Short Story
幸せな小話達
基本的に自分とお相手のみの会話文です

ALL/雨宮 蓮/明智 吾郎/喜多川 祐介
▼ スライムボール
Dec 16, 2022(Fri.) 14:32 /喜多川 祐介
「またカゴが得体の知れない物で溢れているな」
「だって面白そうなんだもん〜」
「全く…これなんか、一体何に使うものなんだ」

ポイポイとカゴに放られたものを一瞥して、祐介は無造作に1つつまみ上げる。握ると潰れて中の具が飛び出でくるスライムボールだ。

「ぷにぷにで面白くない? ストレス解消にいいんだって!」
「ふむ…面白い発想だな。 かなり力を入れても中味は飛び出さないようになっているのか! それに感触も適度に心地いい」
「祐介もいる? 」
「いや、いい。 俺は既に似たような物を持っているからな」
「え?祐介持ってたの?意外〜」
「ああ。俺にとっては断然こっちの方が気が和らぐ」

ニコリと目尻を下げて祐介は私の頬に触れた。

(このもちもち、堪らん…)
(に、握り潰すつもり…?)

▼ 俺だけの
Dec 15, 2022(Thu.) 17:20 /喜多川 祐介
ここ最近、彼女と行動をともにすることが増えて新しい発見があった。 彼女は誰にでも優しく、親身に関わり来る者拒まずの性格だ。 俺も、彼女のそういうところを好いていたし敬っていたーーーつもりだった。 だが最近はどうもそんな彼女のことを、俺は良く思っていないらしい。 優しさとは、時に人を傷つけるとは言い得て妙だ。 彼女の分け隔てない優しさに勘違いする輩もそう多くないらしく、彼女へ向ける瞳に友情とは別の感情を孕ませる輩が後を絶たない。 ………俺から見れば、彼女へ向けられる友情と愛情の視線くらい一目瞭然だ。
その優しさ、俺だけに向けられる物になればどれだけ幸福なことだろうか。 俺は、気色の悪い情欲の視線を受ける彼女の肩を、態とらしく己に抱き寄せて見せつけるように耳元へ口を寄せてやった。

▼ 肉まん
Dec 14, 2022(Wed.) 19:19 /喜多川 祐介
「…ねえ、祐介あれなにしてんの?」
「あー、描いてンだと。 アレを」
「あー」

ハフハフしながらコンビニの肉まんを頬張る少女の真ん前で、指フレームを覗いたり手帳にペンを走らせる少年。
もちろん2人とも仲間の怪盗団である。
邪魔な場所では無いものの、通行人達は何事かとチラチラ2人を一瞥して行く始末。
杏は段々居た堪れなくなり、竜司の腕を引いて先にずらかろうと踵を上げた。

「! まっふぇ、はふはふ、いま、たべおわ…はふ、」
「ッ動かないでくれ! 今凄く傑作が描けそうなんだ!」
「んぐ…まって〜!」
「ああ…!」

▼ とあるメメントスにて 2人探索
Dec 12, 2022(Mon.) 21:53 /喜多川 祐介
「わ〜!? ふ、フォックス、まって!?」
「む、どうした? シャドウか!?」
「ちがう! 服装が…急に変わって。さっきまで何時もの格好だったのに〜」
「ほう。 俗に言う中国の民族衣装か。 さっき倒したシャドウの影響か、あるいはメメントスの影響か…」
「うーん、なんだろうね。 どうする?私はまだ探索できるけど」
「いや、まってくれ」
「うん?」
「…スリットから除く御御足、タイトな腰の曲線美…締まった括れ…、ああ、出来ることなら今すぐにでも写生したい!」
「それ、漢字に起こさないとヤバいよ祐介…。別にそれは良いんだけど、ココシャドウも多いしのんびりスケッチ出来ないんじゃない?」
「いいのか!? ならばシャドウの少ない所へ移動しよう! 闘いは俺に任せて、後ろを付いてきてくれ!」
「私も戦うよ!」
「やめてくれ! 脚技にチャイナドレスは目に毒だ!」
「あ、脚技封印して戦うから!」
「いやだめだ、 俺の気がもたない。 俺はきっとおまえを凝視してしまう!」
「す、素直な変態だ! ジョーカーに言いつけてやる!」
「やめてくれ!!」

▼ 年下の君
Dec 12, 2022(Mon.) 21:20 /喜多川 祐介
「ねえねえねえ!?杏ちゃん!?」
「わ!何?どうしたの!?」
「私と祐介って…兄弟に見えるの!?」
「…あー」

すごい勢いに押されつつも、杏は奥で壁に凭れる祐介と質問の主を見比べた。 縦にだけ伸ばしたような祐介に比べて、縦にも横(…というか主に上半身の膨らみ)にも恵まれていない彼女は年齢よりもどうしても下に見えてしまう。

「そ、そんな事ないよ!? 確かに祐介は大人びてるけど…!」
「本当?ほんと?あの時のおじさんは頭が正常に働いてなかったのかな」
「まだ根に持ってたんだね…」
「だって、なんか恋人として釣り合ってないのかな〜って気持ちしちゃって…」

「なんだ、その事か」

やれやれ、とでも言うように歩み寄ってきた祐介は、気落ちしているその毛先をさらりと撫でた。

「他人がどう思おうと、俺とお前の関係は変わらないだろう」
「ゆ、祐介…!」
「例えお前が俺の(いもうと)に見られようが、俺にとっては唯一無二の恋人だ」
「あー…」

ニコリと微笑む祐介。 その整って綺麗な笑顔に、彼女は精一杯背伸びをして両頬を挟んだ。

「…私の方が年上なんですけど!!!」

▼ 夏
Dec 12, 2022(Mon.) 08:56 /喜多川 祐介
「あ、あつい…」
「そうだな…汗が止まらん」
「あっ、ノートに垂れちゃうよ」
危ない…と白く細い腕が伸びてきて、額を紫色のハンカチが拭った。 「すまない、」と返すと、白い腕が俺の首元を「ここも」と拭う。 見上げれば、俺と同じように汗ばんで眉を顰める彼女が居た。 首筋を伝う汗が妙に色情を煽る。 思わず白く細い腕に指が伸びる。

「な、なに…」
「綺麗だ」

触れてもいいか?と尋ねると、「今汗すごいからダメ」と断られた。 それがいいんだが。

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