Twitterの小ネタをまとめるところ。
※「神の内/花の内」以外の主人公のデフォルト名が出てます。

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神の内/花の内
迷彩につぐ
七海建人が連れてる幼女
SUCH AND SUCH
赤い実、断面
汚れども洗わず
↑新 古↓

@神の内/花の内
2021/06/06 22:07

《私》は父親知らないし母親には赤ちゃんの頃ネグレクトされてるし15歳で天涯孤独になってる上に灰原と七海を殺しかけた罪の意識がずっとある。かなり重い過去持ちなのにじゅじゅに放り込むと霞む。

《私》の母親は遅くにできた待望の子供で(祖)父母めためたに甘やかされて育った反面、「女の子だからお家継げないね」「お婿さんもらわないとね」みたいなことを(曽)祖父母や御近所さんに言われまくって歪んじゃった経緯がありました。本編に擦りもしない情報でした。

すごく大事にされてる自負が強くて、実際にそうなんだけど、「結婚しないとね」「女の子だからね」みたいな悪意のない押し付けで、「もしかして私ってそのための道具なのかな?」みたいな。甘やかしと現実の落差で思春期に傷付きまくって何もかも嫌になっちゃったっていうか。

祖父母もすごくいい人たちってわけじゃなく、良くも悪くも普通の人たちで、心配性で気が弱い祖母と無口無気力な祖父が(娘の件を反面教師に)不必要に甘やかさずそこそこ厳しくした結果の内気な《私》15歳なので……ただ孫は可愛かったので神様に熱心によろしくしてました。




@汚れども洗わず
2021/04/26 22:25

四話の酔ったしじまのシーンで、酔っ払って倒れるなんて前世含めて初めての失態で全力で恥ずかしがるしじまと、分かりやすく顔を赤らめる好きな子に「(かわいいかわいいかわいいかわいい)」て負けず劣らず真っ赤になってじっくり観察するゴジョー、キャラ違いすぎてカットしたんですよ……。




@汚れども洗わず
2021/04/26 22:22

一生懸命メグが結婚の許可を出すシチュエーション考えてみたんですけど、致命傷負ったメグが「いま言わないと姉貴は一生独り身」て思い至って搾り出すように許可して死にそう。

御三家のことがあるし相手が五条悟だし五条悟だし五条悟だから姉貴が自主的に五条に惚れない限りはメグは絶対許可出さないと思う。

しじまは転生バグで白髪なだけで遺伝子的にはバッチリ黒髪なので、万分の一の奇跡でゴジョーと結婚して子供を授かったとして確率で黒髪の子が生まれるしバグを知らないゴジョーは「誰の子よッッ(血涙)」て修羅場になる。




エイプリルフール @七海建人が連れてる幼女
2021/04/04 10:51

どうぶつになる のろいを うけた!
幼女と愉快な仲間たち。


「右から順に、イタメシ、クロちゃん、くぎゅ、姉御、おにぎり、パンダ。それでね、この子がナナウミ!」
「愉快の極みじゃん」
「ふざけないでください」

幼女はイベントを楽しむタイプの幼女。特にお祭り事は皆で馬鹿騒ぎしたいので、たまたま四月一日に高専に来たのをいいことにはっちゃけた。
たまたま同じ教室で談笑していたから皆仲良く平等に。右から仔虎、ハスキー、茶白猫、黒い狼、白蛇、レッサーパンダ(!?)。そして極め付けは教卓に止まっている一羽。

「七海の何これ。フクロウ?」
「正確にはミミズク」
「あー、前髪と羽角が似てるかも?」
「悠長に喋っている場合ですか。説明」
「え?えいぷりるふぅる」
「今日から四月だねぇ」
「馬鹿が」

特に理由なく動物化すな。

「ナナミン口悪ッ」
「キレて当然だろ」
「猫派つってもなりたいワケじゃないんだけど」
「つうかなんで私が狼で恵がハスキー?」
「しゃけ」
「オマエら俺につっこまないの?レッサーなパンダに一言慰めは?」

