Tin ice in the sun

十六の言葉

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イランの祖母、母、ドイツにいる自分のはなし。 イランの文化に染まりきった祖母は13歳の娘を結婚させた。自由を夢見て結婚した少女は妻になることを求められた。 ドイツではそんなことしなくていい。30を過ぎたあとも独身のままでいていい。 自分のルーツについて深堀しなければならない人生だ。いま話している言葉だけが言語じゃない。母語はもうひとつある。そんな人生のおはなし。 面白いけどむずかしい。 どんでん返しと知らないまま読んですごいビックリさせてくる本だったのでこれはかなりありがたい体験だった。 そしてイランという国のルールの過酷さを考える。シェイクスピア劇のような「結婚後の男女にのみ性行為がゆるされる」世界が現在のイランの姿。いまから400年以上前のフィクションではゆるされるようなことが、まだまだイランでは許されなくて 煩雑に扱おうとしていて 読みながら感じていた謎の違和感に答えをみつけてしまった。 でも希望があるエンディングを迎えられてよかった。母語とそうではない言語とふれて生きていく人間のおはなし。素直によろこんで悲しみに暮れてよかった……。 うん。イメージがなぜかフランス映画だな。


  • 24th.Oct
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