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▼ ひみつのせいかつ9 2話の続き 家に帰ると、ヒカルは夕ご飯を食べに行っただけなのに、それ以上の疲れを感じてすぐに浴槽に湯をはった。普段はアキラがあまり好きではないから入れることは少ない貰い物のやや値のはる入浴剤をいれる。 バブル系の入浴剤は、湯を少しかき混ぜると白い泡と酔ってしまいそうな甘い香りを発している。 その間に乾燥機にかけていた洗濯物を慣れた手付きで箪笥にしまうと、着替えをとって服を脱いだ。 緩い手付きで身体と髪の毛を洗って、ヒカルは待ち望んでいた浴槽に浸かった。 ふわふわとした泡が身体にまとわりつきつつ、甘い香りにヒカルは瞼を伏せた。 ぼんやりとした頭で身体をマッサージしながら、ヒカルは疲労を少しでも和らげようと一時間ほど入浴することとなった。 浴室から出ると、ヒカルは下着を身につけて家に他にひとがいないせいか、下着のままの姿で廊下に出た。 いつもならテレビなどをつけて適当にだらけて過ごすのだが、未だに疲労を訴えてくる身体に、ヒカルは寝室へと向かった。 アキラとはお互いに仕事も違うことがおおいため、部屋は別室にしている。小さめのテーブルに置かれたビビッドカラーのノートパソコンにちらりと視線をやって、棋譜整理でもするべきか、と思いながらも結局開くことはなく、ベッドに倒れ込むように寝た。 張り替えたばかりのシーツがやけに気持ちよくて、身体も十分に温まったせいか、眠気がどろりとヒカルを襲うように迫ってきて、ヒカルはそれに誘われるように力を抜いて身を任せた。 ふと物音がして、ヒカルは目を開けた。すると、少し開いていたドアから光が覗いている。 しょぼしょぼとする目をこすりながら、ヒカルがゆっくりとした足取りでドアを開けると、アキラの姿があった。 「あ………おかえり」 「ただいま。寝てて良かったのに。起こしてしまったかな?」 背中を見せたままアキラは返答した。手には大荷物があり、それを整理してるようだった。 「んー…ちょっとうたた寝してただけだから。それより、荷物大変そうだね。手伝おうか?」ぺたぺたと素足で歩み寄りながらヒカルがアキラのすぐ後ろまでいく。 「大丈夫だよ。僕一人で…、も……」 ぱっと振り向いたアキラが、ヒカルの姿を見て驚いたように目を見張った。 その様子に、ヒカルは不思議そうに首を傾げた。 「? 塔矢?」 「ふ、」 アキラの唇がわなわなと震えている。 「ふっ…服を着ろーっ!! なんで君はそんな姿なんだ?!」 アキラの容赦ない怒号にヒカルは身を縮こまらせた。 「僕が家にいないといつもそうしてるのか?! まさかそんな姿で玄関に出たりするのか?」 ヒカルがなにかを言い返す間もなく責めるように怒鳴ってくるアキラに、ヒカルはようやく自分が下着姿のまま部屋から出て来てしまったこと気付いた。 白く柔らかな肌が、隠されることなく照明のもと晒されている。普段は見せることのない曲線を描く胸元も、引き締まった太股もである。 ヒカルはぱくぱくと言葉にならない言葉を発しながら、目にも止まらぬ早さで部屋に戻った。 2013/07/12 17:14 |
▼ 次の更新は ヘタリア! 先ほどメイドエロ終わりました〜〜〜〜〜 やっと!やっと! パソコン野郎が直りやがったら更新します!!! いま携帯から! 2013/07/06 23:29 |
