「うおっ!」
「ぎゃっ!」
“個性”を使った途端に体当りするかの如く私の体にくっ付いてくる上鳴。毎回毎回本当に鬱陶しくて仕方がない。
慣れないし慣れたくないし馴れ馴れしいのがすっごくムカつく!
「あーもう! 上鳴鬱陶しい! 早く離れて!」
「だったら“個性”使うのやめろ!」
「はぁ!? “個性”使わないと勝てないじゃない!」
私の“個性”は“磁力”。磁力の強弱で金属を自由に操ることも出来るし、銃弾だって止められる。
結構強いのを自負しているのだけど、余計なものまでくっついてくるのがこの“個性”の難点だ。
「そもそも何で電磁石化してんのよ! あんたの“個性”ただの帯電でしょ!?」
「知らねーし分かんねーよ! 俺頭悪いんだから!!」
「威張ることじゃないでしょ!!」
こいつ、同じクラスの上鳴電気という男はその“個性”故なのか、ことあるごとに私の“個性”に反応してはくっついてくる面倒臭い奴だ。
お互い不可抗力とはいえこうも毎回毎回くっつかれては授業どころではない。
「早く離れてよ!」
「なぁ……」
「?」
「もう俺たちさ、付き合わね?」
「絶対嫌」
急に真剣な声を出すから何かと思えば下らない。磁力を反発させ上鳴を敵役の二人に向かって吹き飛ばしてやった。
「ぬわーっ!!」
個性「磁力」の女子が上鳴と(物理的に)くっつく