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パイロット ハイテックCコレト第五回 ルミオLHKCL1SC
2011/11/22 06:00



堕落論・日本文化私観 他二十二篇(岩波文庫)

こんなTV番組をみた。
 教室を半分に仕切って一方にイス、一方にテーブルを置き、学生を6班に分け、3班ずつイス世界とテーブル世界に配し、彼らにトランプ札をランダムに配って、札を多く集めるゲームを行う。

 各班が集める札の種類は各々決められ、他班と交換して札を集めてゆく。他を出し抜こうと、他を利する札なら不要でも集めようとする。
やがてイスの世界では競争力強化のため2班が合併、さらに合併して3班合同となり、札を共有財化すなわち共産化した。彼らはテーブル世界にも札交換を持ちかけるが断られる。

 ゲーム終盤、各班の班長を入れ替えるよう教授から指令され、テーブル世界では一旦は従うものの不和が生じ班長は元の班へ戻った。
合同したイス世界では指令が無意味化しており、彼らは床に座って会議していた。
結果、イス世界が札を最も活用した。(白熱教室@スタンフォード、NHK教育)

 共産主義で有名なマルクスは、競争の果てにゼロサムゲームの虚しさを知った人々こそが連帯を求め集団性を誤ることなく活用すると考え、あらゆる組織・集団を解体して全き自由な個人の出現を望んだ。
孤立と背中合わせの自律的個人は、機に応じて集まり、我欲を捨てず譲歩を忘れず、目的に達すれば権益に執着せず解散する。
 元新聞記者であったマルクスは、徹夜の編集作業か何かでこれに近い経験をしたと思われます。それを社会全体に敷衍させようとしたのが彼のラディカルなところでした。

 坂口安吾の「堕落論」「続堕落論」共に1946年発表。
 集団に安住し依存すると集団への幻想が生まれ、団結を強固にせんと圧制を自ら求める。そんな帰属意識を捨て「堕落」せよ。
しかしヒトは堕落しきる=完全孤立ができない、それでも自己を発見するには孤独の道を通らねばならず「政治による救いなどは上皮だけの愚にもつかない物」と説いた。
また日本人の道徳性についてその盲点を衝き、続堕落論では二重権力制の欺瞞を激しく責める。

 自己を発見するには内面を見つめるのか、他者との関係の中に見出すのか、安吾は前者でした。
 ところで堕落論は元特攻隊の強盗をなじる風潮に抗った文です。
強盗擁護とは何だって感じですが、敗戦して祖国の正当性が失われ、国家組織が崩壊しかけた当時、戦中の倫理観に従い配給のみで生きようとすれば(都市部では)餓死しかねない世にあって、その元特攻隊が自己を関係性の中に見出す(周囲への迎合に陥り易い)なら、それこそ強盗を続けたかもしれず、この文が必要な時代だったんだと思われ、当時を生きた人はこう述べます。

「当時ぼくらは生きるため法律に違反し、闇の買出しをし(略)堕落したものだと自己嫌悪に陥っていた。(略)そういう時、坂口安吾は「生きるためには堕ちなければならない」と言い切ったのだ。戦争下の特攻隊や貞女はたしかに美しかった。焼け出された国民全体も美しかった。しかしそれは生のない、虚の、死の美しさである。生きるためにはその虚の美を捨てて堕落しなければならない。(略)「堕落論」に感動し、生きる道を発見した人々は、やがて堕ちることをやめ、立身出世の道を、マイホームを求める妥協的人間になり、下降ではなく上昇しはじめる。(略)妥協し安息の中に生活している市民たちには戦後の原点にいる、まだいる安吾という存在が凶々しいものにうつった。(略)そして安吾は昭和三十年堕ちた偶像として見捨てられ、死んだ。」(奥野健男/昭和国民文学全集25解説p398/筑摩書房1974)
 堕落論は多くの出版社、図書館、またWeb図書館青空文庫でも読めます。次回は安吾の「日本文化私観」。

ハイテックCコレトLumioシルバー

ハイテックCコレトLumioブラックLHKCL1SCB

マーケットプレイス品


 選択式多色ボールペン、ハイテックCコレトには高級軸が二種、一千円のルミオと五百円のミーがあります。
今回はゴムグリップを廃し、クリップを金属に改めた4芯軸ルミオ。軸色4色、黒のみつや消し。2010年9月ころ発売。日本製?

 操作法や内部部品、大きさは従来4芯軸とほぼ同一。
前軸ねじとクリップが金属製。クリップ狭持力は強くも弱くもなく。
後軸にパーティングラインが残っているのが残念。黒軸なら目立たないようです。
 多色ペンほど手帳に適した品はないのに、ペン差しに挿す際にゴムグリップは障害でしかない。
よってゴムグリップは不要なのですが、もちろん滑るので、力をこめて書く人にはゴムつきを薦めます。



 競合品に対し、コレトは替芯にレバーがついてインク色を見分けやすく操作法を統一できる反面、このレバーがペン軸形式を縛ってしまう。たとえばシャーペンレバーにその機能的限界が現れています。
とはいえ、手早く機能を拡張するには替芯指向がやはり適切な手法に思います。


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