なんやかんや多種多様な動物が集って話し合ってるのは癒される。

「喋る動物さんとかファンシーで最高だと思うんだ」
「何故五条さんだけ無事なんですか」
「そうよ。いっそ虫にでもなればいいのに」
「クマムシあたりがオススメだ。小さくて目に見えねぇ」
「君たち先生に対する敬意は?」

あるわけ。

「サク、五条先生は仲間外れでいいの?」
「だってゴダイゴと遊ぶ気ないもん」
「うん?」
「遊ぶって」
「デデニープリンセスごっこ!昨日さぶすくで見た!」
「えぇ……」×7「おかか……」

この幼女ホントにフリーダムだな。
ふにふにほっぺを赤くして仔虎に駆け寄る小さな体。装備は猫じゃらし。
ふりふりすれば虎杖と釘崎が嫌が応にもウズウズ。伏黒が呆れてわふんと鳴き、あまりの犬っぷりに耳がペッタリ。真希が無意識にグルーミングしかけて慌てて距離を取る。狗巻はどこまで半身を起こせるかチャレンジをし出し、パンダはあざと可愛い威嚇の練習。
七海は幼女の頭に飛び乗った。

「動物と触れ合いたいならその手の牧場にでも行けばいいじゃないですか。あまりに非人道的です」
「だってホンモノは懐かないもん。つまんない」

幼女はあくまで呪いなので、デデニープリンセスのように無垢なる存在とは対極に位置する。敏感な動物と戯れるなんて夢のまた夢な悲しい幼女なのである。
四月馬鹿はどんな馬鹿騒ぎをしたって大抵許されると思っている。邪悪さが隠し切れていないサクに、虎杖はふと思いついたことを口にした。

「そういやさ、俺ら普通に喋ってるよな?」
「だからなんだよ」
「動物って人間と同じような声帯じゃないって聞いた気が」
「そーなの?」
「おい馬鹿やめろ」

途端に全員の口からそれぞれの動物らしい鳴き声が漏れ出す。虎杖に両サイドから伏黒釘崎の尻尾がビタンビタンぶつけられた。

「動物だって喋りますよ。デデニーでもセバ〇チャンやフ〇ンダーが喋っていたでしょう」
「そーいえば」
「(あれって多分プリンセスが魚と話せる人魚だからだよな?)」
「(黙ぁってろ)」

瞬間みんなの喉が正常に戻る。一級術師ってすごい。特級と大違い。
その特級といえば、ニヤニヤ顔のままフクロウのように首を傾げている。

「名残惜しいんだけど、そろそろ生徒諸君の任務の時間が迫ってるんだよねぇ。僕もやることがあるし」

サクちゃん、と。五条がある方向を指し示した。首に狗巻を巻いて真希に寄っかかりながらパンダと威嚇ごっこをしていた幼女。キョトンとした顔で五条を見上げ、次に教室の掛け時計を見上げた。時刻はちょうどお昼の12時を過ぎたあたり。

「エイプリルフールの嘘は、午後にはネタバラシしないといけないんだよ」

──ボフンッボフッボフッ!
『みんな本当は動物なんだよ』という思い込みは、次の瞬間に全て嘘になった。
全員が教室の床に座り込んでいる中、七海だけ直立して気怠げにサングラスをかけ直している。それこそ狐に摘まれたような顔で生徒たちは自分の体を確認し、隣の学友を見た。いつも通り人間の姿だし、パンダはレッサーがちゃんと取れている。それはとても良いことなんだけれど。

「説得できるなら最初からしとけよッ!」×5 「こんぶ!」「はぁ……」

それはそれとして五条の適当さはどうにかならないか、とイラつく一同であった。

「せっかく買ったのにぃ」
「伊地知くんが、でしょう」

幼女は力なく猫じゃらしを振った。
そんな今年のエイプリルフールである。




エイプリルフール @SUCH AND SUCH
2021/04/04 10:39

どうぶつになる のろいを うけた!
サッちゃんハムちゃん(韻)


「小さないのち……」
「握り潰しそう」
「ヂッッッ」

助けてママパパ恵くん。
一般成人男性よりも固くてゴツゴツしている一般術師男性の手のひらで震えるしかない。近くて興味深そうに覗き込んでくる黒い目隠しも怖い。ちゃんと六眼で解析してくれてるんだよね?面白がってるだけじゃないよね?

