「ショックだ……」

幼馴染みというか腐れ縁というのか、友人に彼氏が出来た。まぁそれはいい。迷ってる彼女は可愛かったし、浮き沈みが激しくて見てて飽きなかったから。ついに告白して了承を得たのだと燥いでいる姿は幸せそうでそれはもう可愛かった。
そんで家に帰って旦那も高校生なんだからそういう話の一つもなくちゃ、と言ったらそうかじゃあそうしようとか言って。
次の日旦那に彼女が出来ました。数日前に告白されて保留にしていたらしい。

「ショックだー…」

伊達ちゃんも親ちゃんも慶次すら知っていたのに。自分だけ知らされてなかった。

「幸村に惚れてたのか?」
「違うけどーまさか旦那までー……いつの間にぃ……」

屋上から校庭を見下ろすと旦那は同級生たちと鬼ごっこしていた。高校生にもなって本気で鬼ごっこって。

「お前だっているだろ?」
「そんな暇がどこにあるのさー」

隣で煙草を咥えた親ちゃんに言われて、手の中のライターを奪う。
一人で吸うなら止めないけど。今吸われたら自分にも匂いが付いてしまう。

「一人だけかー……誰かいないかなぁ……」
「そんな暇がどこにあるんだ?」

煙草を咥えたまま呆れた声で繰り返された。返せとばかりに手を出してくるが見ないふりだ。

「そこらへん融通きく人いないかなー」
「それは」
「いるだろ。目の前に」

言われて、親ちゃんとは逆の隣側を見ると平然とした顔で伊達ちゃんが煙草をくゆらせていた。

「いやいやいやいやないないない」
「大概にしろよてめぇ」
「いきなり言われたってさー」
「毎日言ってんだろ」

目の前で伊達ちゃんが腕を伸ばして親ちゃんの煙草に火を点ける。
阻止に失敗したから匂いがつく前に逃げようとしたら肩を掴まれた。

「何」
「marking」

襟辺りに息を吹き掛けられた。煙たい。どうしようかと親ちゃんを見ると、諦めたように苦笑していた。

「……伊達ちゃんでもいっかなーって気がしてしまうのがいやだ……」


おんなのこなんてみんな右ならえの生き物


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高校生 政×佐♀
旦那と忍は同居(not同棲)
かすがと旦那においてけ掘りをくらって心の隙間お埋めされた佐助

旦那の嫁姑バトル? →

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2014/10/27 ( 0 )





発端は。
唐突に真田の旦那が奥州に行きたいと駄々を捏ねて。偶然、旦那と独眼竜との喧嘩が口から拳に変わろうかという時に前田家の風来坊が現れて。

船で海から来たんだ!

なんて、愉しそうに言うから。
海をじっくりと見た事がない旦那と、外に出て遊びたい独眼竜と、乗って来た船見せてやるよ!なんて、てんしょん上がってる風来坊とで海までお出かけ。お前の船かってーの。別にいいんだけど。
問題は三人に同行するのが俺さま一人だけだったという事で。竜の旦那が単身で外出を許されるわけがないから、竜の右目が畑に夢中になってる隙に黙って出馬。馬の時点でばれたけど。しかも追手振り切ったけど。全速力の馬に足で附いて行くのがどれだけ大変か。並の馬ならまだしも駿馬ばっか集めやがって。そこは俺さま、腐っても忍びですから。余裕だけどね。togetherしようぜとか言われても相乗りなんて真っ平御免だ。(解釈が間違ってるか?)
着いたら着いたで、馬で通りを突っ切ろうとするは、止めたらじゃあ馬を預ける宿を探してくれよだの腹が減ったから旨い飯を食わせろだのdoubledateだ!だのかまびすしい。
馬を預けてる間に食事処を見繕った真田の旦那が、佐助俺はずんとか云う餅が食いたいのだと財布代わりに俺さまの手を引いて歩いたら、独眼竜が抜き身で繋いだ手を斬り離そうとしやがって、当事者が怒る前に何故か風来坊のお猿さんが独眼竜に怒って威嚇、したのに爪で引っ掻かれたのは俺。(俺さまなにかしましたか!)
佐助に何をする前田慶次、と驚く旦那。大丈夫か、と夢吉っさんをぽいと捨てる独眼竜。俺の相棒に何すんだ、と詰め寄る風来坊。monkeyが相棒だとは案外下品だなアンタ、あんたが刀なんか抜くから夢吉が吃驚したんだろうが、先刻は某に刀を向けられたか政宗殿、ねぇ落ち着こうよと云う真っ当であろう俺さまの言葉は火に油で、黙ってろと怒鳴られ、全員が得物に手を伸ばした。止める間も無く往来で大立ち回り。(ちょっとした阿鼻叫喚?)
せめて馬だけでも預けておいてよかったと思う所か、刀も一緒に預けておくんだったと嘆く所か判らないけど。剣戟と掛け声の合間に風を斬る様な音と吹き飛ぶ戸板。散らばる露店。空を飛ぶ子供。……子供!?
独眼竜か風来坊に撥ねられたのか、青空の中を見事に弧を描いていく。子供が全身で着地する前になんとか落下地点で受け取って。佐助、と呼ばれた気がしたが、振り向いた視界一杯に立ち上がった馬の腹が。いつの間にこんな位置にと考えながら避けきれないと距離を計る。子供を投げ出す訳にはいかないから片手で武器を取ろうとしたが。これあの三人の馬のどれかだったりしたら帰りはどうなるんだ?今さら烏を呼んで間に合う訳がない。
最ッ悪だが骨の一本や二本は諦めようと身を屈めた、瞬間。あらぬ方向に身体が引っ張られた。悲鳴を上げなかったのは意地だ。子供を庇うように抱えたまま、背中が何かにぶつかった。の割には痛くないな?

