俺はね、選ぶなら大人がいいの。齢の問題じゃなくてさ。実際年上でもいいんだけど。かわいいおんなのこだったら最高かな。美人も好きだよ。とにかくさ、気遣いとか優しさとか、相手に気兼ねしなくていいっていう、それこそ大人の余裕ってやつ?そんな人がいいんだ。ほら日頃がもう勝手な人ばっかりじゃない、俺さまの周りって。甘えたりしたいなって思うんだ。たまには我侭言ってみたりとか、だって特別なんだからいいじゃない?


美人は三日で飽きるって云うだろ。顔とかどうだっていい。連れ歩くなら派手な年上でも選ぶし慰めならいいなりの女を隣に置く。but,sweetheartならもっと攻略しがいのあるのがいい。声を掛けて靡くようなeasyな奴じゃなく、本命が別にいる位の。それなら相手が本気になった時の出方も判るし。誰だろうと振り向かせる自信はある。オレは惚れた相手には優しいさ。悪いが本気なんだ、どうしても欲しくなった。だからオレを見ろ。損はさせねぇぜ?


政宗殿は何故某を認めては下さらぬのか。いえ、認めて下さってはいるのです、らいばるに認めているのはあんただけだと仰られて、佐助が言うには信頼の置ける相手の意味だと。某も政宗殿は信頼に足る方だと思っておりますが。しかし好いては下さらぬのです。か片倉殿はははは破廉恥と思われるかも知れませぬがっ某は!政宗殿をいわゆるその!されど政宗殿はそうは思って下さらぬ。何故でござろうか。物足りぬとは何の事でござる?

「片倉殿は、如何思われる」
「小十郎もそう思うだろ?」
「そう思うよね? 片倉さん」


一度に喋られても聞く耳も答える口も一つしかないのだから誰かが引けば少しは状況が改善されるのに結局我を通す事しか考えていないなら果して人に問う意味はあるのだろうか。と、言う事すら億劫で片倉小十郎はただ黙って溜め息を吐いた。


所詮誰もがあいされたがりの



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戦国 幸→政→佐→小十? / 人の話を聞きやしない
小十郎×いつきに続くなら →

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2014/11/01 ( 0 )






「あれ?お揃いで…」

天井裏から侵入した佐助は部屋にいた主従に声を掛けてから後悔した。立ったまま睨み合う二人の腰に刀が無い事が幸運だと思うくらいに険悪な空気だ。下手な事にならない内に退散しようと身を翻した佐助の腕を政宗が掴む。

「丁度いい、sit」
「へ?なんかマズいことした?」
「座れ、猿飛」

小十郎に言われて佐助は渋々二人の間に正座した。内心身に覚えは無いが土下座する準備をしていると、政宗の頭が膝の上に転がってきた。

「アンタもう少し肉つけろって言っただろ」
「……えぇー」

なんだと思って佐助は小十郎を見上げたが既に次の間に行こうとしている。

「えぇー?」

なんだこの主従は。なんで自分がこんな事しなくちゃいけないんだと膝の上の顔を睨めば、血色が良くない。

「……おんなのこに頼めばいいのに」
「女だったら枕で済まないだろ」
「男でも済まないくせに」

しかもこの男は衆目も気にせず盛りがつけば所構わず事に及ぶから面倒だ。

「なんだ、その気なら今から」
「片倉さーん、休むなら膝貸すよ」

膝から僅かに浮かせた頭をどけて、小十郎に聞こえる様に言うが一瞥を返しただけで無視された。舌打ちしてから黙って頭を戻して目を閉じる政宗を見下ろしながら、佐助は足を伸ばす。
側近が働いているのに何も言わないなら、休ませようとして拒否されていたのか。この男はやれと言うとしないくせに、するなと言えば意地になって徹底してやるのだ。

「真田の旦那に負けてないよねぇ……」

言い返そうとして政宗は口を開いたが、間を置いて気付いた様に呟く。

「……勝ったら負けじゃねぇか……?」
「でも負けは負けだよ?」

返す佐助の声に返事はない。見れば既に微睡んでいた。落ちるのも長くないだろう。背中に針の様な視線を感じながら佐助は心底から呟く。

「……何しに来たんだろ俺」

く、と一瞬揺れた膝の上を見下ろす。御機嫌な無表情がムカついて指でその口角を押し上げた。


わらうようにねむる


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戦国 政→佐
『春待月』の前の設定。基本的に政佐の傍らには小十郎だぜが控えています。本番になると席を外す、感じ。

春待月の後に続くなら→

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2014/11/01 ( 0 )