▼ メイド続き R18 口の奥からとろりとした唾液を出して、閉じられたら唇の端から攻め立てるように舌先でアーサーがつつくと、菊は躊躇うようなそぶりを見せて招き入れた。くちゅりと唾液と唾液が触れあうような音がして、菊はアーサーから歯列も、歯肉さえも舐められながら心地よさに酔った。 背中にまわしていた手が下へとおりて、そろりと服の隙間からはいっていく。柔らかな胸元が、下着に覆われている。肌を撫で回すように、背中のホックを外すとマシュマロのような乳房が圧迫感から解放された。 「……んっ……あぁん…」 直接肌に触れられ、円を描くように乳房を撫で回される。時折菊の漏らす声を耳にしながら、乳首をつまむようにやや乱暴な手付きで揉むと、菊は身をよじった。 「や…、アーサー様……っ。胸ばっかり……あ、んっ」 「なんだよ、嫌いじゃないだろ。こうやって触られるの」 「………ふっ…ぁ、き…ゅんんっ………」 涙目になりながら、執拗に触ってくるアーサーに意地の悪い笑みで問いかけられ、菊はゆっくりとうなずいた。 アーサーはその返事に満足したように頷くと、菊の下着を脱がした。 何も生えていない恥部が、明るい照明のもとに晒され、とろりとした蜜液がきらりとひかる。 足を押さえ込まれ、膝小僧が肩についてしまうほどに身体をくの字に曲げられながら、菊は真っ赤になってアーサーを見上げた。 「アーサー、さまぁ…っ」 「ん?」 ぱたりとアーサーの額から汗が落ちる。 菊は無言でアーサーを急かすように、その細くむっちりとしたさわり心地の足をアーサーの胴体に絡めた。 「…………積極的だな」 にやりとアーサーは笑うと、スラックスから自らの肉棒を取り出し、ぴとりと陰部へと当てた。 襞をえぐるようにくちくちと出し入れすると、菊は明らかに不満そうに顔をしかめて、じっとアーサーを見上げる。 くっと笑いをこぼして、アーサーはずぶりと慣らすこともなく肉棒をつきいれた。 「あっ…んゃぁ…っ……」 ぐちゅぐちゅと蜜液が入れられ、肉棒に絡みながら音が出る。 肉と肉のぶつかりあう音がし、菊は押し寄せてくる断続的な快感に嬌声をあげた。 「やあ…あんっ…あ、あっ…ぁ……」 アーサーの腰の動きと共に菊の丸く熟れた乳房が揺れる。 その魅惑的な動きを見つめながら、アーサーは奥へ奥へとつきたて続ける。 「はっ……ぁ、…菊」 「アーサーさま、アーサーさまっ…」 ぎゅっと目の前にいるアーサーを抱きしめて、菊は口の端からよだれをこぼしながら喘いだ。 アーサーの肉棒が奥へと当たる度に甘く痺れるような疼きが生まれる。止まないその快感に酔いながら、菊は叫んだ。 「はや、く……っ」 はあはあと荒い息を吐きながら、菊はアーサーに懇願した。 「……菊っ…………」 アーサーがその請いに応えるように、再奥へと打ちつけた。 びくっと一際大きく菊の身体が震えて、ぴくぴくと小さく痙攣した。 絶頂を迎えた後の、押し寄せてくる小さな快感の連続に、菊はゆっくりと瞼を閉じる。 程なくして、アーサーも菊のナカにどろりとした精液を吐き出した。 熱いものを下腹部に感じて、菊は「んっ…」と身じろぎした。 「菊…」 アーサーの薄い唇が頬へとおりてくる。 そして段々と口元へと移動していき、菊とアーサーは唇を重ねた。触れあうだけの優しい口づけに、菊は瞳を向けた。 「服が汚れてしまいました……。申し訳ございません、アーサー様……」 ベッドの上に座り込み、ぎゅっと太股の上で拳を握り、菊はうなだれた。 まだ引かぬ快感に菊は頬を桃色に染めている。 「別にいい」 アーサーは立ち上がって、お互いの体液ですっかり汚れてしまったシャツなどを脱いだ。 均整の取れた肉体がさらされる。 「それより、汗をかいた。風呂の用意をしろ」 「はっはい!」 菊は慌てて頷いて、ぱたぱたと入浴の準備をしようと立ち上がった。 「お前もその格好だ。この部屋のバスルームでいい。あとで他のやつに着替えは持ってこさせばいい…」 ぱたぱたと慌ただしく入浴の体裁を整えながら、菊は首を横に振った。 「いえ、私が……」 そう言いかけた菊に、アーサーは手首をつかんだ。 「お前も一緒にはいるんだよ」 そう言いながら、アーサーの手は菊の身体へと伸びる。 「一回では足りないだろ……?」 囁くように耳元で言われ、菊は身を震わせた。 アーサーのその言葉に誘われるように、段々と熱を帯びる身体に菊は自分自身に嫌悪を感じながらも、その魅惑的で抗えぬ誘惑に、身を任せた。 「はい……。アーサー様…………」 2013/07/06 23:17 |