「佐助?」

声に、堅く瞑っていた目から力を抜く。

「……ちょ、う。べ」

目の前で爽やかな笑顔の男の名を呼ぼうとして、何言ってんだと笑われた。

「テメェら、餓鬼じゃねぇんだ落ち着け!!」

一喝すると、怒鳴られ慣れているからか三人が三人とも条件反射みたいにぴたりと止まった。(そうか怒鳴ればよかったのか)
視線が高いのは肩というか腕で担がれているからだ。どうやら一本釣りにでもされたらしい。
子供は怪我も無く自分の腕のなかできょとんとしている。それの大人版が、俺だ。

(どうして此の人は斯う)(ああもう)

「もとちかさぁぁぁん」
「なんだどうしたっ?」

どうもこうもない。
鬼の首もとらずにすがりついた。


やさしさが光臨なさった


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戦国 政→佐/慶→幸前提のアニキ
優しいのはアニキしかいない
でもアニキの初期設定は女好き又は親就で

元親さん何しに来たの?→

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2014/10/26 ( 0 )





ストロベリーの庭にて



「何をしてる」

中庭の一画で蹲るorangeの頭に声を掛けると、あからさまに肩を波立たせた。

「なんだ、伊達ちゃんかぁ」

錆付いた様に固く首を回して此方を向いた佐助は、大仰に息を吐く。

「何してんだ」
「苺狩り」

再度問うと今度は滑らかに答える。蹲る先には花壇があって、濃緑の中に赤い物が紛れているのが見えた。

「いいのかよ勝手に」
「だって園芸部だもん俺」

初耳だ。

「……んなclubあったのか……」
「何言ってんの。伊達ちゃんもだよ」
「huh!?」

近くに行って問うと足下に目をやったらしい佐助に、上履きで、と窘められた。

「部として活動するのにね、いや同好会なんだけど、部員が三人以上と顧問の先生が要るわけよ」

喋りながらも着々と花壇から赤い色が減っていく。

「んで、俺さまと小太郎と伊達ちゃん。あと片倉センセ」
「何勝手に人の名前使ってんだ」
「いいじゃない。気付かなかったでしょ」

持ってるcaseと口とに、手が交互に行き交う。どうやったら食いながらそんな滑らかに話せるんだ。

「食べる?」

横に屈んで忙しなく動く口を観察していたら誤解された。断る前に目の前に赤い実が突き付けられる。

「そんな睨まなくてもさ」
「いや違……」
「おいしいねー」

受け取りはしたもののまだ食ってねぇし。つか聞いてねぇし。
caseに積まれた実を漁って食うが、口を動かすのがそんなに忙しいのか暫く気付かれなかった。

「何をしてる」

突然の背後からの声に、隣の顔が蒼白になる。振り向けば予想通りの人物が仁王立ちしていた。

「……小十郎」
「かっ……たくら、せんせぃ……」

般若の様なaureを背負いつつ間合いを詰める小十郎に、佐助はcaseを盾に差し出す。

「せっ先生の代わりに収穫しようかと!」

ハイ!とばかりに呈するが、中身は今し方オレが平らげた。

「って、無い!?」
「まだ摘んでないのがあるだろ?」
「ないよ!」
「なんでだよ!?」
「食っちゃったもん!だから分けて採ってたのに!」
「そんなの知るかよ!?」
「他に言う事があるだろうが」

口論している間に、小十郎が佐助の背後に回って後頭部を火花が散りそうな程に強かに殴った。
頭を押えて苦痛に声も無く呻く佐助の襟首を捕まえて小十郎が言う。

「逃げるなら今ですよ」

そんな涙目の佐助を置いて逃げられるものか。後が怖い。
正座で説教だろうから、一時間で済めばいいなと祈りながら連行される佐助の後に着いた。


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高校生 政→佐
食費を少しでも浮かせたいだけの話。何もない。

一番可哀相な風魔が気になるなら →

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2014/10/26 ( 0 )






「誰にでも脚開いてんじゃねぇぞアンタ」
「どうしてー?」

向かい合う形で、両足を開いて跨ぐように膝の上に座って猿飛佐助は笑う。
自分のものではなくて、主人を裏切るつもりも変えるつもりもなくて、けれど何故か足しげく自分にだけ顔を見せる忍。
そこでどうしても何も。
男名だが実は女だと知ったのはいつだったかもう忘れた。

