Tin ice in the sun

死んでから俺にはいろんなことがあった

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不法移民である主人公一家が、事故により全く知らない場所で迷子になる話。長編と言うよりは中編ぐらいの薄さでした。軽快な語り口調でどうしようもない方向に向かうさまは韓国映画みたいなユーモアがある。 ちょうど移民のお話をもっと読みたいなあと思っていて、書肆侃侃房での通販で海外文学ウスイホンがもらえると聞いて。 タイトルの『しんでから』はゴーストとかではなく、社会に居場所がない人間の話です。元々、居場所がなくてどうしようみたいな感じのお話を書いているところだったのでより高度な社会問題へユーモアと現実の辛苦を詰め込んだこの作品うまいなーとなりました。 (だがしかし原作自体は2009年なのでちょっと古めかしい内容もある) 不法移民なので主人公たちは警察には行きたくない、でも周りの人とコミュニケーションはとれない、自分の家に帰ることさえも分からない。 迷子になりやすい人間なので正直その心細さはとてもよく分かる。わたしも海外でひとりで迷子になったことあるよ……。疑ってかかっては正解も分からないのでどのぐらい悪化しているのかも分からなくて苦しんでた……。 (泣きながら歩いていたら、学校が休み? の子どもに助けてもらって駅まで連れて行ってもらいました。あの時は本当にありがとうね) エンディングも納得がいくというか、まあそういう風になるよなあのお話でした。不法移民が帰らなきゃいけなくなる話で言えば『息子の面影』というメキシコ映画の方が好きでしたね。 リカルド・アドルフォの脚本の映画あんまり日本に来ないので寂しい。MUBIで昔見られました。


  • 22nd.Apr
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