▼ 更新できません(゚-゚) 私の家のパソコンはDELLのデスクトップなんですが ついに一週間前ほどに完全不能になりました(笑) だからまったく更新出来てません〜〜〜〜〜〜なみだ なんかねー アキヒカとか書きたいなとか 需要あるのかわかんないくらいGoogle検索しても出て来ないモブヒカとか書いてみたい モブヒカちゃん、 書きたい(゚-゚) ヘタリアのメイドエロエロも 書かないけんなあ、とか思ってます でもなんかいまのところ アーサーさんが和姦にしたいみたいで ドエロにならなさそうでなんかちがうな感が否めない 私は男性向けエロ的なあれだと クリムゾンみたいな 嫌だけど感じちゃうビクビク のもいいなーとおもうんです 受けがノリノリなのもいいけど 嫌だけど←重要 しかし陥落←重要 なわけですよ! わりと見たいシチュが モブに弄ばれる受け そして目の前で救うことが出来ず見ているだけの攻め なんです でもそんな状況で興奮してしまう攻め とかね 2013/07/05 12:21 |
▼ 男性向けエロ わたしは女体化にしろしないにしろ 男性向けエロのような露骨さが書きたいんですが 自分が書いたそのつもりのを読むと 理想と違いすぎて………… 書き直したいけど そんな時間あったらあたらしーやつ書くよ 2013/06/26 11:22 |
▼ ひみつのせいかつ8 2話のつづき ヒカルは少女たちから視線を外して、ガラス越しに外を睨んだ。夕暮れの赤みを帯びた光に包まれた高層ビルが、鈍い光を放っている。 今日、アキラは何時に帰ってくるといっていただろう、とヒカルは朝のことを思い出す。本日手合いのなかったアキラは、確か指導碁で呼ばれていたはず。 ヒカルはそっと笑って、先程頭に過ぎったことを振り払って携帯に手を伸ばした。カチカチとキーボタンを押しながら、文章を打つ。 ――今日、夜ごはんどうする? アキラから返信されてきたメールを見て、ヒカルはソファから起き上がった。じっとその文面を見つめて、安心したような、でもどこか不満な気持ちがわいてくる。 同棲をはじめたものの、ヒカルはとくに料理が出来て生活能力がある、というわけでもなかった。よく男のような性格をしている、と揶揄される通り、実際にヒカルは女の子らしくお菓子作りや料理を得意としてはいなかった。それでも親元を離れるにあたり、ヒカルもそれはいけないと自覚したのか、簡単なものならつくれるようにはなったし、部屋もある程度は片づけている。 意識して努力した結果のその状態だが、それもアキラと比べると落ち目に見えてしまうものだった。 真面目そうな印象を与えるアキラは、その見た目を裏切らず実際に真面目であり、なにより几帳面であった。生活を疎かにすることもなく、食事は決して多く量は取りはしないが、栄養バランスを考え野菜・魚を中心とした和食を好む。部屋も元々汚くなることはなく、取ったら元の位置に戻すということも徹底的であるし、食器もすぐに洗う。 そう、はっきり言うと、ヒカルの出る幕はなかったのである。そしてそれをアキラ自身も気にすることなく、自らその役を買って出ている。 だから、今日のようにアキラが夕食を共にしないとすると、ヒカルは途端に夕食をつくることが面倒くさく感じてしまう。アキラがいれば、ヒカルも気にして和食を頑張ってつくってみようとするものの、いないとなれば気にすることはない。外で適当に店に入り済ませてしまえばいいのである。 ヒカルは財布を手近なトートバッグに入れて家を出た。鍵をかけてエレベーターに乗り込むと、マンション近くの手近なチェーン店に入る。 ノートを開いて勉強をしている学生や家族連れもいる。なんか、浮いているかも、と思いながらヒカルは店員にメニューを頼んで運ばれてきていた水を飲んだ。 ざわざわとしているこの空間に落ち着かなくて、そわそわとしてしまう。さっさと食べてしまって店を出よう、と思った。 ぼんやりと暇を持て余しながら、ヒカルが携帯をいじっていると、「ヒカル?」と驚いたような声とともにヒカルは顔をあげた。 「あかり………」 ヒカルは驚いて声をかけてきた人物を見上げた。 