「じゃあ降りるよ」

そう言って浮いた腰を、掴んで引き止める。力を抜いて再び腰を落として、首を傾げて覗き込む目は悪戯めいた光を宿していた。

「どうしろっての?」

ちろりと覗いた舌に誘われて口を啄む。奥に逃げた舌を搦めとると暫時応えていたが腕の力で逃げて態とらしい深呼吸を繰り返す。
追い縋ると顔を逸らして逃げた、その首筋に痕があった。腹が立って上から噛み付ける。

「痛いよっ」
「見せつけてんじゃねぇよ」

言えば噛み跡を押さえて、仰け反ってけらけらと笑う。

「だって仕事だもん」

忍で女だ。情報を得る為なら色を売る位するだろう。国一つとれるくらいの、で躱してきたくせに他の男には簡単に許すのか。

「あれ?怒った?」
「怒ってねぇよ」
「……怒ってるじゃん」

怒る権利は端から無いのだ。自分の所有では無いから。
うん、と小さく唸って、真田の忍は腕を組んだ。

「じゃぁ一つ、極秘情報を売ってあげようか」
「……極秘?」
「これは多分、あまり知られてないと思うよ」

だから機嫌直して、と言いながら周囲を見回す。本当に極秘ならそれを口にする訳がない。真意など計るだけ無駄なのか。
あのね、と耳打ちする様に声を潜めた戦忍びに身を乗り出す振りをした。

「俺まだ男知らないんだ」

吹き込まれた言葉はあまりにも馬鹿げていて信憑性が欠片もない。のだけれど。
自分は今どんな顔をしているだろうか。
女は膝の上でふふふと笑う。
試すような眼。

「信じる?」


純潔という名の皮肉を携えたおんなのこ



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戦国 政×佐♀
水戸の御老公のくのいちか。色仕掛けや入浴シーンはあるけど本番は無し、みたいな。

皮肉がなくなった場合は →

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2014/10/26 ( 0 )






「何処にもいないのかも知れないな」

言うと目の前に座っていた男は珍しく両目を見開いた。

男が以前追いかけ回していた女は近くの女子校に通っているらしい。その女は未だ軍神だった男を追っていて、曾て軍神だった男はこの学校で保健医をしていて女にその事を教えたのは女を追い回していたこの男だ。西海の鬼と謳われていた男は今日は昼に登校してきて自分の席に座ってからずっと寝ている。出席日数が問題らしいが漏れ無く試験結果で惨敗だろう。追試と補習で挽回する騒動が恒例行事だ。一学年上の生徒会長は今も他人を捨て駒と思っているらしく役員だけでなく顧問教師すら泣かせている。生物の教師はいつ何時でも解剖用のメスを白衣のポケットに入れていると噂されていて、生徒会長と身の毛の弥立つ意見交換会を廊下でしては空気を読まない馬鹿が割り込んで泣きを見ている。その馬鹿は未だに横で寝ているが。人に言わせるとそれは愚行ではなく懐が深いのだそうだ。風来坊は通学の都合で今も叔父夫婦の世話になっているらしい。学校は違うが駅で会った時にそう言っていた。色々話したい事もあるからと笑いながら男とケータイを教え合っていた。聞きたい事ではなく話したい事だと、言うならあいつの周囲にも何人か似た様な奴がいるのだろう。

再会に喜び現在を語りそして言うのだ。全員が。

あいつは一緒じゃないのかと。

言われる度に、もう主従じゃないんだけど、と笑うこの男が。たった一人をずっと探し続けているのを知っている。きっと死ぬまで探し続けるのだろう。けれど。これだけ探して見つからないなら、可能性として。有り得るのじゃないか。

見開いた目は瞬きもせず泣き出した。初めて見た涙とその量と勢いに感動すら覚えたが、止めなければとも思った。泣かれたのが初めてなら慰めるのも初だ。どうすればいいのか見当もつかない。袖で拭っても留処なく溢れ出すから瞼を閉じさせる。睫毛が濡れて雫が揺らいだ。零れ落ちる前に舌で掬って飲み込んだ。

呼吸を思い出した男は、震える声で云う。

「いないの」
「そんなわけねぇだろ」

至極真面目に言うと数度瞬きを繰り返した。弾けるように涙が散る。

「っ、馬鹿じゃないの」

噛み締めた歯の間から漏れるような声で、右の頬を抓られた。触れるのに何も遮るものもない、右の。失わなかった代わりに得ていたはずのものが消えた。背負っていたものが消えて、この存在の希薄さ。覚えているのは。取り戻したいのは。あの苛まれ浮かされる様な熱病。

いないなんて赦さない。

「お前もだろ」

あの眼を通さないと存在の価値も量れない癖に。


ペラペラなふたりで支えあっていきる



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転生モノ 政→佐→
忍がはぐれただけで旦那は大将と一緒に決まっています。転生モノなので外見が違うかもしれません

旦那と再会したいなら →

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2014/10/26 ( 0 )




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テーマ「人外ファンタジー」
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