半透明消しゴムの中心に色つき消しゴムが注入された、氷菓のような涼しげな三角柱型消しゴム。青のほか赤と緑があります。厚さは鉛筆を2.5本積み上げたに等しく17.5mm厚、塩ビ系でスペイン製。
残量が十分あるのにカドばかり使われて丸まってしまった消しゴムを時折り見かけます。
それへの対処としてカドが増やされますがTROXは三角柱。従来の四角柱よりカドが二ツ減らされています。
カドを減らすなんて愚策と思いきや、
CORREC-TRIと同じく、三角柱は球や円柱から遠ざかったかたちとなるため、カドが維持されやすい特徴があり、また折れにくくなるのです。
さらにTROXは断面が斜めにされているため
・頂点で一文字消し、
・断面の稜線で一行消し、
・断面で広範囲を消す使い方ができます。
最初のうちだけですけども。しかし減っても側稜から成るカドがあるのが三角柱の利点ですね。
理想的なかたちをしているのに、TROXはあまり消しやすい材料でできているとは言えません。三層構造のうち、
- 表層の半透明部は
- 減りにくく消字力は良好。
- しかし消し滓がまとまらず、消しゴム表面が黒ずみやすく、紙面上の黒鉛を延ばすことがあり、軟硬度芯とは相性が悪く、結果として扱いづらい製品です。
- また同社合成ゴム消しゴムで消した跡に再筆記し、TROXで消すと紙面が黒ずむため併用できません。
- 中央の色がついた二層部は
- 半透明部に対してクセがなく、ふつうの塩ビ消しゴムです。
半透明部はKUM CORREC-TRIと同じ材料のようです。
品名のTROXはトロックスでいいのかな? 西和辞典で調べるとtrojと同義で納屋や穀物倉という意味でした。
ちょっと扱い難い材料でできているうえ、三角柱は体積が少なくかさばり、それでありながら割高だったりしますが(TROXの場合は250円+税)、試す価値がある形状です。
このかたちはヨーロッパで流行しているようで、三角柱消しゴムは複数の会社から発売されており、本品は少なくとも2007年には登場、ヨーロッパ人は
ぺんてるAinクリック(2008年発売)以前から三角柱の有用性に気づいていたのでした。
そののなかでは青いステッドラーが消しやすい材料でできています。
さて、カドばかり使う人は頻繁に一文字消しをすると考えられるので、カドに執着するよりφ6.7mm消しゴム(
トンボモノワン等)やAinクリック、
カドケシスティックなどの繰出式消しゴムをおすすめします。