あかいりんごとあまいはちみつ

□ 2012/02/15 01:02 最後のとき

※自分でもよくわからない



「振り回して悪かった。次飛んだらお前も解雇だな」

少し淋しそうな感じがしたが、素直じゃないあの人が感情を漏らすなんて、おかしいと思っていた。




「エルドラントだ」
「え…、それってあの、最近浮かんでる変な…」
「そうだ」
「でも…、あれは対空放火がですね」
「お前なら潜り抜けられるだろう?」

当然のように言い放つ小さな雇い主。信用してくれているのは嬉しいが、休む暇もなく放たれる放火を避けてまでエルドラントになんの用があるのか。もう仕事がないことと関係あるのだろうか。

「…ノワールさん達も解雇しちゃいましたし、何しに行くんですか?」
「…レプリカと決着をつけてくる」
「ルークさんと?」

「…いつ迎えに行けばいいですか?それとも待っていたほうがいいですか?」
「…迎えはいらねぇ。お前は俺を降ろしたらすぐ離陸してできるだけ遠くに…」
「…どうしてですか」

何故だかわからなかった。この人に他に帰る術などないのに。こんな時気付かないから鈍感、だなんて言われるんだろうか。

「他に誰か雇ったりしたんですか?どうやってエルドラントから戻る気ですか!」
「うるせぇ!俺が雇い主だ!黙って俺の言うこときいてろ…っ」

彼はプイと向こうを向いてしまった。今はもう弱っているであろう肩を微かに震わせて、どかどかと外に出て行ってしまった。
障気が消えた青が輝いている空の下、腕まくりしたままおいらはアッシュさんを捜した。おいらに迷惑がかからないようにいつもアルビオールの近くにいてくれるアッシュさんはいなくて、腕まくりを直しながら久しぶりに走った。
アッシュさんのことばかり考えて思い浮かんだが、最近のアッシュさんはいつも息を切らして帰ってくる。心なしか怪我の数も増えている気がしていた。夜も苦しそうに魘れることが増えている。まるで死に流れていくような。どうして気付かなかったのだろうか。
息が続かなくて走るのを止めたころ、近くの木の影に見覚えのある形を見た。

「はぁ…、あ、アッシュさん…」
「…わざわざついて来たのか」
「はい…。アッシュさんは大丈夫ですか?」
「俺がこのくらいでバテるとでもいいたいのか」
「いえ…」

初めのうちはそうだった。アッシュさんはひょいひょい色々な場所に出歩いていたが、戻ってきても息を少しも切らしていなかった。でも今はどうだろうか。足はまだ震えて、息は浅い。

「アッシュさん…」
「だからなんだ」
「…駄目じゃないですか、アルビオールからこんなに離れて」
「……、そこか…」

咄嗟に出た言葉。死に行くんですか、なんてきけなかった。アッシュさんはわかっててここまで走ったわけだし、おいらも口にしたくなかった。
この人はずっと一人で戦っていた。何をするのも一人だった。今更おいらがどうのこうの言ったって、この人は一人で緩やかな坂を下るのだろう。止められるとは思えなかった。

「アッシュさん足速くて追いつけないんですから。寒いんでアルビオールに戻りません?」
「…悪かった」
「いいえ。ただでさえアッシュさん薄着なんですから、寒いとこに飛び出て行かないでくださいね。」
「……」

じ…、とアッシュさんは俺を見つめて、長い睫毛を伏せて行ってしまった。アッシュさんは今何を感じたのだろうか。またまた先に行ってしまったアッシュさんを追いかけて早足で歩いた。明日は筋肉痛確定だ。
おいらはアッシュさんを死の目の前まで連れていく役目を受け承ってしまった。けれど、あの人の意志は変わらないし、他の人にアッシュさんを任せたくないから、おいらは自ら坂道を作って、アッシュさんを待つ。坂道を下って永遠に戻ってこないであろう彼を。いつか上り坂としてその道を戻ってきてくれると信じて。  


□ 2011/11/22 04:20 VA
※R18
 VA
 ただヤってるだけ
  ...追記


□ 2011/11/05 17:02 GiA


ぎんじ、と呟いた。
聞き逃さずにすぐに返事が返ってきてむず痒くなった。
甘やさかれている。

「そうやって誰にでも返事するのか」
「へ?」
「誰にでも笑顔を振り撒いて」
「…アッシュさん?」
「人柄良く対応して…」

「…っ」
はっとして振り向いたがもう遅くて、顔が近かった。

「アッシュさん…」

によりと微笑んで抱き着かれて身動きが取れなくなる。仕事柄かもともとか知らないが、無駄に図体が良く力もあり腕を引きはがすことは出来なかった。それでも大人しくなんてしたくなくて腕を叩いた。

「…離せ」
「アッシュさんかわいいです」
「かわっ…!」

破顔しているギンジはかわいいですと連呼して俺の頬を撫でた。くすぐってぇ。
赤くなっているであろう自分の頬を想像しながらもだんだんと心地好くなってきた撫でる手を止めることを考え、眉に皺を寄せなおした。緩まった腕を解き胸を押し返して、甘えてはいけないと自分に言い聞かせた。

「くっつくな…」
「アッシュさんシたいですか?」
「はぁ!?んなこと……」
「おいらはいいですよ」
「人の話を聞け……」

「アッシュさんが甘えてるってことはそういうことでしょう?」

そんなことない。否定の言葉が出たがすっかり身体は準備万端らしく力が入らなかった。シたくないわけでもないがまだ昼間なのが抵抗あり、うんとは言えなかった。なのにギンジは俺の服を剥いで首筋にキスをした。ぞくりとして身体を預けた。今回は長そうだ。



  




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