淡い色のフレアスカートに同色のジャケットに白ブラウスを着た大人っぽい印象を与えるあかりが、そこには立っていた。薄化粧をして色づいた唇をしているあかりが制服姿のころとはだいぶ違うように見えて、ヒカルはぱちぱちと瞬きをしてその姿を凝視していた。 「藤崎さん、誰その子?」 「知り合い?」 不思議そうな声がいくつか聞こえて、ヒカルはあかりの後ろの方に目をやった。茶髪に染めた同年代くらいの少年や、あかりと似た背格好の少女もいる。 「ごめんなさい、幼馴染なんです…。久しぶりに会ったから、びっくりしちゃって」 えへへ、と笑ったあかりは後ろの友人らしき人たちにそう話す。 それを見ながら、ヒカルはあかりに声をかけた。 「よう。久しぶり、珍しいな。ここで会うなんて」 「ほんとだね。…あ、あのね! 私の行ってる大学この付近なの。だからなんだ」 「へえ……」 じゃあ後ろにいるのはあかりの大学の友人たちなのだろう。ヒカルは自分とは無縁だなあ、と思いながらじっと見つめる。 高校も行かなかった自分からしたら、大学なんてますます遠い存在だ。ヒカルは珍しいものを見るような目を向けながら、そう思った。 「ヒカルは? ひとり?」 あかりの言葉に、ヒカルはうっと言葉をつまらしかけた。困ったような顔をしてヒカルはううんと唸って笑った。 「いまさ、一緒に生活してるやついるんだけどさー。そいつが今日夜に帰るっていうからさあ」 あかりにアキラと同棲していることを、ヒカルは伝えていなかった。なんとなくいま言うのも気が引けて、ごまかすようにそう言った。 「そ、それよりさ。そちらの人たちはあかりの大学の同級生?」 話の矛先を変えて、ヒカルは笑って言った。 「うん。サークルの人たち。私、いまテニスサークルに入ってるの」 にこにこと話しながら笑うあかりに、ヒカルは苦笑した。 「なんだよーあかりがテニスぅ? 下手そう」 「もうっ。そんな運動音痴じゃないわ」 そんな二人の会話を聞いていたサークルメンバーの一人が、声をあげる。 「へー藤崎さんの幼馴染。君も大学生?」 にこっと笑いかけて友好的なようすで話しかけてきた男に、ヒカルは困ったように眉根を下げた。碁と縁のなさそうな人に言うのは、なんとなく躊躇いがあった。 「あー。俺は学生じゃなくって、棋士なんです」 「キシぃ?」 キシ、とぽかんとした顔でその単語をつぶやく男に、ヒカルは苦笑いをこぼしたくなった。キシと聞いて棋士、と即座に思い浮かぶ人は若い人ではそうそういないだろう。 かくいう自分も碁をはじめるまではキシ、と言われて棋士、とは思い浮かばなかったに違いないのだから。 「囲碁のプロ棋士なんです。ヒカルは」 見かねたあかりがフォローするようにそう言うと、男を含めたほかのサークルメンバーもはっとしたような顔でああ、と頷いた。 「囲碁かぁ。すごい変わってるねえ」 「私たちと変わらない年なのにすごーい」 興奮したようすはなく、ただただ本当に驚いているといったように言うようすに、ヒカルはそれもそうだよなあ、と感慨深くなった。 囲碁のプロ棋士なんて、普通の人からしたら縁遠いものだろう。自分にとって大学というものが縁遠くなったのと同じように。 それからも当たり障りのない会話を続けていると、ヒカルの頼んだ料理が運ばれてきて、そこであかりとそのサークルメンバーとは別れた。 楽しそうなあかりの様子を尻目に、ヒカルは運ばれてきた料理を口に運んだ。 なんとなく、このすこしの会話だけで疲れた気分になってしまった。 きっとあかりだけとだったら、そんな気分にはならなかっただろうけれど。 2013/06/22 23:36 |
