Tin ice in the sun

ペルシャン・レッスン 戦場の教室

実話ベースの物語ということで覚悟してみたが、たしかな戦争批判の映画だった。 ペルシャ人と偽ったから生き残った男は、生きるために嘘をつき続け、相手を騙し、とある偶然がなければ他のものと同じように殺されていたという事実が常に自分の周りにあり、コッホに心を開くことはない。 同じユダヤ人からも、ドイツ人からも妬まれる立場にあるということにも自覚的で、似たモチーフのジョジョラビットで描かれていたような希望をもった心の繋がりではなく打算と夢にまみれた関係性がとてもよかった。 コッホのようなキャラクターに嫌な感じがないのは、彼が戦犯であると同時に人間らしさを惜しみなく描いてくれたからだなーと思う。(ただ、その人間らしさのために彼らの罪が消えることはない。うまい。) 世界でたったふたりだけが操れる言語というエモーショナルな題材をもって鮮明に戦争批判へ持っていくエンディングに脱力した。泣いてしまった。


  • 20th.Jan
  • Movie