「私のことをなんだと思っているんだ。サッちゃんを握り潰すわけないだろ」

そう言って軽く握り込むのやめてくれません?普通に怖くて小さな心臓バックバクなんだけど。
いかに私が“ハムちゃんの頬袋”という術式を持っているからって、まさか本当に頬袋を持つことになるとは。ヘケッとする気力もない。
幸運なことに特級二人の目の前でボフンッとなったからすぐに保護してもらえたけれど、この感じからしてあんまり幸運ではなかったかもしれない。端的に言って怖い。怖っ。五条がツンツンしてくるのはまだマシで、夏油の小さな瞳孔がカッ開いているのが怖い。

「呪霊だったらずっと一緒にいれるのに……」

オマエに自称ママの矜持はないのか!?
「ヂッッッ」「あっ」ゲ油の手から飛び出して、腕、肩、お洋服を伝って大脱出。五条の「嫌われてやんの」の笑い声を背に全速力で逃げた。ハムちゃん意外と動ける。正直人間の体よりすばしっこい。

「リコ! どこだリコ!」

恵くんが私を呼ぶ声が聞こえた。
恵くん! 恵くんならあの二人から匿ってくれる! サッちゃん恵くんだいすき!
「チチッ!!」何もかも大きな障害物を避けて通って駆け抜けて、恵くんの声が近くなったところで。──ぬるっ。顔ほどの大きさの、ぬらぬら光る黒い物体。クルミの殻の断面に似ているソレが風を吸い込んだ。
玉犬の鼻だ。鼻さえハムちゃんの顔くらいあるなら、体は恐竜じみた大きさ。本能からふるふると体が震える。カパリと開いた口とその中にある長い舌、鋭い牙。いつもふわふわ撫でさせてくれる黒くんはワンちゃんみたいに大人しいけれど、今はキュッと絞られた黒目が、まるで、まるで獲物を見つけたみたいで。

「いたか?」

いま『食っていいぞ』て言われたら、私って即死……。

「ヂュヂュッッッ!!」

死にとうない死にとうない死にとうない!
来た道を逆走して、私は初めて自分から五条に助けを求めた。「うぉ!?」190cmをよじ登って上着の首元に入り込みプルプル震える。夏油が何か言った気がするけど余裕がない。

「小さないのち、服の下に入られると動けない……」
「だろ? 悟には荷が重いよ」
「そのよこしなさいって手やめろ」
「うちの子が心配なんだよ。うっかりやらかさないとも限らない」
「傑は僕がハムスターに乱暴すると思ってるの?」
「人間だって潰せるだろ」
「“できる”と“やる”は違いますぅ」

オマエらほんとさ、ほんとさオマエら。
プルプル震えているうちに呪いは解けたけれど、私はしばらく五条の腰にしがみつくことになったし、恵くんはなんかショックを受けて間接的に落ち込む事態に発展。

「小さないのち……」

夏油はいつも通りでやっぱり怖いなって思いました。




エイプリルフール @汚れども洗わず
2021/04/04 02:41

どうぶつになる のろいを うけた!
しじまと地上最強生物。


「姉貴! 五条さんがヤバい呪いモロに食らったって……なにしてんだ?」

恵は怪訝に顔を歪めた。珍しく平日に姉から電話があり、一言。『ゴジョー、呪い、ヤバい』背後のケタケタ笑いが明らかに人間のモノではなく、五条のためではなく姉の危機に駆けつけたのだ。
何故か高専敷地内に姉はいた。いつも訓練をするグラウンドに立ち、周囲は二年生三人が転がって死屍累々。本格的にヤバいやつかと近寄れば、各々が腹を抱えてピクピクと陸に上げられた魚状態だ。笑い死んでやがる。ここでやっと先ほどの笑い声がこの三人の爆笑だった可能性に思い至った。

「どんな状況だよ……五条さんは、」
「ん」
「ん、って」

何かを見せつけるように人差し指を差し出す姉。けれどそこには何も乗っていない。ふざけているのかと思えば、ふざける姉の姿が想像できず、睨むように目を凝らす。白い指の指紋の上に何か黒いものがある。紙幣の図柄からニホンの文字を探すように目を酷使すれば、それは動いて見えた。

