建築とは何か(SD選書95)

　ドイツ人建築家ブルーノ タウトの死後トルコにて発表された「建築芸術論」1939の草稿(1935-36)を集めた本。内容はほぼ同じで、紫禁城の記述の有無などに違いがあります。

　タウトは国際性と普遍性を志向するモダニズム建築家でありながら、地域性と伝統を重視し、混乱しているように見えます。

　モダニズム(近代主義/思想)建築やモダンデザインは普遍性を獲得しようと機能に即しましたが、機能主義は分析的なため総体を忘れることがあります。

「建築芸術論」や本書では、

建築は水道ガス電気冷暖房等を納める容器であるが、この技術的設備を詰め込んだだけではその機能が活かされない。よってそれらを調和させることが肝要。
この設備類は時代の変遷に伴い失われることがままある。だがパルテノン神殿のように遺跡となっても優れた建築の美しさは失われない。この美は機能に存するのではなく釣合い(プロポーション)に存する。機能を調和させるのもまた釣合い、

と唱えたのでした。

　この釣合いは「何をよりどころにしたらよいのだろうか、それは──国土の守護霊だろうか、(略)＜伝統＞だろうか、それとも人種だろうか、独自の国民精神だろうか、祖国あるいは郷土の精神だろうか。(略)最も重要なものはただ一つ(略)風土である。」p73
　この風土とは環境のことですが、技術進歩が自然の影響を取り除いてゆく時代にあって、また民族性や地域性に左右されない普遍性を目指すモダニズム建築家にあって、風土を顧慮する彼は異色でした。現在では模範かもしれません。

　工芸品では質の問題を取り上げ、「元来『質』というものは、どこの国で創られようとも全く同じであり、それが向上していくというのは、それだけ教養の高い人々のあることを意味します。実に質の向上は、それが芽生え、成長し得る文化的地盤を前提しているのであります。」(日本タウトの日記２p211/岩波書店1955)
材料の産出、選択、加工において地域性が現れはするものの、質を感得する「文化は各国民の間に架けられた、たった一本の、そして事実上の橋である。」日本文化私観p229

　タウトがいう文化性は職人や芸術家が持つ、技術習得や芸術教育によって培われる些か特権的なものですが、彼は、良質を感得する越境的な文化性に人類の普遍的感覚を恃んだように思います。
　ですが人類の普遍的感覚には集団性もあり、協同性もファシズムも潜んでいます。坂口安吾が堕落論で批難したそれをタウトは精神病的現象と呼び、模倣を指して使うこともありました。
　文化には伝播する(みんながマネしたがる)性質があるので、同根かもしれません。

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　ペン軸を一般的な直筒にしながら他商品との差別化を図って細部各所に凝り、胴軸は二層構造、クリップは金属、堅いゴムグリップには波形模様を施し、金属製に見えるバロックな口金は合成樹脂で軽く、ノックボタンも単なる円筒形ではないという顔料ゲルインクボールペン。日本製。海外で先行発売され日本では2009年11月発売。
　ポケットに挿すとクリップ周りの多面体が目立って面白いものの高級感の演出につまずいてしまった印象があります。

口金の凸は内部の突起により常に定位置で留まります。位置がズレるくらい強く締めているなら、その力加減を見直すべき。

替芯XKLR(φ6.1mm×111、ペン先径2.3mm、JISゲルK型)、黒赤青三色、ボール径/筆記距離;
0.5mm/900m
0.7mm/694m。
ぺんてるに問い合わせたらなんか細かく教えてもらった。ペン先は共に円錐形、長めに出て見易い。
同社ハイブリッドテクニカノックKN120系や三菱ノック式シグノ等と互換。サラサJF芯とは難あり。

耐光耐水耐アルコール性全て良好。モレスキンで裏ぬけなし。
　同社KN120系で起こる中抜け(描線中央にインクが乗らず二重線になる現象)を改善した「ミドルコンセントレーション性」があり、染料系より線が細め。
0.7では良好なその性能も0.5ではやや不良。線が重なる漢字では抜けることがあります。

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　今月紹介した製品は全て優秀ですが書き味に限れば本品が優れる。ボール回転に不安定な感触がなく(ボールがごろつかず)、筆記角度を浅くしてもなめらかさを失わず、同社エナージェルに並ぶ書き味で、インクのみならずティップ(ペン先)精度も高いと感じます。

青インクがパーカーペンマンサファイアに似ている。
＊画像を横にしてご覧下さい。
　黒は顔料系にしては光を反射せず吸い込むような、ヴェルヴェットブラックを名乗れる色合い。シェーファージェットブラックに似ています。
赤はモンブランルビーレッドみたいですね。

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