襤褸でいいよ
清潔な床にシャインマスカットと無花果が転がっているけど
抱きしめる代わりに殴った
海が毛布の中のように暖かければよかった
2020/06/28 - 22
そう、恋人になりたいと思う動機には充分。わたし、バレンタインに知人にあげるつもりだったものを食べてしまった前科があるのに
欲しがってる振りをしていてあげる
海に食べられたいから海を見に来ました。丑三つ時
あなたの中の悪魔を思い出している
言葉があるのは分かりやすくする為でしょ?
ストロベリー・オムニバス
傷付けられた蕾
あなたからは致死性のかおりがする
初恋のお話をするとき、いつも口を噤んでしまう。だってわたしの初恋は太陽の塔だから
わたしには、愛してほしいひとがいます
ベッドシーツに染みついた悪夢
柘榴の季節に私は産まれない
わたしの頬を撫でる、愛をうえつけたひとよ
2020/06/28 - 21
鏡に映るわたしの羽、不自然なくらい白いよ
葡萄の実を啄むようにくちづけられる
墓参りはしないわたしのお友達
逃げ出せたけど、走っているけれど、結局何処へも行けないのでしょうね。あなたがわたしをわたしたらしめるのだから。あなたが探しにきてわたしの居場所を突き止めてくれなかったら、きっとわたしは死を選ぶわ。足裏に棘が刺さる。やっぱり逃げ出せたとしたら裸足でした。
天国には窓がない
貧しい実だけの、自作の庭
わたしの羽毛のような愛。口のなかが乾きそうね
感情は、おいしいとこだけを吸ったらいつか萎む。だから、あなたとは幸せになりたくない
理由もなくなにかを好きなとき、前世を信じてみたくなる