「なんだ、ソレ」
「ゴジョー」
「は」
「ゴジョー、クマムシになった」

死んでいた真希が「ヒョェッッ」と奇声を上げ、狗巻が「ぉが、ぉかかおがかおがが!」とむりむりみたいなノリでもがいた。パンダは引き続き震えている。
クマムシ。氷点下にも放射線にも耐え宇宙空間でも生きられる最強生物。まあ、ほとんど仮死状態みたいな特殊条件下でのみの最強だが。
190cmが0.3mmほどにまで縮んだ。あの自他共に認める最強が最強の耐性を持つ動物に変化したのは、らしいというかなんというか。というかこの人がコレになったら今後呪術界はどうなるんだろう。
地味に張っているらしい無限から見知った呪力がジワッと漏れている。アラームが鳴らないほどの、雀の涙よりも少ない残穢。笑うに笑えなくなった恵である。

「コレどうするんだ……」
「大丈夫。強いよ」

人差し指と親指でプチッとするんじゃない。無限に阻まれるのを面白がるな。ビビったろうが。
結局なにをやっても笑い転げる二年生と頭が痛い恵、しばらく遊んで飽きたのか「どこ置く?」と聞き出した姉。そこでやっとというべきか、クマムシは身長と騒がしさを取り戻したのである。

「動物になれる呪具って言ったじゃん! なんでムシ!? は!? クマムシは緩歩動物? 知らぬェェーーー!」

もっとなんかあったじゃん、犬とか猫とかになってさァ!しじまに撫で撫でされてペロペロし返してスカートに顔突っ込む馬鹿犬のフリしてさァ!?
とか騒ぎ出した大人に恵と真希は渾身のローキックをお見舞いした。相手は無傷だった。

ちなみに最初の電話の笑い声は甚爾の引き笑いである。




エイプリルフール @神の内/花の内
2021/04/04 02:30

どうぶつになる のろいを うけた!
《私》と狐さん。


都内のマンションに狐がいるってどういうことだろう。
私の寝室に紛れ込んでいた黒い狐。ムジナさんや蛇さんが威嚇しているけれど、攻撃をしないってことは敵意はない。左サイドに変な癖がついていて少しだけ夏油さんに似ている気がする。見たところ呪霊では無さそうだし、とりあえずスマホを取った。

「保健所で引き取ってくれるかな」
「キュンキュィ!?」

スマホを持ってる手にしがみつかれてしまった。

「え、えきのこっくす……」
「キュウキュウ!!」
「会話できるの?」
「キュ!!」

本当に呪霊じゃないのかな。あまりに必死なので、とりあえずお風呂に入れて様子を見ることにした。動物病院もなんだか嫌そうだし、寄生虫の有無を見るためにも洗ってしまった方が良さそう。滅多に着ないタンクトップとホットパンツの部屋着に着替えてお風呂場へ。ムジナさんのシャンプーをちょっとだけお借りして、狐さんを綺麗した。

「かゆいところはございませんか?」
「キュキュン」

頭が良い。私が手を動かすのに合わせて良いところに体を擦り付けてくる。シャンプーをゆっくりシャワーで流してあげて、いざタオルドライの段階で身構えられ、……あ。
ブルブルブルブルブル!
……ムジナさんがやらないから油断した。全身に水滴を受けて固まった私に、狐さんはなんだか申し訳なさそうな空気。
ベッタリ張り付いたタンクトップが気持ち悪くて、諦めてお湯張りボタンを押した。

「君にはもう一回濡れてもらおうかな」
「キュッッッ!?」

ある程度お湯が溜まったところで服を全部脱いで、軽く体を洗ってから狐さんを抱え上げる。狐さんは何故か一寸も動かなくて、生きているのか不安になった。大人しすぎる。もしかして人に飼われていたのかな。都内にいるくらいだから野生よりは可能性が高そう。

