Tin ice in the sun

純粋な人間たち

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同性愛者のことを「神にも救えない病気」「同じ人間とは思えない」といった言葉がならぶ宗教価値観の家で育った主人公と、亡くなった同性愛者の墓を荒らした動画が拡散されている「日常」のはなし。 信仰のため、相手を傷つけていいはずがないんだよなあ……と思うのだが、そういう社会で育った時に「だって」と思ってしまう気がする。法律にもあるからその意識が助長されるような。 ムスリムの人間、セネガルで育った人たちを否定したいわけじゃないのだが現実に起きたはなしと考えるとこの国で声をあげられないまま亡くなった人たちがどれほどいたのだろうかと考えてしまう。 同性愛者のみならず、男らしくない、なよなよして女っぽいという人たちはすべて拒絶して、救いと称して結婚式をぶち壊し心身ともに重傷にさせ、偶然でみつかったというレズビアンを捕まえるため誤認逮捕をくりかえし、未成年を金で買った評論家に対しての批判もなんか変だしなーって思う。 タイトルの「純粋な人間」ということはなんなのか、大いに考える必要があると思った。 そのひとつの道しか選べない人間が「純粋」ならば、その枠はだれが決めているのだろうか。そしてその道から外れた人間を「人間では無い生き物」としてみなしていいのだろうか。 個人的には今年読んだ本の中でベスト10にいれる作品かなーと思うのだが、もう2回目を読むことはないと思う。


  • 24th.Oct
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