Sweet nothings
キャラとヒロインの、掛け合いSS夢です。タイトル横のキャラ名を押せば、キャラsideの夢が読めます。ヒロインsideからどうぞ。
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キャラsideには飛べますが、ヒロインsideには繋がりません。目次として利用していただければ(キャラsideのみでも楽しんでいただけます)
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ときめきのためいき:
七瀬陸
ヒロインside
「ごめんね。本当は、もう少し※※と一緒にいたいんだけど……」
夜の9時を過ぎて帰宅する陸を、玄関先で見送る。IDOLISH7の人気が鰻登りで、最近2人っきりになれる時間がなかった。やっと作れた2人だけの時間。でも陸くんは、今や売れっ子アイドル。明日の仕事に支障をきたしてはいけない。寂しいけれど仕方がないよね。会えただけでも嬉しいのに、これ以上陸くんにわがままなんて言えない。私は必死に笑顔を作った。
『ううん。短い時間でも陸くんと一緒にいられたし、明日も会えるし』
アイドルとマネージャーという立場だから、顔を合わすことは出来るのだから。
「本当にごめん」
『わかってるから』
「そっか…そうだよね。でももし何かあったら、何時でもいいからオレの携帯を鳴らすこと。わかった?」
『何かって?』
「何でもいいよ」
何でもお見通しな陸くん。きっと、私の気持ちに気づいて言ってくれてるんだ。そう思うと、わがままばかりの自分が恥ずかしくなってくる。
『うん、わかった』
私は、スカートの裾を手で握りながら頷く。
「シワになっちゃうよ?」
『えっ?』
「スカート。そんなに強く握ったら、シワになっちゃうって事」
『え?あ、ほんとだ。あはは……』
陸くんの言葉に一瞬きょとんとしてしまうが、スカートを見て納得する。もっと一緒にいたいっていう寂しさのせいか、無自覚で握っていたみたい。まるで子供が拗ねてるようで、凄く恥ずかしい。
「じゃあ、おやすみ。また明日」
『うん、今日はありがと。おやすみなさい。気をつけてね』
いつまでも手を振って見送る私に、陸くんは何度も振り返ってくれた。
恋心は甘く仕上げて:
坂田銀時
ヒロインside
『銀時、歌舞伎町に新しく甘味所が出来たんだって』
「……」
『ねぇ、行ってみたくない?』
「……」
『凄く美味しそうだよ』
「うるせーんだよ!」
銀時の怒鳴り声が、シンとした部屋中に響く。何もそんなに怒ることないのに。銀時が好きだと思って、教えてあげただけなのに。何より、可愛い恋人に向かって怒声を上げるとは……。
「俺を見てみろ」
彼の手には、資料らしき紙が握られている。そういえば来た時には、もう握っていた気がする。それをさっきから真剣な眼差しで、読んでいたような気もする。どうやら次の仕事に関するものみたい。
「※※さん、銀さんは今忙しいんだよ!久しぶりの仕事だからな」
『良かったじゃない』
「だったら、黙って静かにしていろ!ペラペラと喋りやがって。営業妨害かっ?」
『ひどっ』
「なァ、※※。お前本当は、構って欲しいだけなんだろ」
『銀時が喜ぶと思ったんだもん。だから、二人で行きたくて……。もういい!ばかっ!』
気持ちが上手く伝わらなくて、涙が出てきた。帰ろうとした瞬間、背後からぎゅっと抱きしめられる。優しい体温に包まれながら、私は回された腕に手を添えた。
「……悪かった」
耳に響く、銀時の低い声。この腕を離したくない。
この恋を君に捧げます:
月岡紬
ヒロインside
『紬くん、私からのプレゼント!』
そう言いながら差し出したのは、四つ葉のクローバーだった。親友と花畑を見に行った時、偶然見つけたものだ。その時、私の脳裏に紬くんの顔が浮かんだ。紬くんは、お花が大好きだから。
「俺にですか?」
『もちろん!紬くんに幸運が訪れますように、って』
「ありがとうございます。凄く嬉しいです」
『良かった!喜んでもらえて』
「※※からのプレゼントなら、何だって嬉しいです。大切にしますね」
紬くんの笑顔に、私は思わずぽっとしてしまう。お金なんてかけてない。ただ摘んできただけ。それなのに紬くんは、本当に嬉しそうに笑ってくれて。彼にプレゼントして良かったな、と思った。
『四つ葉のクローバーの花言葉って、幸運なんでしょ?』
「ええ、まぁ、そうですね。一番よく知られている花言葉かもしれません」
『紬くんが喜んでくれるのなら、もっと頑張って探せば良かった』
「僕は1本で十分ですよ。でも……」
『でも?何?』
「いえ、何でもありません」
意味深な言葉を残して、苦笑する紬くん。当然、私の頭の中は??だらけ。知らなかったの。花言葉がふたつあるだなんて。幸運と【私のものになって】
そして、恋になる:
宮侑
ヒロインside
「話がある」
侑がそう言うから、私は彼が部活を終えるのを教室で待っていた。日中は賑やかな教室も、生徒がいなくなると一気に雰囲気を変える。ひとりきりの教室は淋しくて、侑の到着が待ち遠しい。オレンジ色の太陽が完全に沈みかけた頃、侑が走ってきた。
「ごめんな。えらい、待たせてもうたわ」
『私なら平気。侑こそ、急いで来てくれたんでしょ』
呼吸が整わない彼を見れば、全速力で来てくれたことは明白だ。
『で、話って何?』
「※※に、渡したいものがあるんや」
『私に?何だろ』
頭を傾げていると、再び彼が口を開く。
「先月、チョコくれたやろ。あれのお返しや」
『そう言えば、今日って3月14日だった』
「忘れんなや。というわけで、これ……」
『えっ、何?』
リボンが付いた小さな袋を、手渡された。びっくりした!思わず、ぽかんと口を開ける私。だって侑のキャラじゃないんだもん。
「勘違いすんなよ!俺は別に、※※を好きなわけやないからな」
そう声を上げる侑の顔は、初めて見るくらい真っ赤だった。