伊達ちゃんと付き合うと決まった次の日にはその事実がクラス中の女子に知れ渡っていた。
誰だ言いふらしたのは。
「shut up!しつこいんだよてめぇは!」
「あれほど断られていたのに何故今さら!?」
報告し忘れた旦那は女子の噂話から、休憩時間の度に伊達ちゃんと言い合って、放課後まで続けている。とてもうるさいからすごく迷惑だ。
「……顔笑ってんぞ」
親ちゃんに呆れた顔で言われた。両頬を挟んで揉む。笑ってなんていません。
「もー別にどうだっていいじゃんー」
「何故、今、政宗殿なんだ!」
あんな破廉恥漢、と指をさして言う旦那に、言われた伊達ちゃんは誰が痴漢だァ!? と声を荒らげた。
「別にー。そこにいたからだよ」
「誰でもいいのか!」
「うん」
笑って頷くと旦那は顔を覆って天を仰いで何故だ、と叫んだ。
「だって、かすがも彼氏できたし。旦那だって」
「なら別れたら別れるのか!?」
「そっ……れは…………」
答えに窮していると伊達ちゃんに抱き竦められた。しまった、怒らせたかと思っているともう片方の手で旦那の頬を掴みあげて、むぃ、ってする。
「Don't be absurd,幸村……これだけ策を弄したものを、」
「策なのかよ!?」
振り向けば、伊達ちゃんは間を置いてから驚いたような顔を作って否定した。
「nah!計算だ」
「どう違うってーの!?」
「幸村の手が離れればまんまと落ちると思って」
「まんまととか言うな!」
落ちた本人に向かって言うな!
「Ha、脆いものよ」
「ちょろくて悪かったなぁ!!」
「痴話喧嘩なら帰ってしたらどうだ」
ドアを開けて、顰めっ面した毛利さんが現れた。
「毛利さんっ聞いてよひどいんだよ!」
「断る。真田の彼氏が廊下で待ち惚けているが」
「……かれし……?」
「……違うのか?」
毛利さんに睨まれて親ちゃんがあー…て顔をする。旦那と伊達ちゃんも同じ様な顔をしていた。聞き間違いではないらしい。
「なー俺帰っていいかい?」
毛利さんが開け放していたドアから顔を出して慶次が言う。
「……けいじだァ!!?」
伊達ちゃんも親ちゃんも知っていて。慶次すらも知っていた。
それはつまりこういう事か!
「旦那!!!」
教室の後ろのドアから逃げる後ろ姿がギリギリ見えた。慶次もなんだかつられて逃げているし。親ちゃんは不機嫌極まってる毛利さんに貴様説明しろと胸倉掴み上げられていた。
「uh……落ち着けhoney、話せばわかる……はず、だ……多分」
「伊達ちゃん……!」
肩に置かれた手を取って、目を逸らして言う伊達ちゃんに笑って、はっきりと言ってやった。
「別れてやる!」
「Jesus!」
くるくるわらうあのこの依存癖----------------
伊達氏の三日天下でした。