口金にカラクリを仕込んだ
デルガード発展型の一ツ。こんどは消しゴムをすばやく直感的に繰り出せる「デルイレーサー機構」をノックボタンに仕込んでいます。
デルガード機構に続いてこのデルイレーサーもものすごく面白い。
芯径0.5mmのみ、付属芯2本、替ゴム2コ及び替ゴム容器つき。2016年11月21日発売、日本製。
平均芯繰出し量0.55mm、残芯5.5〜12.5mm。
残芯長に幅があるのは、芯が13mm以下になるとチャックから外れるものの、芯が脱落せず(空転もしない)、5.5mm程度まで書けるため。
そのデルイレーサー機構は、ノックボタンを下に向けると消しゴムが出て、上に向けると引っ込む仕掛け。
重力と慣性で動き、ノックボタンに触る必要さえナシ。これ欲しさに買ってしまった。
仕組みはゼブラ公式プレスリリースで説明されており、ヘッケラー&コッホのローラーロッキングみたいですね。
長所は細部をすばやく消せること。
短所は消しゴム使用率が低い、消しゴム自体が小さいこと。
消字力:良
消しかす:細かい
†画像の1行めは、書いて消す行為を1回、5行めはそれを5回繰り返したもの。
左からゼブラ純正0.5、
三菱ナノダイヤ0.5HB、トンボ純正0.5、
ぺんてるAinシュタイン0.5HB三菱とトンボとは相性が悪いけれど5回繰り返して消すことはそうそうないので実用範囲内です。
消しゴムで消している間もノックボタンがなかなか押されません。
ノック負荷が約670g、デルガード/.7mm約850gより低いながら、上画像の反復消字テストでは一回も押されませんでした。
ちなみに
テクト2ウェイMAB41/.7mmは約250g。
消しゴムもノックボタンも紙面に押しつけると多少ぐらつくので消しづらいかと思ったら、空転せず引っこまずちゃんと消せました。
ノックボタンは円筒形だから、それを転がすように紙面上で動かすと空転するはずなのに、多少ぐらつくためにボタンがペン軸内部に押しつけられて空転しないのです。これは設計通りなのかゼブラ!
◆替ゴムZタイプ、E-1B-Z-BK、5コ入り、日本製
消しゴムφ4.7mm×12.5、デルガード用Gタイプφ4.7×12.5 (5コ入り50円税別)で代用できます。
付属する消しゴム容器には5コ入れられ、替芯容器にも転用できます。消しゴムと替芯双方を入れることはできません。
消しゴム取付け部には隙間があり、消しゴムが減って指で摘まみ出せなくなったとき、この隙間から針などを刺して残った消しゴムを抜き出します。
消しゴムは1/3しか露出せず、残り2/3を使えないままなのが惜しい。この短所はけっこう深刻で競合品に太刀打ちできない。
上から
ロットリング ラピッド消しゴムφ3.8mm×33mm長 (実効長26mm弱、約79%)
本品φ4.7×12.5 (実効長4弱、約32%)
トンボ モノグラフφ5.3×26 (実効長18弱、約70%)
ステッドラー トリプラスφ5.7×20 (実効長14弱、約70%)
ぺんてるタフφ6.8×35 (実効長30弱、約87%)
ファーバーカステル グリッププラスφ6.7×39 (実効長28弱、約72%)
トンボ モノグラフワンφ6.7×50 (実効長39.5弱、約79%)
競合品は回転繰出式が主流。デルイレーサーより手間がかかりますが、筆記中は消しゴムを出しっ放しにしてもいいわけですから、実用上デルイレーサーに劣るとは言えません。
そして消しゴム体積がどれも本品より大きく、使用率も高い。
欠点にちょっと対処してみましょう。消しゴムを据える部品の内径4.9mm。内側に消しゴムの空転を抑えるリブがあるため、これより細くて長さが4mmくらいの詰め物を入れて底上げすれば、消しゴム使用率を増やせます。
筆記用かつ中高生向けに特化したらしく、クリップを廃して転がり防止突起を設け、手に干渉する部分がなくなりました。
また、パイロットSシリーズやぺんてるスマッシュのペン軸が少し細いと感じる場合にこれが合うでしょう。
重心がだいたいまんなか。左から
ぺんてるスマッシュゼブラ デルガード本品
ゼブラ テクト2ウェイ同テクト2ウェイライト
パイロットS3 ゴムグリップは堅く、滑らず、先軸と多層成形。
先軸と口金は別部品ながらほぼ一体で、後軸とのねじ結合もゆるまず、芯がブレない。このほぼ一体感は
ぺんてるスマッシュに通ずる。
もっともデルガード機構のため筆圧に応じて口金が動くんですけど、ガタつくような動きではありません。芯が折れないように迫り出たり引っこんだりします。
筆圧吸収機構は350〜400g、デルガード機構は300〜400gで作動します。
左から
ぺんてるスマッシュゼブラ デルガード本品
ゼブラ テクト2ウェイパイロットS3 並べるとグリップ形状がテクト2ウェイに近いことがわかります。大きく異なるのは口金形状で、相変わらず芯先が見づらい。
見づらい場合はテクト2ウェイライトがいいかもしれません。
ゴムグリップ嫌いとしては、ゴムを多層成形するくらいなら
同社M-301のような旧来の滑り止め加工でもいいじゃん、て思いますけどね。これも流行でしょうか。
個人的には.5mmは半端に感じられて仕方がない。製図や細かい書き込みだったら.3mmや尖らせた芯ホルダ・鉛筆を使うし、筆記だったら.7mmや.9mmが書きやすい。だから、この書きやすいペン軸をなんとかして.7mmか.9mmにしたい。
そこで、デルイレーサー機構はマークシート試験にも適するけれど.5mm芯がマークシートに適さないから太芯化しよう、と言いたいのですが、ゼブラはもう.7mm以上の太芯を売り出しそうにないし、この機構を同社M-701あたりに移植できないものか。
コクヨ鉛筆シャープ用クリップを一応転用できます。