刄cイログ @airi_15ore
ついったでやった140字練習(追記におまけ有)や短文練習です

ブチャラティ
覚悟ができている、なんて嘘だった。冷たくなった彼を抱いて泣き叫ぶ。だから彼は私を遠ざけたのに、愛していると紡ぎながら別れを告げたのに、必死に追ってきたのは私の方だ。何の覚悟もなしに恋をした。何度繰り返したか解らない「愛している」に、少し照れ臭そうに微笑み返す彼は、もういないのだ。

ジョルノ
「随分お子さま舌なのね」プリンを口へ運ぶ彼が愛おしい。甘味を楽しむ彼はいつだって幸せそうに目を細めている。「僕は存外子供ですよ、貴女は知らないかもしれませんが」子供らしいところなど私の前では見せないくせに彼はくすりと口許を緩ませた。そういう表情が子供らしくない。more

ももちゃん
こちらのリクエストより「遠慮すんなよ」を言わせてみました
長いので追記からどうぞmore

清光
「俺が何で怒ってるのか解らないの?」
眉を寄せた清光が切なげな声を喉から絞る。清光は普段から私に隠し事が多い。何かを堪えるように、いつも感情を飲み込んでいるのが解るのだ。だからこそ、彼の本音は想像し難い。
「うん、ごめん…、解らないや」
「…そう」
ほら、また黙り込む。私に教えてくれないくせに、どうして私に理解されたがるのだろうか。
「どうして怒ってるのか教えてくれないの?」
清光は目を合わせない。感情を抑えて私に隠しても、本当は解ってほしいくせに。ねえ、清光、と呼び掛けると、彼は泣きそうな顔で私を見下ろすだけだ。
「ううん、何でもないよ」
嘘つき。笑顔が引き攣っている。

林檎ちゃん
「あは、ほんとに楽しいわ。なんだか最高の気分……」
ぴとり。
林檎先生がわたしの肩に顔をくっ付けて、更に鼻先をぐりぐり擦り付けてくる。もしかしてとても酔っていて、それから、甘えられているのかもしれない。すごく可愛くてすごくドキドキする。
「り、林檎先生……、酔ってるんですか?」
「いいじゃない、ちょっとくらい」
でもまだ1杯だ。可愛らしいお酒たった1杯で甘えてくるなんて、林檎先生はお酒が弱いのかもしれない。スキンシップは勿論嬉しいのだけど、林檎先生は明日もお仕事が入っている。
「わたし、お冷や持ってきます!」
慌てて林檎先生を押し退けて立ち上がろうとすると、林檎先生の指がわたしの指に絡まり、あれ、あれれ、立ち上がれない。両手とも恋人繋ぎで身動きが取れなくなってしまった。
「林檎先生……?」
「信じたの? こんなジュースじゃ酔わないよ。それとも、俺とこうしているの、嫌だった?」
じっとわたしを見つめ、声のトーンが下がる。俺、という一人称に心臓が爆発しそうだ。林檎先生の綺麗な唇が僅かに引き上がる。
「ほら、もう少しこっちにおいで」
「は、はい……」
いつの間にか手は解かれ、腰に回った腕がわたしをぐっと抱き寄せる。男性の力強さ。林檎先生の唇が耳許を掠めた。
「ほんと、かわいいね」
いつもと違うトーンの声が、甘く、甘く、わたしの鼓膜を揺さぶるのだ。

