羽化に唇 ▽▽▽ ( UNION / GARDEN )

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 孝成さんは、よくおれに「もっとたくさん食えよ」って言う。おれ、平均より細めみたい。小さい頃あんまり栄養状態よくなくて、たぶんそのせいで太れなかったんだよね。身長も、そういえば平均あるのかなあおれ。まあ、どのくらいが平均なのか分からないんだけど。今くらいのサイズが孝成さんに抱きしめてもらいやすいからそれでいいや。
「んっ、んんっ……」
 あったかい手がおれの肌を撫でていく感覚に思わず息が詰まった。孝成さんの触り方はいつも優しい。思わず、おれそんなすぐ骨折れたりとかしないよ? って言いたくなるくらい。だからなるべく自分でも動くようにしてるんだけど、孝成さんって思ってることが割と顔に出るタイプだから反応を探るのが楽しい。おれがどういう風にすると喜んでくれるか、っていうのがよく分かる。
「潤? 痛くないよな?」
「痛くない、よ。ね、孝成さんのも触っていい?」
 体がそわそわうずうずする。いてもたってもいられなくなって、孝成さんがうんって言った瞬間にまたキスをした。服を脱ぐ時間も惜しいなんて思ってしまう。下着の上から触った孝成さんのものは熱くて、それが嬉しい。
「……ん? 何笑ってんだ?」
「んーん、なんでもないよ。孝成さんはかわいいなぁーって思って」
「え……!? 俺の息子のサイズが可愛いとかいう話じゃねえよな!?」
「なんで急に下ネタに走るの? 全然違うんだけど」
 あからさまにショックみたいな顔をしている孝成さんに思わず笑ってしまった。まあ、孝成さんのを撫でながら「かわいい」とか言っちゃったおれにも責任があるよね、今のは。そんな心配しなくても、少なくともおれのよりは大きいから大丈夫じゃないかな? 孝成さん、背もおれより高いしね。
 不安にさせてしまったみたいなので、お詫びの気持ちもこめて孝成さんのものに顔を寄せる。布に唾液を染み込ませるようにふにふにと唇を使って刺激すると、パンツの中身が徐々に硬くなっていくのが感触で分かった。素直なのっていいことだよね。
 パンツのゴムの部分をぐいっと引っ張ると、勃ちあがったそれが飛び出してくる。歯を立てないように口を開けて、唇で挟む感じでそれを咥えた。なるべく唾液をたっぷりと舌に纏わせて、動きも大胆に。
「っ……潤」
「ん、ふ……んん、なーに? 孝成さん」
 孝成さんは黙っておれの髪を撫でる。んん? 名前を呼びたかっただけ、とか? それとも無意識に呼んじゃった? おれはどっちでも嬉しい。そんな気持ちで孝成さんの手のひらに頬を寄せた。優しい手が、おれの髪の毛を邪魔にならないように耳にかけてくれる。また髪切りに行かないとかも。でも、こうして孝成さんに髪の毛いじってもらうの好きなんだよね。短くしちゃうとやってもらえなくなったりしないかな?
 話しかけられるのはとっても嬉しいけど、返事をするためにはさっきみたいに咥えるのをいったんストップさせなくちゃならない。おれはあんまり口が大きくないから、深く咥え込むのは気持ちに余裕のあるときにとっておいて舐めるのに注力するようにした。竿を丁寧に舐めていくと、先走りがとろとろ流れてくる。うわあ、えっちだ。
「んん、ん、んっ……は、」
 先走りとおれの唾液が混ざって、孝成さんのちんこはいやらしく光っている。ちょん、と指でつついたらぷるんぷるんするのが面白かったんだけど、「こら。俺ので遊ぶな」とほっぺたを指先で押されたので素直にやめることにする。先っぽだけを咥えて吸うと、孝成さんの眉根が気持ちよさそうに寄った。やっぱりかわいい。
「ん……潤、ほら、お前も脱げって」
「わっ」
 下半身がひやっとした。暖房はつけてるけどやっぱり服を脱いだ部分は仕方ない。でも、興奮してるからなのか不思議と寒いって感じはしなかった。ひやっとしたのも一瞬だけ。せっかくなので孝成さんのと一緒におれのも握り込んで扱いてみると、にゅくにゅくといやらしい感触。直接的な刺激に腰が引けそうになるのを慌てて抑える。
「ぅ、っく、んん……ん、は、孝成さん」
 キスしたいけど、フェラの後だからなあ……と無意味に口をもごつかせてしまう。そんなことをしている間に、孝成さんの手がおれの手に重なった。そのまま激しく上下されて、自分の手なのにそうじゃないような感覚に襲われてびっくりするくらい高い声が出た。
「ふ、ぁっ……ぁ、んん、たかなりさ、はぅ、」
「お前の気持ちいいことも……たくさん、しような」
「ひゃっ、ぁ」
「ん……? 気持ちいいか?」
「うんっ……きもち、ぁ、きもちいよぉ」
 体温も気持ちもどんどん高まっていくのが自分でも分かった。直接触ってほしくて自分の手を孝成さんの手の中からそっと外すと、孝成さんは少しだけ首を傾げる。ああ、もしかしてちゃんと口に出して言わなきゃだめかな? と思ったんだけど、幸いなことにおれの意図は察してもらえたみたい。「悪い、ちゃんと触るから」ってちょっと恥ずかしそうに笑ってくれた。
「んぁ、ぁっ、ぁ、んん」
 さっきまでとは違ってゆるやかな手の動きはほんの少しじれったい。おれも孝成さんのを触ろうと手を伸ばしたのに快感でうまく力が入らなくてちょっと焦る。
「なんだよ、そんな顔すんなって。大丈夫だから」
「あ、ったかなりさん、イきたい……おれもうイきたい、っんん」
 イきたいっていうか早く挿れてほしい。孝成さんのがおれの中をいっぱいにするのを想像しただけでちんこがびくってなる。どうしよう。
 ぐちゃぐちゃに濡れた股間は次の快感を待ち望んでいて、孝成さんは優しいからあっさりとおれの望みを叶えてくれる。強めに擦られて声がひっくり返った。あ、だめ、全然我慢できそうにないや。
「ふ、っぁあ、あ、っ、――ッ!」
 体から一気に力が抜けて、ただでさえ力が入っていなかったのにぐらっと上半身が傾く。孝成さんはそんなおれを強く抱きとめてくれた。じわじわと嬉しくて涙が滲みそうになる。孝成さんにばれたら心配されちゃうかな。
 でも、孝成さんが当たり前みたいにおれにしてくれること、全部嬉しいんだよ。
 例えば今、おれの息が整うのを待ってくれてることとかも。

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