▼ 6月が終わるということは 1クールアニメも終わる。 RDG12話「世界遺産の少女」 見ました〜〜〜〜 犬柳にすべてを持っていかれてしまったといっても過言ではない しかし、やはりみゆみこちゃんはかわいかった 今期はねーーーーノーマルカップリングが私のなかで流行ってる NO.1 みゆみこ もちろんガルガンティアのエイミーとレドにも期待してますが 最近の展開がそんなこと言ってられないというか…… 実はまだ今週分見てませんTS保存 アザゼルさんでいうと、 1期はべーさくだったんですが 2期はアクさくかなあ アザさくも好きなんですけどどうしてもギャグ路線にいくというか… あーあああああーーーー なんで小山内くん出ないんですかね ちらって出ただけ 今週はキヨコ出たりとRDGで和宮出たりとCV.くぎゅを楽しみました ちなみにヘタリアでもリヒテンちゃんが出るという… CV.くぎみやりえ!すき 最近ヒカアキとかよんでますー もうどっちがつっこむとかだいぶどうでもよくなってきた 2013/06/22 19:01 |
▼ ひみつのせいかつ7 2話のつづき *** カフェで奈瀬に相談をした結果、ヒカルは「キスをしたければ、迫ればイイ」という結論に達した。もちろん奈瀬からすれば、一種の冗談のように迫ればいいだなんて言ったのだが、恋人としての行為は初心者というかむしろ未経験であるヒカルにとってはその言葉は絶対的に服従すべきものに思えたのだ。 今日のアキラは手合いの後に、出版部からの取材が入っている。朝話した通りであれば、帰ってくるのはきっと20時以降になるに違いない。 ヒカルは緊張した足取りで、夕暮れ時の大型商業施設の並ぶ通りを歩いて、あるひとつの書店の前に立った。 いつもなら、碁以外のことで立ち寄ることがほとんどない、縁のない場所。今日は、自分の一大決心のためにここに寄る。 恥ずかしさから、ヒカルは書店に入ってから競歩のようなスピードでしゃかしゃかと店内を歩いた。目的の本――というか雑誌、女性向け雑誌を手にとって、じっと睨む。 化粧をほどこした、美しく若いモデルがヒカルに向かって微笑んで、表紙のあおりには「彼とのドキドキ 初デートのモテファッション」などというヒカルにとっては口元がひきつってしまいそうな言葉が並んでいた。「 ごくん、とヒカルは唾を飲み込むと、その周辺にたくさん並んでいるティーン向け雑誌を片っ端から購入するため手に取る。 その勢いに、まわりの客が驚いてヒカルを凝視している。 たくさんの客の視線を一身に浴びながら、ヒカルは顔から火が出る思いでなんとか大量の雑誌を抱えながら会計へとたどり着いた。 その量に店員でさえも目を丸くしている。 「か、会計っ! おねがいしますっ」 書店から出ると、紙袋ふたつ分になった雑誌がヒカルの手を痛める。腕痛い、重い、はやく家に帰りたい。そう思いながらヒカルはしかめっつらでそれを持ったまま電車へと乗り込む。まだ夕方のせいで、帰りがけの学生がたくさんいる。 制服に包まれた同年代の少年少女たちの姿を見ながら、ヒカルは嘆息する。 最近まではまったく気にならなかったことが、妙に気になるようになった。同年代の制服の少女が、同じ学校の生徒だろう少年と楽しそうにしているのを見ると、なんだか物悲しいような複雑な気持ちになる。 中学生のときに碁打ちになって、後悔など一度もしたことがない。碁を打つことは好きだし、なによりやめることは出来ないものだ。それは自分が一番よくわかっているし、佐為が消えてしまったときにしてしまった不戦敗を連続させてしまうようなことは二度としまい、とも思っている。 けれど、ふとしたときに、自分はいつの間にか同年代の少女とはまったくちがうところに身を置いてしまって、それはなんだかおいてけぼりにされてしまったような感覚に陥らせる。 週末によく見る、着飾った可愛らしい少女たちの姿を見ると、碁打ちになり、どこかに置き去りにしてしまっていた昔の、碁をまったく知りもせず触れもせずいたころの自分を思い出す。 アキラは、本当はこんな着飾りもしない女である自分をどうおもっているのだろう。 告白したのは自分からであったけど、アキラから充分すぎる愛情を感じるときもある。同棲だって、流されたからではなくアキラ自身も望んでいると言ってくれた。これ以上なんの不満があるのか。 2013/06/20 01:27 |
