ロットリングラピッドは1990年代後半に売り出され、特徴的な
ゴムグリップと
ダブルノック機構、それに
回転繰出式消しゴムを持つシャーペンです。
.3mm,.5mm,.7mmの三種の芯径があり、また残芯が少ない先端チャックのラピッドXL(.5mmのみ)も製造されていました。
- 硬めのゴムグリップは約φ10mm,可塑剤が滲出せず不快感少ないものです。
縦リブにより指にあたる面積が減らされていますが、軸を強く握り込むひとにはこのリブが食い込むため合わないかもしれません。 - 一段めの長く重いノックで内部機構を繰り出し、二段めの短く軽いノックで芯を繰り出すダブルノック式です。
軸前端内径(φ2.45mm)と口金外径(φ2.425mm)の隙間は少なくガタツキは感じられません。
芯繰出量は0.5mm(.3芯径)あります。
短いスリーヴを補うように芯繰出量が多いのは筆記用途も考慮したためと思われますが、同社の製図用600は繰出量が少なく製図用ティッキーは逆に多いため、ロットリングはあまりここらへんのことを考えていないようです。 - 異様に長いノックボタンにφ3.8×32mm消しゴムを内蔵、回転繰出機構で繰り出します。
ノックボタン筒内の螺旋溝と赤い部品が噛み合い、回すと溝に沿って赤い部品が上下動する仕組み。他社製にも見られるものですね。
実用的な付属消しゴムの代償としてか突針(クリーニングピン)ナシ。
芯先から48%の位置に重心があり約12gです。替芯挿入口は芯SEC-Oと名付けられ、芯を入れ易いよう漏斗状になっています。
携帯向けの設計思想が全般的に感じられますがクリップを生地に挿しづらいのが欠点。
三芯径あることと筆記専用が別にあることからラピッドは製図用かと思われますが、製図用は定規にあてがうためスリーヴを長く、芯が出過ぎて定規の縁に直接当たらぬよう芯繰出量を少なくするものなのに、ラピッドのスリーヴ長はやや短く3.5mm、芯繰出量は多めで、芯硬度表示も突針もなく更には同社カタログの製図用品ページに記載もされない、かといって筆記用としてはダブルノックも直筒スリーヴも不要、寧ろ筆圧吸収機構が必要、とまるで半端な駄作のようですが実際にはその軸形と消しゴムのおかげで扱い易く廃番が惜しまれる逸品です。※廃番にならなかった。
但し二本め以降としてであって、これ一本だけを所有するのはお薦めしません。