Tin ice in the sun

その昔、N市では

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カシュニッツ短編集の第2弾がじきに発売されると聞いて慌てて読了。ほぼすべておばけ(ゴースト)の物語だったのでニコニコしながら読んだ。全部面白かった。 ひとつ読んだことあるなーと思ったのは、河出文庫の『ドイツ怪談集』に収録されているものだった。あちらでは「怪談」こちらでは「幽霊」というタイトル。めちゃくちゃオーソドックスなお話で大好き。 何がこんなに好きなんだろうと思ったけど、ゴーストたちの交わりが主人公たちにとっては居心地が悪くてしょうがないものだという不安定さがつぶさに描かれているからかなと思った。 その不安定さも、社会からあぶれてしまうのではないか常識的規範から外れてしまうのではないかという正直そこまで気にするほどのものじゃないじゃんみたいなことからグラグラ揺れている。 人間にとって、目の前のおばけよりも社会から外れることの方が怖いという心理はすごく正しくてだからこそ面白いんだろうな。 あと単純に文章が読みやすい……。


  • 23rd.Apr
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