「君はどこの子かな」

浴槽に浸かって、溺れないようにしっかり抱えて背中を撫でる。素肌に濡れた毛が張り付いてくすぐったい。ムジナさんをマッサージする要領で耳や顔まわりをゆっくり揉み揉み。強張っていた体が徐々にとろけて、いつの間にか私の胸に寄りかかる格好になる。人馴れしているなりに、知らない人間といるのは緊張したのだろう。時たまうりうりと指でくすぐってやりながら、ふと思う。
いつからか、私もこの家に溶け込んでいた。お風呂にのんびり入れるくらい寛げる空間になった。ゲ油さんの家、という認識がするりと解けて、夏油さんと私とミミちゃんナナちゃんの家、と思うようになっていた。今は双子ちゃんたちは寮に入っているから、夏油さんと私の家で。

「夏油さん、早く帰って来ないかな……」

夏油さんがいないと家の中が空っぽみたいに感じてしまった。

「寂しい、なあ」

──ボフッ! バシャッ!

「そういうのは面と向かって言ってくれないか」
「……」

人一人だと伸び伸び入れる浴槽も、成人済みの男女二人は流石に狭い。しかも相手はいつもの黒い着物姿で、足を外に投げ出す形で私の膝の上に横に座っている。いや、座ってるというよりは縁に掴まって浮いてるというか、──夏油さんだ。
お湯を吸った着物を怠そうに持ち上げて、長い髪をうしろに払う。一人と一匹がいたお風呂場の、さっきまで狐さんがいたところに夏油さんが。
もしかして、もしかすると。

「狐さん、夏油さんの顔知ってたの?」

私が寂しいって言ったから、狐さんが頑張って化けてくれたんじゃないかって。

「無理に化ける必要はないの。気を遣わなくていいんだよ」

呪いも神様もいる世界だ。きっと本物の化け狐だっている、はず。

「いや、私の意志では……なんだって?」
「夏油さんの代わりはいないもの」

ポタポタと水気が残った髪を、さっきと同じように撫でて。ご丁寧にピアスまでついた耳も揉み揉み。相手が夏油さんの見た目だからちょっと恥ずかしいけれど。落ち着かせるように抱きついて、背中をポンポン叩いた。

「夏油さんが一人しかいないように、君も世界に一匹しかいないの。君が代わりになる必要はないんだよ」

しばらくそうしていると、シャンプーの匂いに混じって嗅ぎ慣れたお線香の香りが。……お線香?
くっついていた体を離して顔を上げる。それこそ狐に摘まれたような顔の夏油さんが私を見下ろしていて。
流石に匂いまで化けられないよね、と。

「──夏油さん、何してるんですか?」

人間が動物になるなんて、どんな呪いだろう。しかも夏油さんがかけられるなんてよっぽど強い。
それって大丈夫なのかな。硝子さんに診てもらった方が……あと普通に服が乾くまでに風邪引きそう。

「夏油さん、話は後にしてまず着替えを、」
「何故だ……」

か細い声が浴室に反響する。なにかな、と耳を傾けたことを次の瞬間に後悔した。

「何故、私に面と向かって言わず狐如きに言うんだッ!」
「!?」
「君は本心をあまり口にしないタイプだろ! なのに動物には素直にお話できるのか!? 人間も動物だ! 私だって猿の一種だから! この際猿でいいからッ!」
「今度は錯乱の呪いですか?」
「動物への慈愛の1ミリでも私に向けてくれッ!」
「動物と夏油さんは別物……」
「当然だろ」
「えっ」

急にスンッと真顔になった……やっぱり疲れてるんじゃ……。
泣き言と共に抱き締められ、「ずるいずるい」と囁かれ続けた謎空間は、私がくしゃみをすることでお開きになった。

ちなみに本当になんらかの精神汚染があったらしく、治療後しばらく目を合わせてくれなかったのは寂しかった。


(狐夏油さんは精神汚染があったと主張していますが普通に混乱しただけです。あの人はシラフで嫁とお風呂入りました)




エイプリルフール @赤い実、断面
2021/04/04 02:08

どうぶつになる のろいを うけた!
石榴さん(猫?)


