｢ごろー、ごろう、…うーん、アケチ…ごろう。 うーん、なんか違うな…｣
｢なにしてるんだい？｣
｢わ！？ アケチ！？｣
｢人を化け物みたいに…。で、なにを？まさかとは思うけど僕の名前を呼ぶ練習だなんて言わないよね？｣
｢………｣
｢………別に無理して呼ぶ必要ないよ｣
｢無理は、してない…｣
｢してるでしょ。いいよアケチで。別に何も気にしてないし｣
｢うん、わかったよ吾郎｣
｢………………｣
｢吾郎？｣
｢………………もどして｣
｢なんで？吾郎いやなの？｣
｢いいから、戻して｣

｢何してんの｣
｢風邪、ひいてくすり、買いに…｣
｢そんなフラフラな状態で外出して、事故にでもあったらいい迷惑だよ｣
｢家にだれもいなかったから、｣
｢…僕に電話すればいいでしょ ｣
｢…｣
｢薬くらい買っていくし、必要なら食べ物だって用意する。 …取り敢えず、家まで送ってくから｣
｢ありがとう、吾郎…｣
｢ん。他に何か必要なものある？ 適当に買ってくるからここで座って待ってなよ｣
｢ぷっちんぷりん…｣
｢はいはい｣

｢ねえ？もう私の前じゃアレやってくれないの？｣
｢アレって何｣
｢探偵王子｣
｢へえ。 君も物好きだね、そっちの僕のがいいんだ｣
｢そういう訳じゃないけど〜！ 最近アケチ、テレビにも出ないから探偵王子の記憶が薄れてきて…｣
｢いいんじゃない？ 実際あれは紛い物だし｣
｢あれも含めてアケチだよ。 勿論いまのアケチの方がしっくり来るけど｣
｢…ふーん｣
｢真っ白アケチ、猫被りすぎててちょっと面白いし｣
｢あっそう。もう絶対やらないから｣
｢うそうそ！嘘です！！｣

｢アケチ！しりとりしよ！ りんご！｣
｢はあ？ ………ゴルフ｣
｢噴水！｣
｢………井戸水｣
｢思考タイム長くない？ もしかして…しりとり苦手？｣
｢そんなわけないだろ。 僕はしりとりやってられる程暇じゃないんだよ｣
｢じゃあ続けなくていいよ。 ずんだ餅｣
｢…地下水路。 だって君、僕が黙ったら『アケチの負け〜』って言うんだろ。癪だから勝つ｣
｢い、言わないし！？ ロバ！｣
｢バカ｣