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24 / 12 / 16
トップ - 諸注意

ジャンルごった煮のSS置き場

名前変換機能なし、すべて固有名

24 / 02 / 24
HoYoverse - 天狗と猫又(綺良々)

SNSでぽつぽつ吐き出してた会話文をまとめたものです

24 / 02 / 11
HoYoverse - あとのこと(ティナリ)

「それじゃあ、そろそろ行ってくるね。あとのことは先輩に任せたよ」
「いいのか、俺にそんな責任重大なこと押しつけて。他にもっと適任が――」
「ああもう、そういうのいいから。僕は先輩に頼みたくて言ってるんだから、ウダウダ言ってないでまっすぐ受け入れてくれない?」
「はは、悪かったって。任せてくれ。……それから、アルハイゼンに『おめでとう』って伝えておいてくれな」
「来年は先輩が直接言ってね」
「うっ」
「そのときは……そうだな、せっかくだしコレイも連れて行こう。シティの空気も定期的に吸わせてあげたいし」
「ぐ……わ、わかった。善処する……」
「よし。じゃあね、今度こそ行ってくるから。よろしくね」
「気をつけて……」


アルハイゼン誕生日おめでとう(本人不在)

23 / 12 / 15
HoYoverse - 膝の上の秘密(タルタリヤ)

「……ねえ、今日はどうしたの? もしかしてなんか、調子悪い?」
 無言で膝にかじりついているオレンジ頭を撫でながら、ミラはちいさく息をつく。
 普段よく動く舌は今日ばかりはその力をふるわず、活発な彼らしからぬ静寂をその場にもたらしていた。何度頭を撫でようとそれは変わらなくて、どうすれば顔を上げてくれるのだろうとずっと頭を悩ませている。
 もちろん、タルタリヤにだって疲れた日があることくらいわかっている。ただ、何も言わずにくっつかれているのがなんとなく落ちつかないだけだ。
「何でもないよ。そういう気分なだけさ」
「でも……」
「まあまあ、とにかく気にしないで。嫌なら離れるから」
「嫌――とかは、別にないけど」
「そう? じゃあこのままでいいよね」
 ――いつもより物言いが冷たい気がする。
 それはミラの胸のうちにある過去の記憶を呼び覚まさせて、足元から這い上がる恐怖に飲みこまれてしまうには充分なほどの「疑惑」だった。
「……言ってくれなきゃ、わかんないよ」
 震えた声でそう言えば、タルタリヤはどこか焦れたようにがばりと身を起こす。
 その頬はなぜだかほんのりと染まっていたが、今のミラにそれを追求する余裕はない。
「――まえたく、った、んだよ」
「え……?」
「甘えたくなったんだよ! それもほんと、やけに急にね。でもそんなことを言うのはちょっと格好悪いだろ? 君の前ではずっと格好良い俺でいたいからね」
 言い終わるや否や、タルタリヤは再びミラの膝に顔を埋めて黙り込んでしまう。沈黙の隙間から聞こえてきた唸り声はほんの少しくぐもっていて、膝にかかる吐息がなんとなくくすぐったかった。
 ――そんなこと、別に気にしなくていいのに。
 そのひと言は喉の奥で霧散して、結局この唇から飛び出すことはなかった。 

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貴方は×××で『甘やかしてよ』をお題にして140文字SSを書いてください。

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23 / 12 / 07
HoYoverse - 屈折(蛍/タルタリヤ前提)

GLっぽいかもしれない

23 / 12 / 04
HoYoverse - 仮面の裏には(コレイ)

 何も知らない無垢な少女の背中を見ながら、ふと物思いにふける昼下がりがある。
 スメールのまばゆい太陽を、満ちあふれる雨林の自然を目いっぱい浴びながら少しずつ前に進もうとしている少女にたいして、ダスラはいつも後ろ暗い感情を抱いていた。ひとまわり以上も年の離れた大人に粘ついた好意を向けられて喜ぶ人間なんてそうそういない。まるで警鐘のように鳴り響く理性という名の叫びは四六時中ダスラの耳を叩くのに、それでもこの気持ちはいっさいおさまる気配を見せないし、それどころか日々勢いを増していた。寝ても覚めてもコレイのことばかり考えて、いつまで経っても断ち切れそうにない――そもそも断ち切るつもりもないと言えばそうだが――こんなにも愚かで意地汚い自分を前にしたとき、果たしてコレイは何を思うのだろう。そんな恐怖を腹の奥に抱えながら、今日もダスラは「理想の優しいお兄さん」を演じるため、笑顔の仮面を被るのだ。

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貴方は×××で『わるいおとな』をお題にして140文字SSを書いてください。

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23 / 11 / 10
HoYoverse - だめになっちゃう(ディルック)