直哉は非現実的すぎる光景に一度襖を閉めた。どこぞの呪詛師か役立たずの兄たちか、五条家の嫌がらせかと心当たりを思い浮かべ、もう一度襖を開く。

「……」
「……」
「(ペロペロペロ)」
「クゥン」
「…………ギャウ」

ライオンだ。
鬣がない雌のライオンが両側から玉犬に舐められている。
ここにいるはずの女の姿はなく、代わりにいるのはぺしょぺしょに落ち込む情けない獣。めちゃくちゃ構いまくってる犬たち。見知った残穢二種。行き着いた答えとは別にもう一つ。直哉が堪えきれなかったのは、

「いや自分犬ちゃうんかい」

渾身のツッコミにライオン改石榴が「ガウ?」と首を傾げた。

「石榴ちゃんはアホやねえ」
「!? ガウガウ!!」

名前を呼んでやると、『どうして分かったんですか!?』と言わんばかりに耳が立ち、必死の形相で直哉の元に駆け寄ってくる。肉食獣のソレは些か凶暴だったが、足元でお行儀良くおすわりをする様は正しく犬っころである。やっぱり間違えとるやろ。
写真やテレビで見たことはあっても生きたライオンは初である。動物園すら行ったことがない禪院クオリティの申し子。普通の人間はまずこんな至近距離で見ることはない獣をジッと眺め、おもむろに手を出した。

「お手」
「??」
「石榴ちゃん、元に戻りたないんか? 俺やったらどうにかできるんやけど」
「!! ギャウギャウッ」
「元気やね。素直でええわ。でもな、お願いするなら相応の態度っちゅうもんがあるやろ?」

本当はとっくに目星がついていた。予定よりかなり早く帰宅した直哉とすれ違う際、僅かに挙動不審な態度を取った分家筋の男。確か歳が釣り合う娘がいたな、と思い至ればすぐだ。
人を動物に変える術式など聞いたことがない。つまりこれは呪具による一時的な呪いで、何をせずとも時間が経てば元に戻る代物。直哉に縋る意味はないのに、石榴は恐々と大きな肉球を手の上に乗っけた。想像より固くて、人間の手の方がええなと、ガッカリした。

「伏せ」
「ガウ」
「ええ子ええ子」

調教師になったつもりで頭を撫でてやる。すると石榴も撫でやすいように耳をペタンと倒すものだから、余計に愉快な気持ちになった。この女は本当に尊厳というものがない。自尊心がなく、どんなに下に見られても重宝された分だけ流される。アホやなあ。再認識しながらも、芸はヒートアップしていった。
「お手」に始まり「伏せ」「顎乗せ」「スピン」最後に「ゴロン」腹を見せて畳に寝転がった石榴。喉を鳴らして直哉の手を受け入れる獣は正しく飼い慣らされたペットだ。気付けば胡座をかいた膝に頭を乗っけて夢中で撫で回していた。馬鹿な子ほど可愛い、という概念と初めて対面した直哉である。

「こないなえらい牙があるのになぁ」

黒い唇をペラリとめくれば、子供の小指くらいの牙が見えた。噛まれればひとたまりもない肉食獣の凶器は、これに限ってただの飾りだ。僅かに呻く石榴に「コラ」と叱咤しつつ、好き勝手に唇を弄っていた直哉。
──次の瞬間、膝に乗っていた重さが軽くなった。
ハッとする暇もなかった。
小麦色の毛皮が黒い猫っ毛に変わり、袴の上に広がっている。喉を鳴らしていた首はほっそり白く、こちらを見る目は潤んでいて、無遠慮にめくった唇は真っ赤に色付いていた。あの立派な牙は今や心許ない犬歯になって直哉の指を柔く噛んでいる。

「なおや、さまぁ……」

上手く閉じれないから、唇の端からヨダレがてろんと垂れ、幼子のように輪郭の淡い発音で直哉の名を呼ぶ。羞恥と興奮の境目のような上気した頬が軽く持ち上がって、

「たすけて、なおやさま」

元に戻ったのにも気付かず、直哉に一心に手を伸ばしている。一途すぎて妄信に片足を突っ込んだ女に、

「いつまで寝るん。早よ退け」
「……ぇ、えええ!? すいまっ、ええ!?」
「やかまし」

直哉の膝から転げるように距離を取る石榴。ライオンのように気の強い顔を半泣きで真っ赤にして、土下座せんばかりに「すいませ、ありがとうございました、すいません!」と頭を下げる。