▼ ひみつのせいかつ6 2話:キスよりもはやく カフェで頼んだアイスコーヒーにガムシロップを混ぜてから、ミルクをいれて黒く透明な液体をマーブルにしてヒカルはちらりと目の前で渋い顔をしている女を見る。 口をへの字のように曲げてううんと唸りでもしそうなようすに、話をもちかけた側のヒカルはなんだか申し訳ないような気持ちになった。 「いや、さ。まあ…そんな悩むことでもないのかも、うん。そう」 とかなんとか言いながら、ヒカルはストローからすでにカフェオレ味になってしまったアイスコーヒーをすする。 かなり甘くなってしまったそれにひとつも嫌な顔をせずに飲みながら、皿にあるケーキをフォークで切り分けて、口に運ぶ。 「……やっぱり、おかしいよな。こんな状態で同棲してるとか」 その言葉に、ぱっと奈瀬は顔をあげる。やや眉間にあったしわもほぐれて、すこしだけ緩んだ表情になっている。 「そうね。おかしいと思う」 「………………」 自分で言っておきながら、素直に同意するのもなんだかおかしいように思えてヒカルは視線を泳がした。 そんなヒカルを見ながら、奈瀬はくすりと笑みをこぼした。 「こっちは本当にビックリよ。一緒に住んでるってこともだけど、なによりまだあんたたちがそんな関係だったとは……」 奈瀬にそう言われて、改めてヒカルは恥ずかしく思ったのか、頬を赤くして頷いた。 「俺も今更ビックリしてる……。塔矢のお母さんに聞かなかったらしばらく気がつかなかったかも」 苦笑してみせたヒカルに、奈瀬は神妙にうなずいた。 「そうねー。進藤ならしばらく絶対に気付かないだろうから、親が騒ぎ出してようやく、って感じだとおもうわ」 奈瀬はようやく運ばれてきていたアイスティーに口をつけた。汗をかいたグラスは水滴を垂らしている。 「で、本題は? なんか言いたいこと、他にあるんじゃないの?」 ずいっと迫ってきて、奈瀬はヒカルの顔を見上げた。きらきらと輝いて見える奈瀬の瞳は、やや好奇心にも似た色が隠れている。 それにすこしだけ溜息をつきたくなりながら、ヒカルは言いにくそうに口を開いた。 「奈瀬は……年上の彼氏と付き合ってるじゃん」 「うん」 「キスとか…どうしてるわけ」 落ち着かないように視線をきょろきょろと動かして周囲を気にするヒカルのそぶりに、奈瀬はにやりと笑った。 「ああ。進藤、あんた塔矢とキスしたいわけ」 平然とそう言った奈瀬に、思わずヒカルは勢いよく立ちあがっていた。カタン、と椅子が後ろにいく音がして、まわりの客がヒカルのほうへと視線をよこした。 おもわず大きな声で全否定をしそうになったヒカルだったが、そんな他の客の不躾な視線に自分が注目されてしまったことがわかって、ごまかしにもならない苦笑いを見ている客に向けて、またゆっくりと椅子に座りなおす。 「………そうだよっ。なんか文句あるのか」 今度は否定の言葉をあげずに、素直に認める言葉を発したヒカルに奈瀬は微笑ましいものを見るような瞳でにこにことうなずく。 「十八歳、同棲済みでこれか〜。ある意味レアよ」 面白いわね、と続けて言った奈瀬にヒカルは嘆いた。 「笑いごとじゃねーよ。……俺にとっては重大な問題!」 「まあ問題よねー。一緒に暮らしててキスさえなしの健全生活。しかも親は勘違いしてるみたいだし……まあ、でも勘違いさせるようなことをした自分たちのせいでしょ」 「うっ……」 「でも別に急ぐことないじゃない。そういうのって大事にしてくれてる、っていう意味でもあるんじゃないの」 奈瀬の言葉に、ヒカルは黙り込んだ。いいや、それはちがう、と態度で否定していて、ヒカルは顔をしかめて奈瀬を見返した。 「それは…思わないでもないけど……一番の原因は大事にしたい、とかじゃなくて……お、」 ここで言葉を詰まらせたヒカルは言いにくそうに顔をひきつらせる。 「お?」 と先を促す奈瀬に、ヒカルは深呼吸をして言いなおす。 「俺に……セイテキなミリョクっていうのがないからじゃないのかな……」 そう言って、ヒカルは泣きそうに顔を歪めた。つぶれたカエルのような声で自分で言ってて悲しい、とつぶやいてヒカルはうなだれる。 