優しい世界を愛した日 



戻れないほどに深い夢を見て
その奥底でずっとあなたと居て

ひっそりと朽ち果てるまで、
この世が終わりと嘆くまで、
かたくかたく指を絡めあって

目蓋をおろして、
瞳を隠して、
くちびるを閉ざして、
舌をしまって

触れ合うてのひらで
ぬくもりを伝えあいながら、
ずっとじっと、
眠れないほどの深い夢をみて

ことばに鍵をかけて、
えがおを檻に放り込んで、
かんじょうに杭を打ち込んで、
おもいでをふたりで食べてしまって

戻れないほどの深い闇に足を浸そう、
苦しいほどに輝く光でこの喉を潤そう

朝と夜と昼と
すべての狭間を
ふたりに閉じ込めて、

ふかいふかい眠りへ
ふかくふかく、
ただのふたりで


この腕にと願った、
何度も願った、
そして遂に手にはいらなかったならば。

どす黒い感情が蛇のように思考に絡み付く、
壊してしまえ、壊してしまえ

痛みが緩やかに全身を巡る
言葉にならない冷たい澱が心に溜まる

繰り返した一つの問いに
答えが返ることは永遠にないけれど

くちびるから零れるこのすべての言葉が、
どうかきみを打ち壊すことを

それだけを願って

わたしは生きている



あとがき

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