008.1日目『全員集合』


 ――――PM18:00 ダイニングルーム
惣子郎
「全員集まったか?」
和華
「小日向さんと和歌野さんがまだだわ」

 ………………。
美海
「サキちゃん、様子がおかしかったものね」
果帆
「カリカリし易い方だけど、今日はいつになく気が立ってたからな」
直斗
「まあ、何度も言うようだけど無理もないぜ」
由絵
「そうだよね〜」

 ………………。
美海
「……勝平くんは、もう大丈夫なの?」
勝平
「ああ。……心配かけて悪かったな」
冬司
「…………。」
(良かった、見たところ、白百合さんも勝平くんもだいぶ気力を持ち直したみたいだ。
 白百合さんは女の子だからともかく、勝平くんにはいつものように堂々といてもらわないと)

結翔
「………………。」
(白百合、いつもの調子に戻ったみたいだ…………良かった。
 悔しいけど、道明寺の賜物なんだろうな……悔しいけど、……悔しいけど)

朔也
「…………。」
(俺が様子を見に行ったときにはかなり回復してたみたいだからな。
 これが、……俺とアキラの違いなんだろうな。
 ちょっぴり悔しいけど、な)

花菜
「みんな! お待たせ!」
小桃
「小日向さん、和歌野さん」

「……遅くなってごめんなさい」

………………。

「なにを話すの?」
惣子郎
「……そうだな。近況報告と、
 俺たちから伝えなければいけないことが」

「花菜とずっと一緒だったわ。
 報告することは特にないけれど」
美海
「あ! あー、あの、みんな、
 ……お、お腹、空かない?
 ……みんな、疲れてるんだもの、まずはなにか食べて落ち着かない?」
朔也
「美海……いいな、それ。乗った」
美海
「ありがとう、朔也」
直斗
「俺、手伝うよ。材料運びもしなきゃだろ?」
果帆
「あ、じゃあ、あたしも」
美海
「ありがとう、果帆、直斗くん」
冬司
「俺も手伝うよ」
勝平
「俺は料理できないから、
 倉庫から運ぶくらいはするぜ?
 16人分も運ぶのはその人数だときついだろ」
由絵
「じゃ、由絵も〜」
美海
「ふふ、みんなありがとう」
和華
「お料理ならわたしも手伝うわ。
 キッチン、先に整えておくから。
 白百合さん、なににする?」
美海
「そうね、この人数だし、定番だけど
 カレーとかシチューにする?」
和華
「いいわね、それ」

「んじゃ、男連中で運んでくるわ。
 ちょっと待っててな」
圭吾
「おし、一仕事しますかー」
空太
「だ、誰か材料メモってよ」
小桃
「はい」
空太
「え? 早いね」
小桃
「ふふ、よろしくね」
空太
「あ、ありがとう」
(佐倉……いきなり、こーゆーさりげないことするからなんかミステリアスなんだよな。
 ちょっと感激……)

「いってらっしゃい」
花菜
「………………」
(サキ、手伝う気もないって感じだな。
 仕方ないか、また胃が痛いって言ってたし。
 うちがサキの側にいてやらないと)






 ――――その後、ダイニングルーム
和華
「みんな、お待たせ」
圭吾
「おおー、うまそー!」
冬司
「ほんとだね、さすが白百合さんと七瀬さん」
果帆
「おい」
冬司
「え?」
果帆
「あたしと直斗と佐倉も手伝ったんだけど」
冬司
「あ、あー、そうだよね、三人ともさすがだよ」
小桃
「ふふ、ジャガイモはあたしが切ったんだけど、
 みんなにはすこし大きめかも」
空太
「そんなことないよ!
 すごく美味そう」
惣子郎
「大変だったろ、この量作るのは」
美海
「まあね。
 でもなんだが、林間学校みたいで楽しかったわ。
 …………場所は全然似ても似つかないけどね」
直斗
「そうだな。あー、一仕事したわー」

「お前男なのに器用なのな」
直斗
「まあ料理は好きだし」
由絵
「ごめんねー、由絵、なんにもお手伝いできなくて。
 料理苦手なんだもん〜」
勝平
「皿洗いは俺らがやるから白百合たちは休めよ、な?」
朔也
「俺も」
結翔
「俺も!」
空太
「俺も!」


全員
「あははははは」

和華
「それじゃ、いただきましょうか」
朔也
「そうだな。いただきます」
美海
「いただきます」
果帆
「いただきます」
空太
「いただきます」

(…………食欲、あまりないわ)
「…………いただきます」
花菜
「サキ、大丈夫?」

「ええ」
美海
「……サキちゃん、あまり体調よくない?
 無理しなくてもいいからね」

「平気よ、ありがとう」
圭吾
「残したら俺が食うよ」

「それは遠慮しておくわね」
勝平
「あー、白百合、カレーってまだ残ってんの?
 俺、この量じゃ足りないかも」
美海
「もちろん、まだあるよ?
 遠慮なく言ってね」
惣子郎
「………………。
 さて、本題に移りたいんだが」

「そうだな」
美海
「………………」
果帆
「投票の話か?」

「ああ。
 さっき、しっかり票が割れるって話をしただろ?
 そこでだ。
 今日は、俺と朔也で決戦投票に持ち込んでほしい」
朔也
「ああ」
結翔
「………………」
冬司
「………………」
美海
「……大丈夫なの? 二人とも」
朔也
「ああ、心配ないさ」
小桃
「………………」
(さすが、乃木坂くんと道明寺くんだわ。
 でも、どうしよう…………弥重のこと……)