清光
白い肌が血色良く見える程度にじんわりとチークを入れ、真っ赤な紅を唇に引く。髪も編んで結わえて綺麗に飾られていた。仕上げに先日買ったばかりの羽織りに袖を通し、主は照れ臭そうに微笑む。
「どう、変じゃない?」
主の白い手には俺が塗ってやった深紅の爪がよく映えた。綺麗だ。今すぐに抱き締めたい程に綺麗で、誰にも見せたくない程に綺麗で、それから、奪ってやりたくなる程に綺麗。主が御機嫌を良くしている一方で、俺の汚れた心はそれを純粋に祝福できない。
「すごく綺麗だよ。きっと相手も喜ぶんじゃない」
だって俺がこんなに恋い焦がれる女性なんだから。
俺の言葉に口許を緩ませると、主は一層照れ臭そうに視線を落として俺の肩に手を乗せる。
「有難う。そろそろ行ってこようかな」
「気を付けてね、夜遅くなるなら迎えに行くから」
このやり取りを幾度と繰り返すけれど、主が夜遅くに俺に迎えを頼んだことは一度もない。好いた男に寄り添われ、幸せそうに笑いながら子の刻に本丸の門を潜るのだ。俺は、主を抱き締めることは出来ないし、夜道を添うことも出来ないし、人間になることも出来ない。ただ主の恋を見守り、こうして自己満足に俺の色に着飾って、鬱々としているだけ。それでも、それでも俺は。
「……好きで居続けるよ、主」
主の背中へ言葉を贈る。慕うだけでも、傍に居るだけでも、俺が主と関わり続けられるのならそれでいい。なんて、臆病者の逃道だ。

うたちゃん
あの髪色、あの身長、あの体型。顔は見えなくてもすぐに分かる、わたしの大好きなひと。コンビニ帰りなのか小さな袋をぶら下げて歩きスマホをしていた。後ろ姿さえかっこいい。
「うたちゃん!!」
大きな声で呼び掛けると、うたちゃんはゆっくりわたしを振り返る。それからふわりと優しく目を細めてくれるのだ。more

ブチャラティ
「愛しているのは嘘じゃあない。だが、付き合えないんだ。解ってくれ」彼とは決して将来を誓い合えない。覚悟は出来ているのに彼は私を手元に置くことすら拒むのだ。こんなに愛し合っていても、彼は私を生かそうとする。「…残酷な人ね」「あぁ」私の生きる意味なんて、貴方の隣にしかないのに。more

鳴海爽太
びくん、びくん、わたしの意思とは関係なく跳ねる身体に視界が霞んだ。単純に泣き疲れたからなのか、それとも限界を越えているからなのか。力の入らない手でうたちゃんの胸を押しても、うたちゃんは愉しそうに舌舐めずりをしてわたしの腰を押さえ付ける。
「もっと腹に力入れろよ、ほら」
そんな体力ないと言い返したいのに身体はうたちゃんに従ってしまう。ぎゅうう、と力を込めれば内壁を無遠慮に擦り上げるうたちゃんの熱がよりはっきりと感じてしまって悲鳴を上げた。
「いやあぁ…っ、うたちゃ、もうできないぃ…っ!」
「できてんじゃん。俺の為なら何でもできるんだよ、お前は」
必死に暴れても涼しい顔でそれを押さえ、うたちゃんは耳許で声を落とす。大好きなうたちゃんの為なら、わたしは壊れてしまうのかもしれない。低くて重圧的なうたちゃんの声に、じわりじわりと洗脳されていくのを感じた。

高橋浩汰
「一生のお願いです…!」
差し出された服はわたしが普段着ることのない系統のものだった。こんなことで一生のお願い使わないでよね。三脚の上に乗っているレンズの大きいカメラが何だかとても怖い。
「着せて何する気…?」
「撮影を少し…、だめですか…?」
きゅうんと子犬のように乞うが、相手は高身長であり変態だ。騙されてはいけないと解っていても、拒みきれないのは恋人だからだろうか。
「…少しだけ、なら」
「ほんと!?」
ガバッと顔を上げた浩汰の瞳はキラキラと光り輝いていた。宝物を見付けたような、幼い少年と同じ瞳。
「変なことには使わないでよね」
じろりと睨んでも浩汰はもう聞いていない。でも、期待たっぷりに口許を緩ませた顔が少しだけ綺麗だな、なんて思ったりして。

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