---

　同社でもっとも売れている水性ゲルがエナージェルらしくて、その廉価版があります。
元が二百円だから廉価版は百円。2011年7月発売、日本製。

　0.5mmが淡く0.7mmが濃い軸色。
　廉くても高級に見える、ではなく廉くてもプラスティック丸出しでも部品点数が少なくても、かっちり造るのが肝要で、この安っぽいペン軸がその実例に思えて私は好きなんですが、どうしてゴムグリップをつけてしまったのか……いや安物だからつけたのか。ゴムグリップは安物の証。

　ノックボタン内にあったばねを廃し、ノック負荷が100g軽くなって約350g。
ボタン自体はめっき以外、二百円軸とおんなじですね。太くて押しやすいボタンです。

　百円ボールペンですけど替芯あります。
クリップ基部をねじって外し、替芯交換。Gノックやパワータンクと同じ部品構成。

替芯は二百円軸と共用。
◆替芯XLRN(ニードルペン先), XLR(円錐形ペン先), φ6.25mm×111.5, ペン先径2.3mm, JISゲルK型、日本製
型番にはXがついたりつかなかったりします。
型番/ボール径/筆記距離;
LRN3/0.3mm/不明、推定560m
LRN4/0.4mm/不明、推定450m
LRN5/0.5mm/700m
LR7/0.7mm/400m
LR10/1.0mm/300m
筆記距離を問合わせたら0.3と0.4は新製品でわからんと相変わらずで、技術のぺんてるが量産試作で連続筆記耐性試験をしないはずもないし、同社は筆記距離を非公開にしたんじゃないかなーと思います。
インク量増減でコスト変動に対応できるとも思えませんが、2008年ころに比べて筆記距離が短くなったから、そんな事情のようです。

　0.3と0.4の筆記距離はパイロットジュースと同じ方法で推定しました。秒速5センチメートルくらいで線を引きましたがダマができず、ペン先製造に関して同社工場はやはり優秀に感じます。

耐水性のみ試しました。意外に高い。
さっぱりと消えた0.3と0.4はスリッチーズとアイプラス用BGRNインクを流用したのかもしれません。

互換品
同社KFRN, KLR, 三菱UMR85N, 同SXR, ゼブラJF芯
代用品
サクラR-GB

　書き味がもっともなめらかで、速乾性にも優れ、そのインクは滲まない、と思ってましたが同社ハイブリッドテクニカやハイパーGに比べると線が太るから、滲むようです。滲むといっても油性マーカーのように滲むわけではないんですけど。
また0.7と1.0は裏ぬけします。

---

　同社ゲルではエナージェルよりハイパーGが好みで、替芯をKLR5に取り替えています。筆跡が太らないのがいい。
　ただハイパーGは樹脂玉開封後、使わずに半年以上縦置きしておくとインク出が渋くなるんです。横置きにすると回復します。

---

　本品は使い捨て同然の価格ですが、国内市場での最低価格品が自国製だった時代が過ぎて数十年、使い捨ては他社製品のみならず途上国製品への買い換え機会を与える販売方法となりました。
紛争国でも買えるとウワサのBICオレンジのように、普及には廉価が一要件となりますし、価格設定が使い捨て前提なんてこともあるので、安物を使い捨てる習慣を変えるのは容易ではありませんが、日本はもう先進国だから途上国時代の経済成長論──消費経済では不利になりさえすることが筆記具にも現れています。

　それを踏まえてか、さきごろ2014年5月のボール径追加では二百円軸へ回帰し、什器には替芯が併せて並べられました。欧米で売っている上級品も並べたらいいと思います。
　なので廉価版エナージェルXがどうなるかわからないんですけども、簡素な飾らないペン軸が製造中止にならずに、細々とでも生産され続けてほしいと思います。

関連記事→ぺんてるエナージェル
ぺんてるエナージェルS

---

×