すっかり気力をなくしてしまったヒカルに、奈瀬は困ったように眉根を下げた。ただの惚気でも語ってきてこようものならからかおうと思っていたのに、ヒカルから言われた言葉はやや斜め上の方向に逸れていた。 こういう問題ならば自分がなにか言うよりは、塔矢に問えばいいのでは…と思ってしまう。碁では言いたい放題の仲なのだから、こういうことにも言いたい放題になってしまえばいいのではないだろうか。 それに、と奈瀬はおもう。 「進藤、べつにスタイル悪くないじゃない。それとも塔矢になんか言われたりしたの?」 きっと塔矢は何も言ってないだろうけど、と奈瀬は思いながらわかりきったことを聞く。 「言ってはないけど……そういうことにならないっていうことは、そういうことだろ?」 ぽんぽんと自分の胸のあたりに手をやりながら、ぶつぶつとヒカルは愚痴を吐くようにつぶやく。 もっと胸が大きくなればアイツは満足するのか…?などとアキラの前では言えないようなことを口走りながら、うんうんと唸る。 中学生くらいの年の頃こそ、まるで少年のようだとも言われていたヒカルだったが、十八歳にもなるとさすがに身体つきも女らしくなった。元々丸顔だった顎のラインも、成長とともにすこしシャープになり年相応に見せている。 本人は悩んだようすで胸に手をやっているが、まろやかなラインを描く膨らみは存在するし、ふんわりとしたシルエットのカットソーからのぞく薄い肉の乗った鎖骨は綺麗だ。ヒカルが主張する性的な魅力。決してないとは言い切れないのである。 それをわかっている奈瀬からすればセイテキなミリョクがないから、などと言うヒカルが不思議に思えるのだが、本人がそう思ってしまっているのだからしょうがない。 奈瀬は椅子に座りなおすと、まだ唸っているヒカルに話しかけた。 「まあキスのひとつやふたつ。迫れば男なんてやっちゃうわよ」 にこっとその可愛らしい笑みを向けて大胆なことを言う奈瀬に、ヒカルは感心したように頷いた。 「伊達に男と付き合ってないな、奈瀬。……迫ればイイ、うん。わかった」 迫ればイイ、迫ればイイ。と何回もつぶやきながらヒカルは何度も頷く。 それを眺めながら奈瀬は溜息をついた。 「棋院に戻ったらその口閉じなさい。他の人が驚いちゃうから」 *** 2013/06/18 22:27 |
▼ ひみつのせいかつ5 1話の続き アキラにしては珍しく視線をうろうろと落ち着かなく動かしていることに、ヒカルは心底驚いてしまい目を丸くしてそのようすを見つめてしまった。 きょとんとして自分を穴があいてしまいそうなほどに見つめて言葉を失っているヒカルに気付くと、アキラは恐ろしい形相で迫った。 「進藤!」 「おっ?!」 アキラの大きな声に驚いてヒカルは飛び上がりかけた。 鬼気迫る表情で迫ってくるアキラにびくびくしながら顔を見上げる。 「その……引かないでほしいんだ…。君が結婚に関する話しを聞いたのはわかった。けど、それで君がこの同棲を解消するとかは……」 「それはない! ないよ!」 アキラの言葉にヒカルは手を横に振りながら全力で否定した。 「俺だって塔矢と一緒にいれないのは嫌だし………」 ヒカルは自分で言いながら、その言葉の大胆さに気付いて、頬を赤く染めながら震えた。 言葉にならない言葉をもごもごと発しながら、ヒカルはちらりとアキラを見上げた。自分で言っていて、とても恥ずかしい。 アキラはどんな反応をするだろう、と心配をしたヒカルだったが、アキラはアキラでヒカルの発言に照れていた。 「ぼ、僕も。同じだ。君と一緒にいたい、ずっと」 ぎゅっと手を握ってそう真摯な瞳で告げてくるアキラに、ヒカルは見惚れてしまい、雰囲気に流されてしまったように「俺も」と頷いていた。 傍から見ればどこにも綻び具合が見当たらないカップルである二人だが、この二人、未だに未経験のままである。 1話おわり 適当にまとめたらちゃんとUPします 1話あたり4000字くらいにしたい 遅筆だからうーんってかんじだけど 2013/06/16 23:46 |