それはそれは綺麗な揶揄でした


「ふられたー」

開口一番にそんな事を口走った男は、その一言で口を噤んだ。
鞄を机に置いて隣に座って。noteとtextを目の前に並べる。

「慰めてよ!」

脇腹を手刀で突かれた。
読んでいた本から、視線だけで隣を見る。

「なにを?」
「傷心の俺を!そんなだから冷めてるとかクールとかキャーとか言われるんだぜ!」
「余計な……褒めてんのか?」

差した指を本で払う。
それに不快な顔もせず携帯電話でmailを打ちながら一人で勝手に喋り始めた。

「佐助くんって優しいし楽しいんだけどそれだけなのよね。って言われた」
「自分で傷を抉ってどうする」

そういう事は訊かれてから答えるもんじゃないのか。別に聞きたくもないが。

「しかも、あたしほんとは政宗くんが好きなのとか言われた。直後に。即。」
「だからrepeatすんな。Mなのか?」

携帯を閉じて、深々と溜め息を吐く。

「否定はしない。」
「しろよ」
「てーかさ、いらなくねぇ?そこで伊達ちゃんの事なんか必要なくね?なんでいちいち言う?俺さまに言う?つまりはそーゆーことじゃん?」

ふった相手に男紹介しろとか言うような女もだが、そんな女と付き合う奴の、

「趣味が悪い」
「Mだし?」
「ドMだな」

笑いながら机に突っ伏して、そのまま動かなくなった。
何か言うべきかと思案した瞬間、勢いよく起き上がってこちらを睨む。

「今度の休みデートしよ。」
「huh!?」

いきなり何を言い出したこの男は。

「男同士で違和感なくておんなのこがいる場所ってどこ」

……立ち直り早ぇな。

「元親か慶次と行けよ」
「自分よりモテる人誘う?普通?」

元親は老若男女問わず好かれるtypeだし、慶次は老若男女こだわらず恋にうるさい。幸村とじゃ女どころではないか。

「伊達ちゃんなら心配ないし」
「なんでだよ」

5分前に自分で言った事も忘れたのかと、見るとへらりと笑った。

「だって伊達ちゃん、おんなのこより俺のがすきでしょ?」

語弊があると窘めるか、小賢しいと殴るべきか。

それとも空々しいその口に噛み付いてやろうか。


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大学生 政→佐
自分を嫌いな母親がcomplexなのでオカン佐助が好きな女嫌いの政宗様と好きって言われるのが好きな吹けば飛ぶ佐助

週末デートに続くなら →

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2014/11/01 ( 0 )





花と屑



まだ夜も明けきらない時刻に、彼は店の前に立っていた。
客を送った帰り道、欠伸をして、店に入ろうとした彼の頭上から声が降る。

「旦那」

囁くような声は聞き逃しそうな程に小さかったが、彼はそれが何処から降ってきたかも知っていた。数歩下がって二階にその姿を探す。

「佐助っ」

まるで、大声に顰めたような顔をする佐助に、時分を思い出す。慌てて自分の口を塞いだ。
佐助は母親のように笑んで、欄干に身を乗り出した。

「あげる」

手を翳し、佐助の手から滑り落ちた包み紙を受け止める。捻られた上部を開けば中には金平糖が詰まっていた。

「よいのか?」

頷く佐助は、部屋を振り返りながら続けた。

「あとね、帰るひと──」

佐助の手が欄干から滑る。ぐらりと上体が不自然に傾いた。

「佐」

支えようと手を上げるが届く訳もなく伸ばした腕は意味を成さないまま、誰かが内側から佐助の腰に腕を回して抱き留めた。

「だんな」

佐助が吐息のように呼んだのは無論自分ではなく、その男は口の端で笑って、物も言わず佐助に接吻した。
早暁の仄暗い中で寄り添う二人の影が画の様だった。

「……無粋だろ」

上から無感動に言われて、我に帰った。慌てて客から目を逸らして店に入る。
持っていたはずの包みは手から消えていた。いつ落としたのか記憶になかった。



「あれか」

二階の部屋で隻眼の男は支度を整えつつ言う。
手伝いも引き止めもせず、橙色の髪を指で弄びながら佐助は笑んだ。

「身請けは断るよ?」
「ああ」
「見世が好きなんだ」

あの、紅い格子に守る様に囚われた時間がたまらなく。
呟く佐助の笑みは、腐り落ちる前の、過度に香気を放つ八重咲きの花のような。そんな狂い咲きは此処でしかしないと馴染の男は知っていた。
その腐臭に引き寄せられる己も。

「屑だな」

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遊廓モノ 政→佐→幸
佐助♂のつもりだったけど資料がないので遊女♀でも変換可能。楼主の大将に世話になり店を手伝う若い者旦那、に昔拾われて一緒に店を手伝っていたら客に買われて気がつけば昼三ぐらいに育った忍、と云う設定

身請け話に続くなら →

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2014/11/01 ( 0 )






夜の此岸、橋の袂に彼等は立つ。


男は流れる水を渡れない。
霧になり空を飛べても河を渡る事は出来ない。
夜毎橋を降りては人間の魂を集めて橋に帰る彼を眺めていた。死者の命を糧にするでもなく何処かへ持ち去って行く。 鮮やかな髪は見た事の無い色をしていてあれは太陽が沈む時の色だと知人が言った。
どんな血の味がするのだろうと考えては血の通わないただの個体だと知る。きっと彼が此方側に赴く事はない。


自分が人間だったなら迎えに来てくれたのだろうか。




彼は橋を渡りきる事がない。
彼が渡る橋は入口であり出口である。
毎夜対岸の闇の中にいる男を視界に認めては街に向かった。人間の生血を糧にする男は流れる水の先に立つ。疵など残らない筈だのに右目を覆う眼帯は存在を主張していて剥き出しの目が光る。
どんな魂の色なんだろうと考えては塵を残すだけのただの個体だと知る。男が此方側を訪う事は絶対に無い。


自分が人間だったなら。餌にされて終りなのだろうか。



彼等は交わす言葉を知らない。
夜毎の逢瀬の意味も解らない。

息をするただの個体ふたつ



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妖怪(西洋)モノ 政→←佐 伊達吸血鬼と死神佐助
呼吸してんの?と橋は逆側から出れば渡れるよ?は聞きません。

神父元就と悪魔元親に続くなら→

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2014/10/31 ( 0 )




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