ファーバーカステル正式日本代理店とは異なるもうひとつの代理店シヤチハタが輸入する学童向け製品、いわゆる赤カステルの一ツ。Double hole sharpener box SLEEVE, 2007年頃発売、中国製。
ドイツ企業の同社は赤カステルを中国やマレーシアで製造しています。
粗悪品の代名詞となっている中国製ですが、同社の中国製品はなかなか良品。
ブランドイメージを損ねかねない廉価な製品群を輸出するのはファーバーカステル伯爵の要望という噂ですが真偽不明です。
本当だとすれば伯爵は文具が社会にどのように組み込まれ、どう使われ続けるのか、よく知っているんでしょう。
刃を留めるねじは七角形で外しにくく、同社は安全ねじと呼ぶ。
- φ8.5mm
- 切削角度約22°〜24°
とんがり係数0.86〜0.8 - ・ふつうの鉛筆がφ7.5〜φ8mmなのに対し細軸用がφ8.5mmもある。
・挿入口径が大きいため鉛筆が安定しないのが難点。
・代わりに三角軸も難なく削れます。 ※2019年3月24日追記;口径が大きいのは、同社アルブレヒト デューラー水彩色鉛筆φ8.4mmに最適化されているため。
画像は姉妹品9000番二穴582800 (鋭いほう)と、同型鉛筆削り内蔵品
183520で削ったグラフウッドとA. デューラー。
- φ10.6mm
- 切削角度約28°
とんがり係数0.67 - ・太軸用としては珍しく尖る鉛筆削りです。
・同社#9000ジャンボや同2530N、月光荘8B鉛筆も削れますがKoh-I-Noor1820、同1830は合いません。
これの優れた点は削りくずが漏れにくく、鞘(蓋)を失くすような設計でもなければ、鞘を閉め忘れる設計でもないこと。簡素で確実、たいへん優れている。
ところが全然削れない。刃自体の削れ味は(日本製に劣るとはいえ)悪くないし各部品の出来もいい、しかしうまく削れない。
鉛筆削り自体は
同社183520と同じもので、あちらはうまく削れます。
画像左端のようにうまく削れなかった本品ですが、削る際に以下のことに気をつけたら、画像中央のように削れました。
右端は太軸ファーバーカステル2530N。
削る際、鉛筆を1)方向へちょっと傾けた場合と2)方向へちょっと傾けた場合とでは芯先の仕上がりが異なります。
1)方向つまり刃側へ傾けると、芯先が尖るのです。
削りくず容器自体は大きいのですが、刃との隙間が5〜8mmくらいしかなく、二回も削れば削りくずが詰まってしまいます。
そうなったら削りくずを捨てるか、鉛筆削り本体を一度外し、削りくずを奥へ移します。
同じ鉛筆削りを組み込んだ
同社183520や小型化された
182702では隙間が広く、このような不具合を避けています。
細軸用がφ8.5mmもあるため、少し太い鉛筆も削れます。
この場合、鉛筆を削る際の傾きにはあまり注意を払わなくてもかまいません。
左)カランダッシュ グラフウッド775
右)ダーウェント スケッチング鉛筆
右の鉛筆は芯径がふつうの鉛筆の約二倍φ4mmあり、マークシート試験用に有利な鉛筆。
なのですが、軸径が少し太くて日本の鉛筆削りでは削れない場合があります。
画像の黄緑色が小型化一穴化された182702。
どうもこれ長期在庫品だったようで、手持ちの同社183520より製造時期が古いと思われます。
中国工場の品質管理が低かったころに生産されたせいでうまく削れないのではないか、と思ったのですが、使い方に慣れていないせいでした。
うまく削れないひとは、力任せにせず鉛筆の傾きに注意しながらもう一度挑んでみてください。
鞘を開けないうちは削りくずが漏れず携帯に好適なので、学童のほか野外スケッチ等にもおすすめします。
マークシート試験にももちろん適しますが、さらに適したラチェッタカプセルなる製品があります。そこで次回は
ラチェッタカプセル。
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