「もちろん、都丸のことを気にしてる奴は多いと思うが、
 どっちにしろ今の俺たちにはこれ以外の方法がない。
 この点はみんな合意してくれるよな?」
小桃
「………………」
(…………そうよね。
 さっき道明寺くんも言ってたけど、弥重が殺されるって保証もないし、
 どっちにしたって合意しなきゃ殺し合うしかないもの……。
 そんなこと……できない…………)

和華
(……ごめんなさい、都丸さん)
「………………合意するわ」
小桃
(……ごめんね、弥重)
「…………あたしも」
花菜
「……うちも、するよ」

「……………………わたしも」
美海
「サキちゃん……」
惣子郎
「反対意見はないってことでいいな?」
直斗
「ああ」

「それじゃあ、次の本題なんだが」
惣子郎
「それは俺から話すよ。
 …………投票が終われば、夜の時間が待ってる。
 そこでだ、人狼の人、今夜は俺を狙ってくれないか」


全員
「!!!」

和華
「つ、筒井くん…………」
(そんなに危険な役割を引き受けるなんて!)
惣子郎
「そして、用心棒の人、今夜は俺を守ってくれ。
 ………………頼む」
和華
「………………」
(わたしたちと別行動をしている間に、そんな話をしていたのね。
 確かにその方法なら誰も死ぬことはないけど……。
 用心棒…………わたしに与えられた役割……。
 絶対に失敗はできないわ…………)

美海
「……………………」
(筒井くんを襲撃すれば、用心棒が守ってくれる。
 どうしよう、本当に上手くいくの?
 …………誰が、用心棒なの?)

果帆
「…………危険な役割だけど、筒井は納得して引き受けてるんだよな?」
惣子郎
「ああ。もちろんだ。
 今夜が上手くいけば、この先も仲間同士争う必要もなくなる。
 ……俺は、これでも生徒会長なんてやってるんだ。
 今はこんなことしかできないし、引き受けさせてくれ」
果帆
「…………悪い、ありがとう」
冬司
「……ありがとう、筒井くん」
和華
「筒井くん…………」

「さっき、例の物置部屋を調べに行ったときに決めたんだ。
 今夜を上手く乗り切ることができれば。
 俺と筒井、朔也、直斗、竜崎の五人でこれをローテーションして行こうと考えてる」
空太
「な、なんでその五人なの?」

「まあ、たまたまいたから?
 ……いいか。この役は、人狼と用心棒にはルール的に任せられないんだ。
 確実に、用心棒以外の村人で回していく必要がある。
 だから全員参加と言うのは不可能なんだ。
 ならば、比較的少人数で回していくべきだと思う。
 これは決めたことだから、他のメンバーは受付ないぜ」
空太
「そ、そうか…………、でも、いいのかな?
 そんな危険な役割を押し付けて、俺はなにもしないで」
朔也
「大丈夫、任してくれ、な?」
空太
「朔也…………」
果帆
「……………………」
(空太が危険なことをしなくて済む。
 あたし的には、それは願ったり叶ったりだけど……。
 あたしも……村人なんだけどな……甘えていいのか?)

結翔
「…………やっぱり、お前らはすげーよ。
 俺には、自分から名乗り出ることなんかできねーもん……。
 今だって、俺はしなくてもいいんだ、良かったって思っちまったし……」
冬司
「目黒くん……それは俺も同じだよ。
 すごいよ、アキラたちは。俺には真似できない」
(人狼だからってのもあるけど……ね)

「受け付けないって言ったのは、そーゆー意味もあるんだ。
 だから、特に野郎共、別に気にしなくていいぜ?
 これは俺たちが、つーか俺が勝手に決めたことだ」
勝平
「道明寺…………本当にいいのか?
 お前らに押し付けるのはちょっと俺の信条に反するんだが」
(……嘘八百述べて、俺も落ちたもんだな。
 心苦しいには違いないが、俺は人狼なのに)
冬司
(ナイス、勝平くん)

惣子郎
「いいんだよ。これは俺たちのためじゃない。
 人狼と用心棒のためでもあるんだ。
 貧乏クジを引いたなんて思ってないさ」
直斗
「それに……さっきアキラも言ってたんだけどな。
 用心棒に守ってもらうってのは、自分が確実に『村人』だと証明することにもなるんだと。
 デメリットばかりじゃねえよ?」

「まあそれは、五人全員回ってみないとわからない結果だけどな」
美海
「そっか…………そんなメリットもあるのね」
果帆
「お前らにとっても、悪い話じゃないってことか……」
朔也
「そーゆーこと。
 だから、勝手に決めたことは謝るよ。
 村人だってのを証明したいのは、みんな同じだもんな。
 けど、そーゆーわけだから、ここは俺たちに任せてほしい」

「…………異論は、あるか?」


全員
「……………………。」

圭吾
「…………ない、みたいだな」
惣子郎
「ありがとう、みんな」
小桃
「……大変な役割を押し付けて、ごめんなさい」
由絵
「……異論はないけど、やっぱりすこし心苦しいよ〜……」
(由絵ばっかり安全な場所にいて、
 本当にいいのかな?)


「………………まあ、どうしてもやりたいって奴がいたら、
 直々に申し出てくれ。
 そして、そのときに検討させてくれ」
由絵
「……おっけ〜」

「……………………」
(裏切り者であるわたしには……特に関係ないわね。
 流れに身を任せましょう)

惣子郎
「まあ、そんなとこで、他に報告することは特にないかな?」

「気になることがあったら、その都度言ってくれ。
 …………ぼちぼち、投票の時間になる」
果帆
「…………そうだな」
空太
「……うん…………」
(一回目の投票。
 犠牲者を出さずゲームを乗り切る方法はわかった。
 けど、口で言うほど簡単に上手くいくものなのか?

 もうじき、8時になる…………)




 ――――モニタールーム

「っへ、予想通りの展開だな。
 …………なあ、チェリーボーイ」

「……………………」
(白百合………………)




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