「君は、すぐにほっぺたがリンゴみたいになるね」
 わたしの目をまっすぐに見つめながら、ディルック様はひどく満足気にそう言う。至近距離にある彼の顔はわたしには刺激が強くて、今にも爆発してしまいそうなほど、この心臓は早鐘のように動いていた。
「だ、だって……まだ……」
「まだ?」
「その……やっぱり、なんだか夢みたいで。全然、信じられない、から……」
 消え入りそうなわたしの声を聞いたディルック様が、ソファの上でさまよっていたわたしの手に優しく触れた。おおきな手のひらがわたしのそれに合わさって、指を絡めて、握り込む。それだけでわたしの体は沸騰したみたいに熱くなって、まるで頭から湯気でも出そうなくらいだった。
 たまらずわたしがキツく目を瞑って顔を背けると、ディルック様は小さく吹き出してわたしからゆっくりと距離をとる。そのままソファから立ち上がり、こちらに背を向けて扉のほうへと歩き出した。
 わけもわからないままその背中を見送っていると、ディルック様はドアノブを引きながらこちらを振り返って、いたずらっぽく笑ってみせる。
「ハーネイア、君は本当にかわいいね」
 その甘ったるい表情を見せつけられたわたしは、とうとう何も考えられなくなり――ディルック様が扉を閉めるその瞬間まで、呼吸すらままならないほどとなっていた。

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貴方は×××で『オーバーヒート恋心』をお題にして140文字SSを書いてください。

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23 / 11 / 04
HoYoverse - わたしにできること(リネ)

 腕のなかで丸くなった少年の、無防備な後頭部を撫でる。規則的なように聞こえる寝息は巧妙な形をしているが、他人との共寝に慣れ親しんだイネスにとっては脆弱な偽りでしかなかった。
 こうして寄り添ってベッドに入ってから、ゆうに一時間は経っているはずだが――別に安らいでいないわけではないはずだ。自惚れのようにも聞こえてしまうが、イネスは二人きりで過ごすときのリネが緊張の糸を緩ませていることを知っている。リネットとは比べものにならないだろうが、それでも自分の前でしか見せないリネの顔を、イネスは何度も見てきたのだ。
 ならばなぜ。どことなく張りつめたリネの背中を優しくさすり、イネスは静かに思案を巡らせる。……きっと何か不安があるのだ。彼は何かを抱えている。怖いものがある? 避けたいお仕事がある? やりたくないことをやらなければならない? その真偽はわからないけれど、であれば自分がやるべきことは、迷いや恐怖で強張ったリネのすべてを受け止めて、ゆっくり撫でてやることだろう。
 いつだって彼に安らぎを与えてあげたい。「大丈夫だよ」と伝えてあげたい。それが――それこそが、出会ったときから変わらない、たったひとつの願いなのだから。

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貴方は×××で『ね、狸寝入りさん』をお題にして140文字SSを書いてください。

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23 / 11 / 01
HoYoverse - 不格好な背伸び(コレイ)

「先生っ、今日は何を教えてくれるんだ……!?」
 朗らかに振る舞う声と共に、可愛らしい顔がひょっこりと覗く。新芽を思わせる髪がガンダルヴァー村の温風に揺れて、陽光を反射しながら輝いていた。
 いつものコレイなら宿題や勉強には少しばかり難色を示すのだが――もちろん意欲がないわけではない――時おりやけにやる気を出して、こうして俺の家までせがみに来ることがある。お気に入りのペンとノートを手に、太陽にも負けないような燦々とした姿を見せに来てくれるのだ。
「そうだな……今日はティナリもパルディスディアイまで出てるし、せっかくだからパトロールがてら、そこいらの薬草について復習するか」
「つまり――机のうえじゃなくて、外で勉強するってことか?」
「そういうこと。少し準備するから、コレイも用意を整えてくるといいよ」
「わかった!」
 俺の指示を受けたコレイは、ひらりと体を翻して家のほうへと戻っていく。元気良く駆けていく背中からも彼女の喜びが伝わってきて、俺は思わず顔が緩んでしまった。
 
 ――ちなみに、コレイの言う「勉強を教えてくれ」が彼女なりのアプローチのひとつであることを知ったのは、もう少し未来の話である。

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貴方は×××で『キミ専用口説き文句』をお題にして140文字SSを書いてください。

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23 / 10 / 28
HoYoverse - 食事とは(タルタリヤ)

 ――もぐ。ゆっくりと、文字通り噛みしめるように動くまあるい頬を見つめる。普段であればすっきりとしたラインを描く彼のそれが、食事のときだけ子供のように膨らむ様子を見るのが好きだった。
 近頃は執行官としての職務がやけに忙しいらしく、落ちついて包丁を握る余裕もないと零していたのはいつだったか。見かねたミラが家事のいっさいを請け負うと言い出したのがその少し後であるから、もうすぐひと月くらいにはなるのかもしれない。
 始めこそ食材を切るのですら覚束なかったが、最近は少しだけ慣れてきたように思う。ミラ自身の故郷の料理もさることながら、先日部下からもらったレシピを頼りに作るスネージナヤの郷土料理も、なかなか様になってきたのではないか。
 ちら、とタルタリヤの顔を覗き見る。テーブルのうえに広がるのは前述の郷土料理であり、以前タルタリヤが好きだと言っていたレシピだ。北国らしく体の芯から温まるようなそれはこの温暖な気候には似つかわしくないかと思えたが、ここ数日ひどく疲れている彼に少しでも元気になってほしかった。
 ミラがゆっくりと視線を上げて彼の表情をうかがうと――そこにはまるで少年のような、無邪気な笑顔が咲いていた。
「うん、うまい! どうしたの、俺の知らない間にずいぶん腕を上げたようだね」

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貴方は×××で『お味はいかが?』をお題にして140文字SSを書いてください。

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