Tin ice in the sun

異人たち

めちゃくちゃに泣きました。若い頃の親/親族に会うというお話は『君たちはどう生きるか』や『思い出のマーニー』、『秘密の森の、その向こう』などがあるけれどそういった作品では「未来から来た自分の家族である」ということは知らないタイプ。今回の作品は最初からずっと「わたしの息子!」「俺の息子!」となっているところが不思議な魅力を持っていると感じる。 きっとこれは幸せなお話にはならないのだろうな、と思っていたのだが恋人と家族とのコミュニケーションから自分の過去と向き合っていく物語はひとつのケアのお話として心をゆさぶった。 それと同時に、この年齢になってようやく寛解されるものがあるのかと思って辛くなった。 監督と主演は1980年代という同性愛者に辛くあたる時代に子ども時代を過ごしていたそう。その経験があるからこそ、大人になってようやく――だったのかもしれない。 色褪せない山田太一のストーリーのうまさと、監督の脚本のうまさに泣かされた。


  • 22nd.Apr
  • Movie