「次は助けへんから」
「はい!お手数おかけしました!すいません!」
「おう」

むっすりした顔でドスドスと部屋を後にする直哉。何度か角を曲がり、人がいないことを十二分に確認してから、呻き声をあげながら廊下の隅でしゃがみ込んだ。

「あらアカン……」

ちょっと変な扉を開きかけた直哉だった。




エイプリルフール @迷彩につぐ
2021/04/04 01:58

どうぶつになる のろいを うけた!
賀喪さん(迫真)


久しぶりにキレちゃったナ。

「ガァグェッグェーー!!(この手のイジリは小学校で卒業したんだよー!!)」
「落ち着いてください。羽が抜けます」
「グェッグェッ(加茂くんだって経験あるでしょ被害者の会発足できるでしょー!!)」
「私に鳥の言葉は分かりません」
「グェーーーッ!!」

呪詛師ってヒマなのかな。それともここは本当に漫画の世界だっりするのかしら。
まさか同人あるあるの胡乱時空みたいなノリで動物になっちゃうとは思わなかった。しかも鴨。カモはカモでも私は賀喪なのに! 小学校の時さんざっぱら『紅緒ちゃんは鳥役ね!』て言われ続けたトラウマ。屈辱でしかない。
興奮するとバサバサしてしまう羽を加茂くんがあわあわしながら抑え込もうと必死。でも手つきがなんだかぎこちなくて曲がりなりにも『女性に触れて良いものか』という迷いを感じる。年下を困らせるのは大人としてまずいと、一先ずグェグェッ鳴きながらシートに座る。ちなみに今は任務帰りの車内だ。
いやーそもそもさー、今回の任務からしてちょっとムカついてたのよ。だって加茂くんと私は京都校と東京校で滅多に会わないわけじゃん? 東日本と西日本で大まかに任務分けしてるのに、合同任務とかおかしすぎるわけで。明らかにお年寄りの皆さんの意図を感じるアレソレ。加茂くんも怒っていいよ。
『いえ…私は、賀喪さんの元気なお姿が見れて嬉しいです』とかとても良い子なお返事が来て格の違いを感じましたね。お育ちが良い。社交辞令が完璧。よーしよしよししたい気持ちは、“お年頃”の属性を思い出してスッと手を引っ込めた。
今は逆に手を伸ばされているのだけれど。

「きっとすぐ戻りますよ」

戸惑いながらも頭を撫でてくれる加茂くん。十代とは思えない気遣い。愛想笑いが引き攣ってても私は嬉しいよ。でも頭は指が目に入りそうで怖いから、別のところにしてくれないかな。胸辺りがちょっと痒くって。
羽って抜けてもあまり汚れないよね。と鳩胸ならぬ鴨胸を加茂くんの手に押し付ける。ギョッとされた。瞬時に遠のいた手に抗議の(鳴き)声を上げると、「えっ、なん、」「は、いや、鳥だとしても」「わたしは、そんなつもりじゃ……」と何やらブツブツ。心なしか白い顔がピンク色になっていって──。

「グァッ(鴨相手にも紳士なのか……)」

良い子を通り過ぎて生きづらそう……。前世は徳川綱吉かな?
二度と手を伸ばしてこなそうな加茂くんに、謎の申し訳なさを感じて窓際に身を寄せた。でぇじょうぶだ、家入さんがなんとかしてくれる。

「賀喪が鴨! カモカモ尽くし!」

やっとたどり着いた門の前で五条さんに爆笑されたのはかなり腹立たしかった。鴨キックは無限に阻まれた。
爆笑されながら家入さんにバケツリレーされ、無事戻った時には五条さんのスマホの画像欄が私(鴨)で埋め尽くされた後。肖像権侵害で訴えるのも辞さない構え。

……ところで加茂くんはいつまで私から距離を取ってるの?




@汚れども洗わず
2021/03/30 19:07

ゴジョー本編で1回もしじまに「好き」て言ってないんですよ。




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